定食屋緑
俺達は地図の示す場所へ行ってみる。
『定食屋 緑』
「あった!!」
前のお店と違い一軒家を改築して作られたという感じではなくちゃんと店舗として作られた建物だ。
かなり大きいな。俺はカラカラっと扉を横に開くと。
「いらっしゃい!!あ!!」
俺の顔を見て店主のおじさんがカウンターの向こうからこっちに来る。
「お久しぶりってところだな!!元気だったかい??いや〜無事でよかった!!」
俺と握手するおじさん。
「お〜〜〜い!!お前の恩人が来てくれたぞ〜。」
そう大きな声で言うとカウンターの奥から奥さんが出てくる。
「あらあら、久しぶりですね〜。あら??雰囲気変わりました??以前の・・・ふふふ。冒険者ですものね。」
笑顔で俺の手を取る奥さん。
「お店がなくなっていてびっくりしまして・・・。ギルドに聞いてこっちのお店にこさせていただきました。」
「そうそう、君のおかげで妻の体調が良くなってから、いきなりお客さんが増えだしてね。あの店じゃ手狭になってしまったんだよ。まぁ、君たちは俺達の福の神てところかな??わっはっはっは!!」
俺の背中をバンバン叩く。おじさんも元気そうで何よりだ。
「今日は久しぶりにここの料理が食べたくなって。戻ってきたんですよ。」
「そうかい!!そう言ってもらえると嬉しいね〜。」
笑顔でカウンターの中に戻る2人。
俺達はゾロゾロ大きなテーブル席に案内されそこに座っていく。
「はい、焼肉定食ですね〜。」
隣のテーブルに見たことのない女性が食事を運んでくる。
ん??新しい店員さんが増えている?
「あぁ、コノ子、はじめてだったね。この店に移ってから働き始めたミキちゃんだよ。」
ミキちゃんか・・・日本名っぽいが旅人か??
「初めまして、ミキです。よろしくお願いします。」
ハウンをチラッと見てから挨拶したように見える。気のせいか??
「はじめまして、このお店の味が大好きで来ました。これからもよ・・・」
「何であんたがここにいるのよ?」
ハウンが頬杖を付いてふてくされた顔でその女性に話しかける。
「ん??知り合い?」
「店主さんもこの子に正体知ってるの?」
「ん??何の話だ??知り合いか??」
店主のおじさんは大きく頭をかしげる。とぼけているという雰囲気ではない。
「こいつは・・・。」
その言葉と同時に時間が静止する。
「はいはい、ハウン〜。ストップ〜。」
「時間って俺以外にも止めれるんだ・・・。」
俺が声を発するとびっくりした顔で俺を見ながら
「はい??何でこいつ動けるのよ??」
「だって、恵様は時間を止めるスペシャリストですもの・・・。」
ハウンが俺のことを変に紹介するが、そんなスペシャリスト聞いたことがない。
「なんで??こいつ人族でしょ?何でハウンがこんな下賎な生き物に様付?」
下賤って・・・。えらい言われようだな。
「何こいつ?メグミを愚弄してるの?」
レイが剣を出そうとするが俺は手を上げて制止する。
「恵くんをというより人族すべてを愚弄したでしょ?ここの店主さんもその下賎な人族に含まれてるんだけど?」
やっちゃんは相変わらず少し刺を持って話す。
「え〜??何こいつら??皆動けるじゃない??どういうこと??」
相当気に食わなかったみたいでかなり嫌そうな顔をする。道端のう○こを踏んだくらい嫌な顔だな。
「このまま斬りますか??」
メイリーンが店員の女性の後ろに立ち、剣を首にあてがっている。今にも切り落としてしまいそうだ。
「え?いつの間に??」
驚く店員の女性。俺はメイリーンに手を向けて制止し、剣を仕舞うように言う。
「ハウン、この女性は??」
「何こいつ??この状況なのにすごい冷静ね。ちょっと気持ち悪いわ。」
店員の女性が俺に向かって悪態をつくとやっちゃんが立ち上がろうとする。
「あのさ〜。こっちは大きな問題を起こしたくないから押さえてるんだけど??いちいち挑発しないでくれる??ハウンの感じからして神々でしょ?」
「なんだ。ハウンの正体を知ってて一緒にいるんだ。でこいつ何者?」
俺が聞いているのを無視して、その店員の女性はハウンに俺の素性を聞いている。
「恵様、この女は死の神々。昔話に出てきた、力を最初から持っていた神々の1人です。名はアッシュ。」
「ふ〜ん、じゃぁ、最古の神々なんだ。何でここで働いてるの??」
「何で私がお前の質問に答えねばならない?」
「別に答えなくてもいいよ。気にしなけりゃいいわけだし。ただ・・・。この店の人たちに何かしらの被害が出た時は、遠慮無く始末するからね。」
俺は時間停止を強制的に解除する。
「ええ、知り合いよ。昔なじみなんです。ふふふ。」
時間制止する前の会話に合わせてハウンが答える。
「そうか!!よかったな!!馴染みの顔に会うっていうのはいいことだ。まぁ、仲が良かったらの話だけどな!」
俺達の注文を聞く店主のおじさん。カウンターをよく見ると見たことない店員さんが何人かいる。
「ハウン、あの人は何でここにいると思ってるの?」
レイの質問に
「気まぐれなやつだからわからないわ。人に危害を加えるっていうタイプでもないから放置でいいと思うけど。」
何故かふてくされているハウン。
「ハウンはあの神々嫌いなの?」
「え??何でです??」
俺の質問にギョッとする。
「いや、なんか雰囲気がそう物語っているように感じるから。ミシュラにも知らせとく?あと、ルナリスにも。」
「ええ、知らせておいたほうがいいですね。あの女は結構なトラブルメーカーですので。」
「あの人強いの??」
やっちゃんはそこに興味があるようだ。
「昔から力を与えられてた神々だからそりゃぁ強いと思うわ。でも・・・ミシュラと比べれば霞むわよ。所詮、死なせるだけの神々なんだし・・・。」
「死なせることができるんだ。それって即死系の攻撃ってこと??」
「ん〜〜〜〜・・・。わからない。そこが一番問題ね。」
「問題なら今のうちに始末する??最古の神々って死ぬの??死ぬとどうなるの?」
「あら、怖いこと言うわね・・・。最古の神々でも死ぬわよ。神々が作った神々が死ねば創造主のもとに力が返るように、私達最古の神々が死ねば、創造主である神のもとに力が戻るわ。多分だけどね。死んだ最古の神々に話を聞いたわけじゃないから・・・。」
「死んだ最古の神々っているの??」
「そりゃいるわよ。魔族との大戦でミシュラとゾルミスが相当量の神々を殺したんだもん。その中には最古の神々も居たわ。」
「それ・・・。私も聞きたい・・・。お父様って強かったの?」
「それ・・・以前クルクの話で怒ってたわね。なんで??お父様が強くても弱くてもいいんじゃない??」
ハウンがレイに聞いていることは俺もなんでか知りたい。別に強くてもいいじゃない??
「やだ・・・あんなひょうひょうとしたのが強いなんて・・・。」
凄い頭を横に振るレイ。
「強いのにそう見せているお父様が凄いと思うんだけどね・・・。俺は。」
俺の言葉にレイが何故か下を向いてしまった。