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願いで手に入れた伴侶が最強  作者: うぉすれや
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マッキーのお仕事4 出航しよう!!

「泣いてない泣いてないからな!」


私は目をグシグシと擦って涙の痕跡を消そうとする。

ザンダースが優しくハンカチを渡して


「私にはわかりませんが、辛いことがあるんですね?そういう時はいっそ全部話したほうがいいのでは?」


「話せるわけ無いだろう??情けない話なんだよ!!クソッ!!」


私は近くの樽を蹴る。コロコロ転がっていく樽がいきなりの船の傾きとともに戻ってくる。


「きゃ!!何??」


元暗殺部隊のリーダーが女の子らしい声を上げて横の仲間にくっついている。その男はまんざらでもなさそうな顔をしている。男はそんなもんだろう・・・。


私達は慌てて甲板に出る。そこにというより、海に居たのはものすごい巨大な魔物だった。


「ラウル様の命で、ここに来た。マッキーというものはいるか??」


「あぁ、私がマッキーだ。何をするのかは聞いているのか??」


「聞いていない。攻撃をされたら海の藻屑にしろとだけ言われている。」


あのバカ女・・・。やはり懲りていないんだな??私をこっそり亡き者にでもするつもりか??


「海の魔物って結構距離が離れていても話ができるんだよね??」


「あぁ、できるぞ。と言ってもあまりに遠い場合は伝言をつなげていくことになるから長いものはうまく伝わらないがな・・・。」


「え??海の魔物って伝言ゲームで伝達しあってるの??」


「伝言ゲームというものがどういうものかはよく知らないが、繋げていくから最初のものとは少し変わっていることが多い。だから、どこどこに来いとか、どこどこに行けとか、なになにに攻撃とか、本当に短いものばかりになる。だから今回も『ここにいるマッキーという奴に会いに行け。攻撃されれば殺して構わない』とだけ聞いている。」


う〜〜〜ん・・・・これは黒か??あいつの性根が悪いからそういったのか、攻撃された場合は反撃しても良いと言っただけなのか・・・。微妙だな・・・。恵にはチクらずにいてやるか??


「ラウルに言ってほしいんだけど。恵に言いつけてやる!!って。」


「わかった。」


海の魔物はあらぬ方向を向いてなにか言っているが私には聞こえない。きっとここにいる物全員、何が起きているかわかっていないだろう。


「そういったぞ。・・・。」


なにか頷いている。ウンウンやっているけどよくわからない。


「『やめて〜〜〜!!』だそうだ。」


あいつ・・・やっぱり私を亡き者にしようと・・・。マジでチクってやる!!


「あぁ、つまらないことに付きあわせて悪かった。ラウルに呼んでもらった理由は私が乗っているこの船を岸まで引っ張ってほしい。といっても・・・」


私は町の名前と港の場所を指定する。そうすると、魔物はものすごいスピードで船を引っ張り始める。


「はっええ〜〜〜〜〜〜!!」


競艇の船でもこんな早さは出ないだろう。ものすごいスピードと風がとても・・・楽しい!!

後ろで顔面蒼白のザンダースと私の奴隷たちが座り込んでいるが気にしない。こんなに爽快なものがあったなんて・・・。私はスピード狂なのか??


