もうどうでもいいよ。
「ほんと・・・デュラン頼みなのを何とかしないと・・・。」
やっちゃんがそう言いながら俺を担いで移動し始める。
「レイ、デュランに頼んで恵くんの屋敷に戻してもらえないかしら?」
「それが・・・デュランにお願いしても届かないみたい。きっとメグミが私からの願いをキャンセルするように言ってるのよ・・・。」
「恵くんってそんなことするの??レイ・・・可哀相・・・。」
「でしょ?でしょ??」
こいつら・・・俺にデュラン頼みをどうこう言っておきながらその後すぐにデュランにお願いするってどういうことだよ?俺のスキルを勝手に使ってそういうことを言うのはどうかと思うんだけど・・・。というより俺はデュランにお願いをするのを極力やめている。死にかけている時に見た夢の中の黒い霧が言っていた言葉が気になるから。
俺はモガモガしか言えない今の状況で、精一杯レイとやっちゃんを非難している。2人には絶対届いていないだろう。それでいいんだけどね。届いたらまた身ぐるみ剥がされていたずらされかねないし・・・。
「あらあら、恵さん、縛られて・・・楽しそうね〜。」
全く楽しんでいないんだけどね。できれば助けて欲しいくらい。俺はミシュラを見ると脇に抱えられて泡を吹いて白目になっているハウンに気づいてしまう。俺も地獄だったが彼女はもっと地獄だったんだろう。南無〜。
「お母様!!さっきまでね、メグミが女性にレベルを聞くデリカシーの無さを非難していたのよ。そしたら・・・」
レイとやっちゃんが代わる代わるミシュラに先ほどのことを話している。ウンウン聞いているミシュラ。
「でも、そういうのはちゃんと教えてあげないと・・・。あなた達だってわからないことで責められれば怒るでしょう?それに恵さんは鈍いところもあるんだから・・・。」
ミシュラが俺を見て微笑んでいる。やっぱりミシュラはわかってくれたな〜。うれしいな〜。って俺は誰からも鈍いと思われているの??
「ずっと態度で示してたんだから気づくでしょ??普通。本当に鈍いんだもん。」
「鈍ちんで、唐変木で変わり者。それの寄せ集めが恵くんだもんね。そう思えば私達も反省しないと・・・。」
俺はそんなもので出来ているのか??悲しくて涙出てきた・・・。
「ほらみて、メグミ・・・目がうるうるしているよ。あははははは」
「「ホント〜〜だ!!ははははは」」
皆が俺を見て大爆笑し始める。俺はモガモガ言うしか出来ない。ミシュラも助けてくれないし・・・。
やっちゃんは俺をミシュラに渡してレイと前を歩き始める。
ミシュラは俺の口に付いている猿轡をとって
「恵さんは皆に慕われて幸せね〜。」
「え?どこが??」
「言いたいことを言ってくれるというのは慕われている証拠ですわ〜。」
ブチブチと俺を縛るロープをちぎっていくミシュラ。
「何故かムラムラしてきますわ〜。」
顔を赤くして俺を縛る縄をちぎっていくミシュラ。
「助けてくれたからお礼しないとね・・・。」
そういう俺に抱きつくミシュラに気づきレイが引き離しにかかる。
「お母様・・・マジで力強すぎ・・・。」
レイが本気で引き剥がしに来てもびくともしないミシュラ。俺が見ていてもまるで岩のように動かない。さすが元力の神々・・・。
「レイは向こう行ってて。俺はミシュラと楽しい時間過ごしてるんだから。ニブチンの俺はミシュラと一緒がいいんだな。」
「うわ。本気で怒ってる・・・。」
「自分でも怒っているかどうか鈍いからわかりません。」
「うわ。拗ねてる・・・。」
やっちゃんとレイがヒソヒソ言っている。君ら2人はマジで部屋お取り潰しだな・・・。
「あの顔はまた言うつもりよ・・・部屋お取り潰しって・・・。」
「あ〜〜〜!!いいそう・・・。」
こいつら・・・言えないように先手を打ってきやがった。
「デュラン。俺の屋敷に俺とミシュラ、アッシュ、クルクをつれてって。」
「「「え??私達は??」」」
「歩いて帰れば??」
「「「な!??」」」
俺達はその後すぐ瞬間移動する。レイとやっちゃん、メイリーンを置いて。
君たちは反省してください。というよりもう少しナイーブな俺のことを考えてください。