従者の実力
「君に勝てたらディナー出してくれるのかな?」
俺はちょっと顔をにやけさせていってみる。
「噂の人族最強というだけで、そこまで自信を持っているのか?」
ゆらゆらと俺の前を歩く。これは・・・、何かしらの歩行術なんだろう。踏み込みや、足音、気配が読みにくい。相当の手練のようだ。
「人族最強っていうのは多分間違ってるな〜。上には上がいるというのが普通だから。」
俺が否定してみると
「フッ。」
鼻で笑われた!!その瞬間に俺の顔の前にその女が現れて横一線に小型の剣を振る。回避して後ろに飛んで逃げる。
「あっぶね!!」
着地するとその後ろからまた剣を振る女。移動先も読まれていたようだ。だが、
俺は後ろに来るであろう予測のもと、右拳を裏拳気味に振っておいた。
グボッ
どうやら女の頬あたりにヒットしたみたいだ。女が血を吐きながら柱に着地する。
「貴様!!」
顎が砕けて、美しい顔が台無しになっている。
「あぁ、ごめんよ〜。その程度なら当たらないと思ってたんだけど。まさか当たってしまうとは・・・。それと、安易に後ろ取るのやめたほうがいいよ。安直すぎ。」
俺がちょっと挑発してみると
「まぐれの一発で調子に乗るな!!」
女は自分の砕けた顎を手で押さえて、元の位置に戻す。そうすると、あら不思議!!顔の崩れが戻る。
「ふふふ、貴様の攻撃をいくら受けようともすぐに元に戻るんだよ!諦めて元の部屋にもどれ!」
「おぉ、うちにもいるけど、ヴァンパイアってやつかな??レベルもそこそこだね。」
レベル250ほどだろう。その辺で見かける魔物と比べれば圧倒的に高いレベルだ。
「なんだ??貴様は我らの同胞を飼っているのか??情けないやつだ・・・。人族如きの言うことを聞いているなんて・・・。」
「あんたも人の元で働いてるじゃない??それと何が違うの?」
「貴様は私が人の元で働いていると思っているのか??おめでたいやつだ。私達がこの国を支配しているんだよ!!」
「そういう大事なことは言うべきじゃないよ。ほら、俺、口が軽いから。ふふふふふ」
「何がおかしい!!貴様も操り人形になって貴様の国に帰ってもらうんだから、ここでバラそうとどこかにバレるわけもない。」
相当自信があるのだろうか??秘密っぽいことをぺらぺら話しまくりなんだけど・・・。
「あぁ、そうだね。俺を何とかできればいけそうだね。その計画。」
俺はダリアを召喚する。
「恵様、お呼びですか??」
「ダリア、お友達がいるけどどうする??」
「え??お友達??アレが??」
ダリアはヴァンパイアの女に指さしながら『アレ』呼ばわりをしている。
「人に飼われている塵が私にアレというのか?」
「恵様、アレが私に向かって塵と言っていますけど、ちょっと折檻していいですか??」
「折檻というのがどういうものかわからないけど、裸にひん剥いで、コレを試すくらいならいいよ。」
俺の秘密のアイテム『コチョコチョロープ』を出す俺。
「それは・・・。あの、あのアレですよね・・・。」
ダリアは使われたことがないはずだが知っているようだ。
「どう聞いているかわからないけど、多分ソレだな。」
俺がニヤニヤしながらダリアにそのロープを投げようとする。
「ちょ!!そんなもの私に向けないでくださいよ!!アイツを捕まえますから!!」
即座にヴァンパイアの女の背後に周り羽交い締めをする。
「な!!貴様!!いつの間に!!」
ジタバタするが全く動けないヴァンパイアの女。
「う〜〜〜ん、君もそそっかしいタイプのようだね。何かと戦うときは必ず最初にその者の強さを知ろうとしなくちゃいけないよ。」
「ふざけるな!!格下相手に何でそんなことを・・・。」
「はぁぁ、自分が強いと思って相手を舐めるようになったら死が近いと思っておこうね。」
ニコニコしながら俺がコチョコチョロープの端をヴァンパイアの女の首に巻きつけてギュッと縛る。窒息しない程度に・・・。ロープから手を放すその瞬間に後ろで羽交い締めをしていたダリアがものすごい慌てて逃げ出す。
「ちょっと!!恵様!!手を放すなら一言言ってくださいよ!!」
「ゴメン、ゴメン。一緒に絡まったら俺的には・・・ね?」
俺のニヤケ顔を見てダリアが一言
「変態・・・」
10分ほど俺とダリアはロープに裸に剥かれたヴァンパイアの女の様子を見ている。ダリアはなぜか股間を押さえてモジモジモジモジしている。顔も真っ赤だ。ヴァンパイアの女はくすぐられて何度も失禁しながら何度も何度も絶頂を迎えているようだ。「あ〜〜あ〜〜〜〜」しか言わなくなっている。
「恵様・・・これはちょっと・・・。」
「ダリアも試す??まだあるよ??」
秘密のアイテムをもう1つ出すと
「屋敷に帰ってから試します・・・。」
真っ赤な顔っでモジモジしている。試すんだね・・・。
「なにか話す気になった??後、ダリアに謝る気になった?」
その言葉と共にロープが一旦くすぐるのをやめる。
「はぁはぁ、何の話だ??何を謝る??」
「塵って言ったじゃない?ソレは謝ってほしいな。俺が話している間はロープは動かなくなるけど、話をやめるとまた動き出すよ。いいの?」
「何を言っている??この程度で私が口を割るわけ無いだろ。」
「別に口を割らなくていいよ。このままずっとこのロープと過ごせばいいだけだから。魔力切れすれば動かなくなるしね。ちなみに、それを付けて何時間でも何日でも放置っていうのもあるからね。」
その言葉を聞いてヴァンパイアの女が観念する。
「わかった。話す。だからこのロープを解いてくれ。」
「いやだ。美女がのた打ち回る姿を見るのが俺の趣味だから、次のターゲットができるまでそのままにしておく。まぁ、俺の知りたい情報を聞かせてくれればその限りじゃないんだけどね〜。」
「うわぁぁ、ものすごい怖い。変態中の変態だ・・・。」
ダリアがブルっと震えている。
「ダリアは帰ったらお仕置きな。」
「勘弁してください!!勘弁してください!!申し訳ございませんでした〜〜!!」
土下座をして頭を下げ続けるダリア。その頭を下げて無防備になった背中に
「エイッ!」
俺はコチョコチョロープを投げる。
「え??ちょ!!やぁ〜〜!!」
涙目で悶えるがこのロープから逃れられるほどの強者は居ない。腕力自慢のレイでもこのロープから逃れることはできないのだ。
「あぁ〜〜〜!!」
ロープに服を脱がされているダリア。
「ごめんなさい!ごめんなさい!!にゃはははははははははは・・・」
くすぐりを開始されて笑い続けるダリア。俺はその状態のまま、送還して俺の屋敷にダリアを返す。
円陣と共に光とダリアが消える間際に
「タスケテ〜〜〜」
という声だけが聞こえる。でもね・・・そのロープ・・・、着けていると誰も近づいてこないよ。巻き込まれるから・・・。