異世界2日目
異世界の生活はまだ馴染めない。どんな街かも知らないからね。1日目は何もわからないくらい緊張して過ごしたっけ?
ふぁ〜〜〜〜!!よく寝た感じが全くしないが疲れはなくなっている。
頭もスッキリ!!
「おはようレイ。」
横に寝ているレイの顔を撫でる。
「ふふふふふ」
笑うレイ。
「本当の恋人みたいだね!!」
伸びをするレイ。
可愛いな、ホント。
そう思いながらベッドを出る俺。
朝飯なんだろ??
そんなことを思いながらトイレに行き、歯磨きをして顔を洗う。
昨日は結構遅くまで田村邸で話をしていたな。
その割に普通に朝。
どんなつながり方をしているのだろう?そこが非常に気になる。
多分、昨日は20時間ほど起きていたはず。なのにこっちは朝。
この辺り解明できるのか?
「まぁ、どうでもいいか??」
俺の独り言に
「そうそう、弥生ちゃんはどうでもいい。」
鼻歌を歌いながらひどいことを言うレイ。
険悪な仲になっちゃったな・・・。
そういや、合流する話は有耶無耶になったけどどうするつもりなんだろ?
「お〜恵、起きたか?あ〜しは向こうの世界に行くと動けないから何があったかしらないんだな。教えてくれ。」
ミドラが俺のズボンを引っ張る。脱げるからやめてくれ。
「かくかくしかじか」
説明ってホント面倒だな。
俺の簡素な説明を聞いてミドラは楽しそうに笑っている。
「そんな楽しい修羅場があったんだ。見たかったな〜。」
そりゃ他人の不幸は楽しいだろう。
本人はたまったもんじゃないんだぞ!!
「で、今日はどうする。」
普通に部屋の中でくつろいでコーヒーを飲んでいるデュラン。コーヒーどこで手に入れたの?
「今日もレベルアップだろ!?いや、観光かな?この街を見たいんだよ、しっかりと!」
お〜〜〜〜〜と歓声が上がる。みんな遊びたいんだね。
宿屋に今日の分の料金も払い同じ部屋をキープ。
そして観光にいざ征かん!!
地図を見るとこの街はほぼ正方形で町の中央に噴水、(俺が最初に降り立ったところだな)があり、そこから東西南北に大きな舗装された綺麗な道路がありそれぞれが出入口の門へ繋がっている。その大通りから血管のように細い道が至るところにつながっている。北門側はギルドがあるのでガラが悪いがお金周りがよくお店もいっぱいある。南側は少し高台になっていき大きな屋敷が立ち並ぶ。いわゆる金持ち街だな。貴族も居るらしい。東西は一般的な住人から店まで混在している。道も狭く入り組んでいて迷子になりやすそう。それでもどこも比較的治安がよく綺麗。それがこの街の特徴のようだ。スラム街などは存在しない。犯罪者はこの街に住み続けることができないからだ。交番と呼ばれるところには衛兵が常駐している。これ、パクってるよね、我が国のやつを。
建物はレンガ造りのものが大半ではあるが、新しい家にはコンクリートのような素材が使われているところもある。もしかしたら地球とつながって技術を手にしたのかもしれない。まぁ推測だけどね。
建物の高さは3階建てくらいまでしかないかな?
街の周りには非常に高い外壁が立っている。15mはあるのではないか?そんなに高い理由はわからない。もしかしたら魔物を中に入れないためなのかな?
結構ウロウロしていると向こうから走ってくる人影が・・・。
一瞬でいなくなるランプの魔人親子。
レイのあからさまな嫌な顔。そう、田村さん参上である。結構早いんだね。まだ昼前だよ。
「やっとみつけた。恵くん、こっちじゃそんな恰好なんだ。」
俺の装備を見て笑っている。
まぁ初期装備だしなってすごい格好してるな、田村さんは。
この前、定食屋さんで聞いた女の子ってもしかして田村さんなのかも。
白を基調とした鎧で金の装飾が散りばめられて、かつ尖った部分が多い。大剣はどうやって振るの??とかどうやって抜くの??とかいっぱい聞きたくなるほど大きい。彼女の背丈を超える大剣だ。
勇者恐るべしだな。
「さて、やりますか??」
田村さんが意味不明なことを言う。
「はい??なにを??」
素で返してしまう俺。
「言ったじゃない!?レイをやっつけるって!。ボコボコにするって!!」
あれ本気だったのか??
後ろを見るとレイから変なオーラが出ている。
すごい怖い。恐ろしい生物に遭うと動けなくなるっていうのを直に体感している。
オーラに靡かれて髪の毛ってゆらゆら動くんだ。
「ふふ、じゃぁ表にでろ!」
レイは本気のようだが・・・。
「ちょっと待って、本気じゃないよね!??」
「「本気」」
普通に素で言いやがった。
レイと田村さんが二人並んで東の門へ歩いて行く。
その後を俺が歩いてついていく。
「止めんでいいのか??」
頭の中に話しかけてくるデュラン。
「見たい気もするけどね、あ〜しは。」
他人事で暢気なミドラ。
ランプの中に逃げ込んだふたりはいいよな。気が楽で。
「ノート拝見」
門番にビシッとノートを見せてそのまま外に出るレイと田村さん。
ノートを取り出すのにもたつく俺。かっこわるいな。
そして2kmほど街から離れたところで
「ここまでくればいいでしょう・・・ふふふふふ」
何故か笑いながら大剣を構える田村さん。
いつの間に抜いたんだ??すごく怖い。
人化を解くレイ。
「へ〜〜〜そんな姿なんだ。」
大きな胸の下に腕を組んで仁王立ちのレイは
「さっさとかかってこい!殺しはしない。ただ」
「手足切り落としたら即解消」
間髪入れず俺が言う。幼なじみのそんな姿見たくない。
「うそ?」
こっちを涙目で見るレイ。そこまでショック受けんでもいいのに。
「殺しはしないフルボッコで!!」
セリフを言い直すレイ。
二本の触手には刃物がない。聞き分けが良くて可愛いな。
でも、田村さんは真剣である。もしレイに当たればレイは怪我をするだろう。
それはあまりにひどいな。
でも始まっちゃった。
ガチバトル。
お伽話の魔神と勇者のガチンコバトル。
レイは腕を組んだまま、触手で田村さんの斬撃をすべて受け流しそれで且つ、攻撃を当てている。
田村さんは衝撃でダメージを受けている。それでも切りかかっていくのである。
正直、俺・・・見えてないんだよね。金属がぶつかり合う音がするだけで何やってるか全くわからない。
もう雲の上の戦い。
オレ、どうすればいいですか?
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