黒幕に辿りつけ!
「何を言えば私は開放されるの?」
ヴァンパイアの女は俺に尋ねるがそれを知ってしまったらそれしか答えないでしょ?
「ん〜〜〜?いろいろ。ピンポイントでそれを知ってしまうと君はそれしか言わないでしょ?だからあえて俺のほしい情報は君に伝えない。だから色々言ってみて。その中にあれば開放。万が一だよ、なかった時はそのまま俺が死ぬまで封印。と言っても俺は死なないんだよね。」
俺は自分の腕を自ら刎ねる。落ちる腕に目をやっているヴァンパイアの女。
「見るべきはそっちじゃないよ。もう!!」
俺は腕を刎ねてその腕が床に落ちるまでの間に切り落とした腕は再生して生えて来ている。
「なんだ・・・その身体・・・。」
「俺も知りたい。君が知っていればその時点で即開放なんだけどね。ははははは・・・」
本当にこの状態に何かしら知識があるなら開放している。まぁないだろうけどね。
「貴様の・・・」
「きさま??」
「あ、いえ、お前の・・・」
「おまえ?」
「う・・・・。あなたの・・・」
「まぁっその辺で手を打ちますか。恵様とまで呼ばせようかと思ったけどね。そうするとスネそうな奴が何人かいるから・・・。」
「あなたの体のことなんか知らない!!でも・・・」
「知らないではなく、『知らないです。』もしくは『知りません』です。」
「クッ!知らないです。あなたの知りたいことは私の上司ですか?」
「ん〜〜〜〜、知りたいけどそれほど重要じゃないかな??でも言い出したからには言ってね。」
「な!?・・・私の上司はシュムという女です。その方もヴァンパイアです。」
「ほうほう、それで??ソイツの居場所は??」
「この建物の3階にある執務室です。」
「で、強いの??」
「強いかですか・・・。私より少し強いくらいです。この仕事で上に登るには強さよりもどれだけ長く仕えたかですから。」
「ふ〜ん、で、君は幾つ??いや、いいわ!!女の人に歳を聞いたら怒られるからな〜。どんな姿??美人??」
「ここにいるヴァンパイアは皆美人です。一応、皇帝などの側室として存在しているので。と言っても人族となんかも交わりませんが・・・。」
「なんで、側室なのに交わらなくて済むの?」
「魅了をかけるのが仕事です。」
ほうほう、なるほど・・・。皇帝を操るために魅了し続けているわけか・・・。
「その魅了ってすぐに解けるの?」
「何かあれば解ける可能性もあります。だから毎夜、かけ直しているんです。」
情けない術だな・・・。かけたら最後、死なんと解けないくらいのものを用意しないと・・・。
俺はそれを声に出していたようで
「そんな強い術をかけると人形みたいになって使い物になりません。だから軽いものを毎夜かけるほうが人としてちゃんと動けるんです。」
なるほどね〜。いいわけだな。
「まぁいいや、その辺りは俺に関係ないからな。」
「じゃぁ、俺はその上司にあってくるわ!!」
俺は変身する。今、目の前にいる真っ裸のヴァンパイアと同じ姿に。
「え??私??」
「じゃじゃ〜〜〜〜ん!びっくりした??俺の変身、凄いだろ??」
「声まで・・・そんな・・・。」
「まぁ、俺はメグミ皇帝の影武者だからな〜。」
「うそ!!そんな馬鹿な!!本物は??」
「そんなの言うわけ無いじゃない??」
「・・・」
少し沈黙が続く。
「うっそで〜〜す!!本物ですよ〜。」
ヴァンパイアの女の周りをスキップして回る。ものすごい悔しそうだな。
「さて、俺はどう立ち回れば怪しまれないかな??」
『デュラン、この女の上司に対する接し方とか、話し方、呼び方なんかを教えてくれるかな??やるからにはディテールにこだわりたいんだけど。』
『相当な暇人だな。まぁいいけど・・・。』
俺のことを暇人と言いながらも、俺の頭の中にいろんな情報を叩き込んでくれる。よしよし、これで完璧だな。この女の個人的な情報、上司の個人的な情報をも教えてもらい、俺はこのヴァンパイアの女になりすます。
「じゃぁ、君の彼女に会いに行ってくるわ!!」
「な!??何で知っている!!???」
真っ赤になって驚く女。俺はゲラゲラ笑いながら
「シュム・・・今夜も気持ちよくしてあげるわ〜!!」
「やめろ〜〜〜!!!」
その言葉と共に俺の持っている虫かごに収容されるヴァンパイアの女。そこで一部始終を見て苦しみなさい。と言っても君はロープのくすぐり地獄でいっぱいいっぱいだと思うけどね・・・。
「ははははははは〜」
俺の頭の中でデュランがつぶやく・・・
『こいつ・・・悪魔だな』