マッキーのお仕事2
「馬鹿な奴が居るな。」
私は宿の外で殺気を放つ馬鹿3人を発見。
「あのさ〜、仕事前に殺気漏れてる時点で修行しなおしたほうがいいぞ。」
私は刺客3人の後ろに立って言う。
「なに??」
3人は私に短剣を振って応戦するがこの程度では私に当たるわけがない。きっと目を瞑っても避けられるな。
「貴様何者?」
「そういうのはあんたたちみたいな奴には言ってやらないよ〜。」
私は漆黒の霧で3人を拘束する。
「グギャァァ!!」
大きな悲鳴に宿に居る人々が窓を開けて外を見始める。
「マッキー??」
「名前呼ぶなよ!!格好つかないだろ??」
貴族が私の名前を呼ぶ。こんなバレ方をするなんて・・・。かっこ悪いだろ・・・。
貴族が宿の外に出てきて刺客の顔を見る。
「はぁ、なんで・・・」
どうやら見覚えがあるようだ。
「こいつら知り合い??」
「いや、この人たち自体とは知り合いではないよ。この胸の紋章・・・。うちの家紋なんだよ。」
悲しい顔をするザンダース。
「もしかして身内か??」
「あぁ。兄2人、姉2人。誰からかのものだろうね・・・。」
「なんか悲しいな・・・。兄弟なのに。」
「あぁ、貴族ってそんなことがよくあるみたいなんだよ。まぁ、王族ほどではないだろうけどね。跡目相続とか、資産の相続とか・・・。」
「もしかして今回の仕事って??」
「あぁ、こうなったから言っておかないとね。父上に頼まれたんだよ。お前は跡目になる可能性が低いと。ただ、跡目になるものが邪悪だともっと可能性がないと。だから危険ではあるが誰かが兄弟を手にかけてでも跡を継ごうとするか調べてくれって。もし全員がそういう考えの場合はお前が継げってね。」
「で、誰かの刺客となったわけか・・・。吐かせるか?」
「できるのか??」
「わからないけど・・・。ここじゃ無理だな。もっと広くて、大声を出しても誰にも気づかれないようなところがあるなら・・・。」
「あぁ、用意しよう。小型の船に乗って海に出れば誰にも声は届かないと思うから。」
夜のうちに怪しい店に入り船を1隻買う。そうして船乗りを雇い海に出る。
拷問のためだけに・・・。
今、私とザンダース、そして即席で雇った3人の船乗り兄弟が船の上で3人の刺客を囲んで突っ立っている。
「マッキー・・・。何をして吐かせるの?」
「ん?拷問以外にあるのか??あるならそれでいいけど。」
「いや、マッキーのスキルか何かで聞き出すのかと思っていたんだが・・・。」
船乗りが顔を見合わせている。そして顔を青ざめさせている。
ザンダースも脚をがくがくさせている。
「なぁ、刺客3人よ。素直に話すなら皆ハッピーなんだけど。話さないなら別にいいから。私が知りたいことは、君たちの依頼者だけ。それ以外は何も要らない。だから話してくれ。」
私は3人の強さを測る。恵が必ずやっておけと言っていたことを忠実に。
78,80、102か・・・。多分こいつがリーダーだな・・・。1人ちょっと違う被り物をしている女が居る。そいつが一番レベルが高く、一番強い。そして見た目リーダーっぽい。
私の言葉に反応なし。まぁそうだろうね。このレベルだもん、簡単に話をするほどの素人ではないはずだから。
「うん、話を待つ時間は終わりな。この中でリーダーはお前だろ??じゃぁ他の2人は死んでもいいんだよな?」
私の問にも無反応。さすがプロですな〜。
「じゃぁ一番弱い君には残念だけど死んでもらうよ。」
私は手から漆黒の霧を出し男を顔だけを出した状態で包む。
「な!!なんだ??クソ!!離れろ!!うぁ!!うわ!!うわぁぁ!!」
大きな断末魔の叫び声が夜の海に轟く。口から血を流して目を見開き、ブルブル震える男。
「マッキー・・・何を??」
ザンダースが私に小声で聞いてくる。今ここで何が起きているかわかっていないようだ。
私が出した漆黒の霧が晴れると・・・
ドサドサドサ・・・
船乗り3人が気を失う。あまりの衝撃的なシーンに意識を保つことが出来なかったようだ。
「マッキー・・・これは・・・」
ザンダースも声が上ずって腰を抜かして私の横に座り込んでいる。
霧に包まれていた男は首から上を残し綺麗に皮と筋肉が消化されている。内蔵と骨格だけがその場に残り、受け皿のなくなった内臓が甲板にバサッという音とともに散らばったのだ。
「ひぃぃぃぃぃいい!!」
生きているリーダーと思われる女も、男も顔をひきつらせて漏らしている。
「あああああ、ベルムが・・・ベルムが・・・」
男がブツブツと何か言っている。きっと死んだ男の名前だろう。
「さて、次に行こうか。気にしなくていいから。甲板の汚れも霧で包めば綺麗サッパリだから。さ!!次はどっちにする??あぁ、あと、見ての通り、重要な部分は残っているのに絶命しているだろ??痛みで死ぬから。死に方としては最悪だぞ?」
私の笑顔に
「まってくれ!!俺は何も知らないんだ!!ライが、ライなら知っている!!俺は何も知らない!チームを組んだだけだ!!」
「知らないのか〜。残念だな〜。じゃぁ死んでもいいな。女はじわじわこの姿に近づいて最終的には殺してしまうだろうが、お前はラッキーだ。さっきの男と同じくらいで死ねるんだから。あとな、実は別に話さなくていいんだよ。次の刺客に聞くだけだから。ザンダースが体を張って調べるんだから。ドンドン来るだろう?刺客。にゃははははっは!!」
私は手のひらから漆黒の霧を出しじわじわ男に近づく。
「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!ライ!早く依頼主を言ってくれ!!そうすれば俺達だけでも助かるんだぞ??後は逃げ続ければいいだけなんだから!!」
そういう男を気にせずに私は霧で男を包み顔だけを出しておく。
「まってくれ!まってくれ!!ライ!!早くしてくれ!!言ってくれ!!!死にたくない!!」
「残念だな。利用価値のないものは始末しないと。禍根はキッチリ断つ。それが私達のやり方なんだよ。」
お別れの挨拶をしていると
「まって!!話す!!話すわ!!だから・・・。」
女は観念して話し始める。
2重で依頼を受けていたこと、依頼主の名前を。
「ザンダース・・・残念だったな。ザンダース??」
私はザンダースに目をやると・・・白目になって気を失っていやがった。
「ザンダース!!起きろ〜〜!!仕事を忘れるな〜〜!!」
私は残念なザンダースを起こそうと頑張っている。だが一向に目を覚ます気配はない。大の男4人がこの程度で気を失うなんて・・・。ちょっと情けない・・・。