あっという間に港に着く。港では人々が漁の準備でいっぱい居たが、ものすごい大きな魔物が出てきて全員座り込んでいるか何か念仏を唱えている。


「わりぃわりぃ!この魔物は危害を加えなければ攻撃してこないから。間違っても攻撃しちゃダメだぞ。」


漁師に忠告をし、私はすぐに魔物に


「ありがとう!!ラウルにも礼を言っておくよ。あと、恵にもな。」


「我が王の主にはいつも良くしてもらっている。このくらいのこといつでもやってやるから呼ぶといい。」


ものすごいいい声でそう言って海に潜っていく。


「それにしてもかっこいい声ですね・・・。見た目と合っていない。」


「それはいいっこなしだろう?ザンダースだってそこそこいい声だぞ。情けないけど。にゃはははは!!」


ザンダースは頭をポリポリ掻きながら私の後ろを歩いて付いて来る。


「船乗りは船の中のままでいいのかな??それとも運びだす??」


「そうですね・・・運び出すべきでしょう?宿を取って休んでもらいましょう。」


「お〜〜〜い!!奴隷の3人!!船乗りを担いで出てきてくれ!!」


私達は宿屋に向かう。夜のひと悶着があった宿とは別のところだ。


「いらっしゃい。ご休憩で??」


「いや、宿泊だ。ただしこの3名の・・・」


ザンダースが伸びている船乗りを指差す。

案内され、船乗りをベッドに転がして私達はまた港に向かう。先ほどとは違い、海を渡るための大型船が停まっている港に。


「あの・・・私達もですか??」


奴隷になった女が聞いてくるが


「ここに残して死なれでもしたら困るからな。多分だが、お前らを始末しにもっと強いのが来るんだろ?そいつらも捕まえて、ドンドン捕まえて証拠をガッチリにするんだよ!!な??ザンダース??」


「ええ。まさか2人の兄姉に命を狙われることになるとは思いませんでしたが・・・。」


「そのことなんですが・・・実は・・・」


奴隷となった女の話ではザンダースの父がザンダースを第一後継者として名前をあげたそうだ。今回のメグミ帝国への交渉の成功を持って後継者にすると発表されたとか・・・。メグミ帝国か・・・。まさか戻ることになるとはな・・・。まぁ、私の目的がいるみたいだからいいけど・・・。


「なんですって??私を後継者にしてしまったんですか??なぜ??兄はもう一人いるのに!!」


「多分だけど、そう言ってしまえば強硬な手段に出るやつがすぐに行動を開始するだろうと思ったんだろうな〜。餌だな・・・完全に。」


「そうですね・・・。」


肩を落として暗い顔をするザンダース。


「気を緩めるなよ!!2人の兄姉に狙われているからな。どんなことをしてくるか・・・。まさか船ごと爆破とかはないだろうな?」


私の言葉にザンダースと奴隷3人が『ギョッ!!』という顔をする。皆が目を見開いて同じ顔をしている。


「マッキー様・・・なぜそんな恐ろしい想像を??」


「いや〜。どんな犠牲が出ても気にしないという考えのものならやりかねないだろう?何なら爆弾探しするか??」


私は羅針盤を出し


「それはなんですか??」


「これは私のスキルで出すことができる、簡単に言えば何でも探せますっていうアイテムだ。」


「そんなスキルがあるんですね・・・。で、爆発物・・・あります??」


「ふはははは、驚くぞ・・・。針が触れてどこにあるかわからない。要するにこの船にはいっぱいあるってことだな・・・。にゃはは・・・」


私は笑えなくなってしまう。まさか・・・ここまでやるのか?


「どうするんですか??こんな船に乗った日には死亡確定ですよ??」


奴隷の男が狼狽しまくっている。まぁ落ち着け。幸いまだ出航していない。


「時間もありますし、船長に知らせますか。」


ザンダースが船長と話をし始める。あ!!船長に突き飛ばされて尻餅をつくザンダース。


「おい!!なんのつもりだ??ザンダースが親切で教えているのに!!」


「馬鹿言うんじゃね〜よ!!この船に爆発物??そんなハッタリ聞くわけ無いだろ!!このクソ野郎どもが!!」


船長が切れまくっている。


「じゃぁ、お前は爆発物の話を信じないんだな??じゃぁ死ね。私達は降りる。客には話しておくから。それでも信じない客は死ねばいい。私は他人が死のうと関係ないからな。」


そのセリフの後に私は大きな声で叫ぶ。


「この船は爆発して沈むぞ〜!!爆発物があるのにそのまま出航するって話だ。だから私の言うことを信じるものは乗るな〜。信じないものはどうぞあの世に逝ってらっしゃ〜い。」


それともうひとつ付け加える。


「それと信じるってやつは損するだろ??だから切符を私が全部買い取ってやる!!持ってきやがれ!!」


その言葉に何人かは私に切符を買い取ってもらうべく交渉に来るがその他はヒソヒソと話すだけで信じていないようだ。


「はい!!締め切り〜〜!!じゃぁ他の人は死んでも恨みっこなしだよ?」


私達は船を降りる。

その1時間後・・・その船は客を乗せて出港する。


「さようなら〜。」


私は笑顔で見送る。


「私を信じないものなんか死んでも気にしないんだからね〜。」


そして私はちょっと涙を流す。

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