お父様は何位?とか魔王核とか・・・。
「なんか、努力とか、頑張るとか、意地とか、気合とかとは縁遠くなっている人の代表がお父様なのでは?と思っちゃって・・・。」
レイはそういう男があまり好きではないんだな。
「でも、ゾルミスは強かったわよ。あの戦争で唯一魔族側で勝利していたのがゾルミス率いる軍と、ミシュラ率いる軍だったから。あの2人のおかげで今の魔族がいるって言ってもおかしくないほどよ。」
「お父様はそんなに強かったの??」
俺が聞くと
「そうね。ミシュラが見初めるほどだもん。この世界ですべての種族の中で10指には入ると思うわ。」
「うっそよ〜!!そんなわけない!!お母様、レイリー、それにここにいる私にメグミ、やっちゃん、ハウン、それにメイリーン、最強と思われるものがもう7人もいるのよ!!ここにいる私達より強い??そんなわけないわよね??それにまだ見ぬ強者や、最古の神々だっているし、魔族の中にも・・・それに魔物っ娘たちだって・・・。」
レイは何があってもお父様が強いというのを認めたくないみたいだ。
「確かにミシュラと比べれば、何でも霞んでしまうわよ。アレはダントツだと思うわ。それでも、恵様くらいならどうにかできるのでは?」
「ありえないって!!」
レイがテーブルをバンっと叩いて立ち上がる。その音でみんなびっくりしてこっちを見る。
「レイ・・・。落ち着いて・・・。」
俺がお茶を飲みながらレイを諌める。
皆見みられていることに気づいて顔を赤くして座るレイ。
「ごめんなさい・・・。」
「ゾルミスは弱くないわよ。魔王核を取り除いた今でも相当強いはずよ。」
「あ〜、それ聞きたかったんだよ。なんなの??魔王カクって・・・。カク?角の方の??」
俺の気にしている部分にズレがあるのは承知しているけど、皆がアホな子を見る目で俺を見ている。
「核ミサイルの方の核よ。」
やっちゃんが優しく俺に伝えてくれる。
「魔王核っていうのはね、魔族の王が持っている魔力増量の触媒みたいなもの。1のエネルギーをそれを使うことによって10にも100にもするっていう反則アイテムよ。」
「あの、ディスられていた杖か何か?」
俺とレイリーは初めてであった時、レイリーは自分の装飾品を大いにディスっていた。その中に杖があったと思うんだな。それか?宝石の方か??アイテムっていうくらいだから。
「いいえ、アイテムって言っても物じゃないわ。生き物っぽいものよ。それを身体に寄生させて常に魔力を与える代わりに戦闘で絶大な力を貸してもらえるの。与えているのか?貯金のように貯めているのかもわからない。どういう原理かはわかっていないわ。わかっているなら神々が作って形勢逆転させてたはずだから。」
ハウンがお茶を飲みながら俺に説明してくれる。
「ふ〜〜ん。今はレイリーが持ってるの??」
「ええ、たぶん。わからないわ。魔族の秘密の部分ですもの。もしかしたらレイかもよ・・・。」
ハウンはレイのほうを見て、それにつられて皆がレイを見る。
「ははは、私は持っていないわよ。あんな気持ち悪いもの・・・。身体に入れるなんて・・・。」
「レイは形も知ってるんだ・・・。」
「秘密!!」
「は〜い!!お待ち〜。天丼とカツ丼の方は?」
出来上がった料理を俺達の座るテーブルに持ってくる死の神々。
「後で話あるから会ってくれる?」
「え??いやだ。」
ハウンが素っ気なく答えると
「さっきは悪かったからさ〜。話を聞いてよ〜。目が治ったあんたなら私の役に立つはずだし〜。」
「い・や・よ。」
「おい、人族よ。ハウンに私の話を聞くように説得してくれ。説得できたら何でも言うことを聞いてやる。何なら死に出会わないようにしてやってもいいぞ。」
「それはもうご勘弁・・・。」
俺は手を振ってお断りする。
「はぁ??不死だぞ??誰もが羨む不死だぞ??」
「不死ってある意味呪いでしょ?要らない。」
俺に断られて悄気げてカウンターに戻っていく死の神々。
「ふふふ、いい気味。」
その後ろ姿を見て微笑むハウン。