マッキーのお仕事7
「さっきまであった死体はどこに??あと、血痕とかも・・・。」
「聞きたいの??そんなこと聞きたいの??」
「いや、その言い方でなんとなく想像がついてしまったからいいかな・・・」
そうだよ!!私の出す霧は何でも食うんだよ。死体の処理くらい朝飯前!!朝飯の前に死体を食う私の身にもなれっていうんだよ!!
「ザンダースよ。家に帰って調べなくていいのか??それとも恵に会ってからか??間に合わないかもしれないぞ??親を始末されれば話にならないだろう??」
「それはそうなんだけど・・・。今戻ると計画がな〜。」
計画か・・・。それも大事だがお前の親の命のほうが大事だろう??今現状わかっていることを親に報告してまた訪問すればいいだけだと思うんだけどな・・・。そう思いはするものの、雇われている以上これ以上の口出しは出来ない。家庭の事情もいろいろあるだろうしな・・・。貴族のことなんかわかるわけもないし。
「じゃぁ、まずは恵に会いに行くのが最優先でいいんだな?」
「ああ。それが当初の大きな目的の一つでもある。」
「でも、恵と会ってどうするの??あいつは結構な力を持って入るけどそれはこの国にまで及ばないだろう?それに・・・」
言ってしまっていいのだろうか?恵はこの国にいる。会いに行くのは残念ながら影武者の魔物だ。外交的な取り決めはすべてマギーという大臣がやっている。私からすれば親の命の危険を犯して、頬杖付いた魔物に会ってどうするんだよ?って感じだ。
「それに??何かあるのかな??」
「あ、いや、こっちの話だ。じゃぁ船に乗ろう。今回のものには爆弾はない。調べる方法を代えれば違うものがあるかもしれないけどな〜。にゃははははは」
爆発物というものを探せばそれ以外のものはスルーされる。例えば・・・強力な生物を封印している物を船に入れてしまえば、それは爆発物より危険な船の破壊をしかねないものになる。だが、そこまで調べるのもな・・・。魔物なら私で何とかできるだろうし・・・。最悪私の能力を使えば、ここにいる人数くらいなら救えると思う。
「切符を買ってきました。どうぞ・・・。」
ライが人数分の切符を買って持ってきてくれる。よくできる奴隷だな。
「じゃぁ乗るぞ〜〜〜!!」
お〜〜〜〜!!の掛け声をまったが誰も言ってくれない。ノリの悪い奴らだな・・・。
「あの・・・一応・・・私がボスなんだけど・・・。」
ザンダースが小さいことを小さい声で言っている。男なら堂々と言え!!それか堂々と先導しろ!まぁそれができたら兄や姉に跡目相続を譲るような行動をし続けないだろうな〜。
船に乗ろうとすると
ザザァァ・・・
「マッキーいる??」
「何??恵か??」
「え??恵皇帝??」
私にのみ、通信機器から聞こえる声に答えた恵の言葉にびっくりするザンダース。
「恵どうしたんだ??そっちのお楽しみは終わったのか??」
「いや、面倒なことになっている。一応片付けはしたんだけどね。この国のトップの人々がどうやらヴァンパイアに支配されているという情けない状況のようだ。と言っても過去形なんだけどね。」
「何だ??ヴァンパイア??それなら私も1体捕まえたぞ?貴族の女に化けていたんだけど??」
「貴族の??」
「あぁ、今、ジル探しの旅の途中で、貴族と行動を共にしているんだけどな、護衛も兼ねて遊んでいるわけだよ。そしたら、変なことに巻き込まれて暗殺者だのヴァンパイアだのと交戦していたんだよ。面白くもない戦闘だったけどな〜。」
面白い戦闘・・・。もうそんなものは仲間内でしか出来ないだろうな〜。
「そうか・・・。俺達は今、この国の皇帝の城にいるんだけど、帰るつもりなんだ。マッキーはそのままジルを探しに行く??護衛もあるんだろ??」
「いや、恵と帰る。一緒にいる貴族も恵に会いたいんだって。どうする??会ってみるか??」
「ん??外交的なやつか??それならマギーに頼むんだけど。」
通信の声はザンダースには聞こえていない。何の話かも見えないまま横で頭をかしげているザンダースに目をやる。
「ザンダース。今、恵はこの国にいるんだって。会いに行く?外交的なことは大臣経由らしいんだけど・・・。」
「ぜひお会いしたいですね。この国のどこにいるんですか???」
「この国の皇帝の城らしいよ。どこなの??」
「皇帝の城ですか?それならここから近いですよ。」
通信機に恵にザンダースが会いたいと言っていることを告げてそっちに向かうという。
「じゃぁ待ってる。この国の皇帝は今大変なことになっているからその辺は黙っておいて。ぜったいだからな〜。」
皇帝が大変なことに??病気か??まぁいけばわかるだろう。ザンダースたちには内緒ということらしいが・・・・
「船に乗る必要がなくなったね・・・。この切符どうする??」
ザンダースは馬車の手配をしようとする。
「馬車遅いから私の馬で行くか〜??」
「私の馬??どこにいる??」
「ここだよ〜〜〜ん!!」
私は全力で漆黒の霧を全身から放出する。霧に触れて痛い目にあっている数名はものすごい勢いで後ろに下がる。
「危ないじゃないですか!!」
怒る奴隷たち。飛び退くことが出来ずに霧にまかれて焦るザンダース。ジタバタしているのが少し情けない・・・。
漆黒の霧が巨大な馬の形になり始める。
「マッキー・・・こんな所に呼んで何のようだ??」
霧から出来た馬が話し始める。
「おう!!すまんな!!戦いでもないのに呼び出して。これから少し移動したいんだよ。この人数を連れて。」
「ふざけるなよ。私は戦闘用の馬なんだぞ?侮辱もここまで来ると・・・。」
「皆に紹介するな!!こいつは私の霧から生まれる馬なんだ。名前はジェノス。ジェノサイドから名前を付けたんだな。まぁそれはいいとして、乗ると言っても私以外は霧に掴まれての移動になるんだな。いいかな??」
「「「「「へ??」」」」」
この場にいる私以外の全員が『こいつ何言ってんの??』みたいな顔をする。説明も面倒なので即行動。
私は漆黒の巨大な馬に跨がり、手綱を持つ。
「いっくよ〜〜〜!!」
漆黒の霧を放出しながら疾走する。
「な〜〜!こうするとちゃんと暗黒騎士だろう??にゃははははは!!」
ものすごいスピードで草原を疾走る漆黒の巨馬。
「「いっや〜〜〜〜!!!」」
「「ぎゃぁ〜〜〜!!」」
「・・・」
皆それぞれすごく楽しそうだな〜。気を失っているザンダースが涎を流しながら楽しそうにニヤけていた。