マッキーのお仕事3
私達は今・・・ザンダースと船乗り3兄弟を介抱している。
「まいったな〜。岸に戻れないな・・・。まだ海は少し荒れているのに・・・。」
私は船の操縦が出来ずものすごい困っている。私の横で甲斐甲斐しく船乗りを介抱している男女。
先ほどまで私のそばで殺されかけていた3人は、心を入れ替えて私のそばで働いている。
私はこいつらにこんなふうに言ってみた・・・時間は少し遡る。
「おい、お前ら。依頼主の名をバラしたから、行き場ないんだろ?」
「「はい・・・」」
「多分、このままでは殺されると思います。」
リーダーの女が泣きそうな声で話す。
「死にたくなさそうだな?じゃぁ、私の奴隷として私の言うことを何でも聞くか?」
「え??奴隷??あなたの?」
「あぁそうだ!!幸い私は1匹奴隷を飼っている。増えてもそれほど苦はないと思うんだな。そんなに無茶は言わないぞ。まぁ言うことに逆らったり、反逆すれば殺してしまうけどな。」
私は私のやり方のそのままを2人に伝える。
「わかりました。そうします。」
「あぁそうしろ!ちなみに、お前のレベルは100ちょいだよな?私は8000超えているから変な気を起こすなよ。」
レベルを伝えると2人共硬直する。
「レベルってそんなに上がるんですか?そこまで上げようにも、そもそもそんな強さの魔物がないはず・・・」
「面倒なやつだな・・・。私を調べてみろ!!ほらほら!!」
顔を青くする2人。どうだ参ったか??
「わかりました。あなたの言うことをすべて聞き入れます。どうか奴隷としてそばに置いてください。」
「よし!!わかればよろしい!!じゃぁ給金だ。」
白金貨を1枚ずつ渡す。
「え??こんなに??奴隷はこんなものもらえないのでは?」
「働く奴に金を渡さないのはダメだろう??と言ってもそれは年俸だからな。また次の年が来れば渡す。好きに使えばいい。あと、衣食住は自分で何とかしろよ?」
「かしこまりました。」
「あと、こいつもお前たちが説得しとけよ?」
私は殺したはずの男を霧の中から放り出す。
「え?殺したのでは??」
「そう思っただろ??殺しても良かったんだけどな。あまりひどいことすると、ザンダースの私に対する印象が壊れるんだよな。それはどうしても避けたいわけだ。と言っても好きとかじゃないぞ?良い奴に嫌なふうに思われたくはないだろう??にゃはははははは」
私の高笑いを聞いて2人は『ははは、そうですね・・・』とだけ言った。
「うゎ!!!」
大きな声を上げるザンダース。
「マッキー様。ザンダース様がお目覚めになりました。」
リーダーの女が私に伝える。声でわかるって。
「様??マッキー・・・この者たちはなぜ??」
「おう、私の奴隷にした。」
「しかも・・・あれ??死んだはずのものが・・・???」
「あぁ、悪かったな。殺したように見せただけだ。その辺りのやり方は秘密な。」
「よかった・・・。マッキーがあんな残虐極まりないことをするとは思っていなかったので・・・。夢みたいなものでよかった・・・。」
ザンダースの顔色はまだ悪いが何とかなるだろう。
「船乗りが気を失ったままなんだよ。そのせいで海にプカプカしたままだ。陸に帰りたいんだが・・・。操縦できないよな?」
「ええ、まぁ。」
やはり出来ないか。わかりきってはいたがはっきり知ってしまうと落ち込んでしまう。
「はぁ、まいったな・・・。あ!!いいこと思いついた!!」
私は通信機器を使って恵の屋敷につなぐ。
「誰かでないかな??出ないかな??」
「はい!クロエです。どちら様??」
「お〜〜〜〜〜!!クロエか??私だ!!マッキーだ!お願いがあるんだけど・・・ラウルいる??」
「ラウル様ですか?すぐ横にいらっしゃいますよ。代わりますね??」
「はい。ラウルですけど。マッキー様・・・何でしょう?」
声があからさま嫌そうだな・・・。この子は恵がいないと結構嫌なやつだ。と言っても前にやっちゃんにバラされて泣いていたけど・・・。
「あ〜。ごめんな〜。今さ〜海に浮いているんだよ。そこでお願いがあるんだよ。ラウルのお友達にここに来てもらえないかな??陸まで引っ張って欲しいんだな〜。」
「はい。かしこまりました。どの辺りですか?」
「ザンダース・・・ここどこかわかる??」
ザンダースに今いるであろう場所をラウルに伝えてもらう。
「わかるかな??どれくらいでくるかな??」
「わかりませんが1時間もあれば見つけられると思います。待っていてください。後、間違っても攻撃しないでくださいね。」
「わかってるよ!!海の魔物はラウルのお友達。だから恵のお友達だもんな!!」
話が終わり通信を切る。
「これから海の魔物がやってきてこの船を引っ張ってくれることになっている。間違っても攻撃しないでくれよな!!」
「魔物??どんな魔物ですか??大きいんですか??」
「ん〜〜〜〜。どんなのが来るかはわからない。会話できるから意思の疎通はできる。大きさは小さいものを見たことがないとだけしか言えない。恵の友達なんだよ。海の大型の魔物は・・・多分・・・全てな。」
「あなたの国の皇帝はそれほどの力を・・・」
ザンダースが顔をひきつらせてビビっている。他の3人も固唾を呑んでいる。
「私じゃどうにもならないようなのがいっぱいいるからな〜。」
「8000でですか??」
「8000???」
女の言葉にザンダースが目を見開いて驚き、硬直している。
「あぁ。あの中で私の次に弱いと思われるメイリーンなんか後から冒険者になったのに真の勇者でレベル5桁だよ?おかしいだろ??」
私は肩を落として話をする。実はこれに関してはかな〜りキツイな〜と感じている。
私はそれまで暗黒騎士だし、レベルもそこそこあるし自信に満ちた生き方をしていた。でも、恵が拾ってきた獣人があっという間に私よりも強くなって、私を守る姿勢を見せ始めたのだ。情けなくて何度泣いたことか・・・。
思い出してちょっと涙を流す。
「あの・・・何で泣いてるんですか??」
「泣いてないよ!!」
私は強がってみせるが涙がぼろぼろ出る。なんか凄い悔しさがこみ上げてきた・・・。