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願いで手に入れた伴侶が最強  作者: うぉすれや
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嵌める

コンコン・コン


何故かこのカップルはこう言うノックをする。私が来たよという合図のようだが・・・馬鹿丸出しだな。


「どうだった??」


俺はヴァンパイアの女の格好のまま部屋に入る。なにかすごく甘いいい匂いがする。


「シュム・・・言うこと聞いてくれないからちょっとやり過ぎたかもしれないわ。後で回復してくれるかしら?」


「ええ、任せておいて。あなたのやらかしたことは全て綺麗に片付けるわ。」


全く俺の方を見ずに監視カメラを見ている。


「で、向こうの様子はどうなの?」


「あの女どもに馬鹿なオスたちが始末されてるわ。いい気味ね。能無しは本当に弱いわ。」


監視カメラの向こうで蹂躙されているヴァンパイアの男であろう者たち。談笑しながら歩くレイ達にワンパンされて壁に脳を撒き散らせて死んでいる。まぁ心配はしていないんだけどね。もう少し緊張感を持とうよ。


「私が応援行こうか?」


「いいえ、あなたは私と・・・ね?」


ゆっくりと立ち上がり、俺の前に立つ。そうしてヴァンパイアの女の見た目になっている俺にキスをする。


「痛っ!」


俺は唇を噛まれる。


「ふふふ・・・で、あなたは誰??」


「え??」


「あなたはリムじゃないわ。匂いでわかるの。あなたは誰??答えたくなるでしょう???」


「俺は・・・吉永恵・・・。」


「ふふふ、いい子ね。リムはどうしたの??殺した??」


「いいえ。確保しています。」


「そう。傷はつけていない??」


「すぐに治ってしまいました。」


「そうね・・・。傷つけたのね・・・。私のリムに!!」


俺の前にいる女は俺の腹に蹴りを食らわす。変身が解けた俺は後ろに吹っ飛び壁にもたれる形で座り込む。


「リムはどこ??」


俺の顔を踏みつけて


「捕らえて縛っています。」


「そう・・・。無事ならいいわ。じゃぁついて来て。」


俺はその女の後をついていく。


かなりの距離を歩いただろう。大きな建物の中のある部屋にやってくる。


コンコン


「シュムです。キシュワード様・・・。」


「何か用か?なんだその男は?なぜここに連れてくる。」


「私の眷属になりまして・・・。いつでもあの国を我々の配下にできるようになりました。」


「おぉ!!そうか!!それはよくやった!!この男は刃物も通さない体と聞いていたからじわじわ魅了していくしかないと思っていたんだがな。で、どうやって?」


「はい。キスをするふりをして唇に噛み付きまして・・・。」


「その過程も気になるがその辺りは聞いてしまうと上司としてダメだもんね。」


「そうですね。向こうの世界から来るものの言葉で言えば・・・セクハラというやつですね。」


「そうか・・・。まぁ眷属に出来たなら話ははやい。さっさとソイツを国に戻して我々の都合のいいように動いてもらおう。」


「はい。すぐにでも」


「あぁ、ちょっとまってくれ。こいつの護衛が同胞を殺しまわっている。その後始末をしてくれ。ソイツに戦わせてな。」


「すぐに。」


俺をどこかの建物に連れて行くシュムというヴァンパイア。

俺は黙ってふらふらと付いて行く。


「おい、塵よ。今からお前の仲間だったものに合わせてやる。少し話をして私が合図したら全員殺せ。わかったな。」


「・・・はい。」


シュムは扉を開くと大きな広間には数名のヴァンパイアが治癒力の範疇を超えた傷を負って悶えている。


「貴様達・・・情けない奴らだ。キシュワード様の命令だから仕方なく助けに来た。さっさと傷を直して退け!!」


シュムがそう言うと男たちは怪我を負った同胞を抱えてどこかに行く。


「お前たちの王をこの場に連れてきてやったぞ。喜べ。」


その言葉にレイが


「弱いのが粋がってるわよ、やっちゃん。どうする?」


「手足もげば言うこと聞くんじゃない?」


そのセリフを聞いてレイがシュムに斬りかかる。


ガギィィン!!


