合流して
マッキー視点から恵視点に替りました。
「マッキーも戻ってきたことだし、説明するね。」
俺はマッキーにここで起きたことを事細かに説明する。そしてマッキーも俺達に貴族と出会ってからのことを細かく説明してくれる。
「そうか・・・。まぁ俺に会いたいって言っていた貴族の意識の戻るのを待つしかないね。まさか・・・ね〜。死ななくてよかったよ・・・。」
俺はレイを冷たい目で見る。よく見ると皆冷たい目でレイを見ている。
「そんなこと言ったって!!マッキーが悪いんだよ!!ペットの躾がなっていない!!」
マッキーがそれを聞いてレイに噛み付いている。本当に頭頂部に噛み付いている。レイは悲鳴を上げて『痛い痛い!!放して〜〜〜』と言って涙目になっている。皆の冷たい目線に泣いているのか、本当に痛くて泣いているのかは不明だけど。
それから1時間ほどだろうか?
「恵様・・・。お客様が目を覚ましました。もうすぐこちらに参ります。」
この国の皇帝の格好をした魔物が俺の前で頭を下げて、自分の椅子に座る。
「陛下・・・。見苦しい格好で前に立つことをお許しください。」
膝を着いて話し始める貴族。包帯ぐるぐる巻の姿が痛々しい。戦闘経験のないものは回復しきらないものなのか??
「俺は恵。俺に会って何をするつもりだったの??」
皇帝が偽物とバレる前に俺は話を切り出す。
「あなたがメグミ帝国の恵皇帝??私は・・・」
自己紹介から始まり、会いたい理由も聞く。どうやら海路を自由に行く権利がほしいとか。
俺は精査するから少し待ってねとだけ言って保留にする。
そして俺達にとって肝心な話をする。
「ザンダースさんの家族がヴァンパイアに乗っ取られている話を聞いたんだけど、どうするの??」
「そのことなんですが・・・。わかっていてもどうにもならないというのが現状です。父は屈強な護衛が常にそばに居るため殺されるということはないと思うのですが、兄弟がおかしな行動を取っているのでそちらのほうが困っています。1人はヴァンパイアだったんですが後の兄弟についてはまだ不明でして・・・。」
「う〜〜ん、面倒だね。じゃぁ・・・レイ・・・あのロープある??」
「こちょこちょ??」
「ちがうよ。君とやっちゃんが開発したあれ。」
レイとやっちゃんは以前、魔族領に居る研究者と一緒に怪力の持ち主も拘束できる切れないロープを開発して俺をいじめたという黒い過去を持っている。
「あぁ、あれね・・・」
レイはアイテム袋から結構な量の『あれ』を出す。
俺はデュランに頼んでこの貴族の家に入り込んでいるヴァンパイアとその仲間を目の前にその『あれ』で拘束した状態で捕縛する。
「なんだこれは??」
捕まったヴァンパイアが驚いて声を上げる。俺の目の前にはヴァンパイアが結構な数捕まっている。
「この中に見覚えのある奴いる??」
俺の問にザンダースが答える。
「そんな・・・にいさん・・・、ねえさん・・・。」
膝を着いて床に項垂れるザンダース。どうやら兄弟全員入れ替わっていたようだ。
「これで全員揃ったかな?」
マッキーが以前に俺が渡しておいた通称『虫かご』から生首を出して放り投げる。
「馬鹿な・・・ジャンパ・・・何と言う姿に・・・。」
生首のヴァンパイアはジャンパと言う名前らしいがどうでもいいよ。
「なぁ、ザンダース。お前の父親にも来てもらったほうがいいんじゃないか??これはどうにもならんだろ?」
マッキーはそういうし、俺もそう思う。このままこのヴァンパイアたちを始末するのは簡単だが、そうしてしまうと貴族の跡継ぎが突然消息不明という事件になってしまう。
「そうですね・・・。父上はこの状況をどう捉えてどう思うのか・・・。」
俺はデュランに頼んでザンダースの父親にもこの場に来てもらう。
「なんだ???ここはどこだ??ん??ザンダース??それにデリファにガイン??ソールまで??それに何で首が!!??」
動く生首を見て腰を抜かすザンダースの父親。父の横に慌てて駆け寄り肩を抱くザンダース。
「父上・・・。残念なことが・・・。」
父親に説明している。聞いてはいるが心ここにあらずと言った感じだ。まぁ無理もないだろう。自分の子供がザンダースを残し食われているんだから・・・。
ザンダースの父親は理解したのか
「そんな・・・そんな・・・そんな・・・」
と呟くだけだった。