俺が斬撃の軌道に入り、シュムの身を守る。


「メグミ??」


「なんか・・・恵くん、様子が変よ・・・。」


「もしかして操られちゃってる?」


「ははは、まさか・・・。」


レイ、やっちゃん、ハウン、そしてメイリーンは困惑している。


「この男は私に噛まれて私の下に付いた。もう、お前たちの知っている恵という男ではない。私の下僕だ。やれ!!お前の最大級の力を見せてやれ!!恵よ!!」


「ぐぁぁぁぁぁ!!」


俺の狂戦士のスイッチが入る。











ーーーーーーーーーーーーーー

恵の様子が変だ・・・。目がうつろで、ふらふら突っ立っている。

ケバい女の言うことを聞くメグミが私達の前に立っている。

メグミの髪が逆立ち、身体が一回り大きくなる。これは狂戦士化だ。お母様と戦うときに比べると相当気を押さえているが、普通の生物ならこの状態のメグミに出逢えば、確実な死が待っている。優しいメグミの時とは違い、身体を傷付けることにも、命を奪うことにもなんの躊躇もない。


「あれ、ヤバイやつでしょ?こんなところで??」


ハウンが落ち着いて光の屈折を用いてここにいる私達の姿を消す。


「グァァァァァァァ!!」


その辺の者を全て破壊し始めるメグミの姿を見ながら・・・。


「そろそろね・・・。」


暴れ回るメグミを見て、愚かにもメグミを連れてきた女が声を上げる。


「何をやっている!!どこかにいるはずだ!!おい!!」


「グルルルルルル」


涎を流しながら、私達を探していたメグミが女の存在に気づく。


「グバァァァァァ!!!」


メグミは主となったはずの女に襲いかかる。とっさに回避する女。


「何をやっている!!私だ!!わからないのか??」


女の目ではメグミの動きを捉えきれていないようだ。


「ぎゃぁぁ!!」


メグミの拳が女の身体を捕らえて女は遥か後方の柱にぶち当たり、肋が体から飛び出る。ものすごい大量の血を流して前のめりに倒れる。その姿をすぐに追うメグミ。


倒れた女に何度も踏みつけてつぶしにかかるメグミ。

女の体がミンチになってそこら中に飛び散っている。


「はぁ、しんど・・・。」


メグミが狂戦士の状態から元に戻ったようだ。


「あぁぁ、このまま黒幕まで行けると思ったのにな〜。はぁ。」






ーーーーーーーーーーーーーー


俺を操っている気になっていた馬鹿な女は俺の周りに飛び散って跡形もない。残っているのは顎の部分のなくなった頭部だけ。


「もしもし??聞こえますか??」


時間とともに少しづつ体を構築し始める女。


「なぜ??・・・・なぜ???私の眷属になっていない??」


「恵くんにヴァンパイアのウィルスが効くわけないじゃない。馬鹿じゃないの??」


「ダリアの時に免疫付けたもんね。あれのおかげかな??」


「ダリアをあんなけ抱き続ければ免疫がどうこうって言うのはもう関係ないんじゃない?」


やっちゃんやハウン、レイの話に


「だ・・・り・・・あ??あのダリアか?」


「ん?知り合いか??」


「ミューアスの魔人・・・ダ・・・リアか?」


ダリアはこいつらに魔人と呼ばれているんだ〜〜。笑えるな。


「ダリアの知り合いみたいね?会わせてみる??」


「いや、さっき、こいつとは違うヴァンパイアに会わせたけどこれといって反応がなかったよ。ダリアに塵って言ったからお仕置きしといた。ちなみに今はダリアもお仕置き中だけど。」


「なにそれ??状況がさっぱりわからないわ。」


首だけになって転がる女を余所に俺達は会話を続ける。


「ダリア呼んでみようよ!!」


「呼んだら誰が責任取る??」


「え??責任??なんで??」


「わけがわからないけど呼びなさいよ!!私が何とかするから。」


やっちゃんがなんかちょっとキレている。でもね・・・。その言葉に責任持ってやれよ。


「ダリア!!ここに出てこい!!」


「にゃははははははははははははははっはは!!」


おもらししながら転げまわるダリア。


「ちょっとこれ・・・。」


「やっちゃんは責任持ってこれを解いてね・・・。」


俺のセリフに青ざめるやっちゃん。やっちゃんは知っているのだ。コレを解こうと近づくと、どうなるか。


「無理無理無理無理!!こんな状態とは・・・」


涙目になってダリアを見るやっちゃん。やっちゃんを見てダリアが少しづつやっちゃんに近づく。


「弥生様・・・助けて・・・あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」


ジリジリ後ろに下がるやっちゃん。その後ろにはハウンがいる。ハウンはもちろんこの恐怖を知っている。


「やっちゃん!!ゴメン!!さっきの言葉の責任とって!!」


ハウンがやっちゃんをダリアの方に突き飛ばす。


「え!!??うらぎりも・・・」


その言葉も虚しくロープに捕まる。


「はぁぁ〜〜」


俺はため息を吐いてロープを止める。


「恵くん・・・ありがとう。グスッ」


「恵様・・・申し訳ございませんでした・・・。」


泣きながら謝るダリアに泣き出すやっちゃん。面白いなぁ〜。

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