空間から出たその後。
放置しすぎてやっちゃんとハウン、メイリーンにボコボコにされた俺。
服がぼろぼろです。
ホコリまみれです。
俺は今、ボロボロの服を来て皇帝の間でいつもの椅子に座っている。
あの空間は転がっていれば体力全快で、破損した武具も綺麗に治る。でも、転がったと認定されていない間はそのままなんだな。
「料理おいしい??」
俺の言葉を聞いて3人は俺を睨む。
「とっても美味しいわ。さすがに数時間も皆から遅れて食事するんだもん。最高ね。」
やっちゃんが皮肉を交えて俺に言う。
「私も皆さんと談笑しながらお食事したかったわ〜。」
ハウンも刺のある言い方をしてくれる。
「美味しいです!!めちゃくちゃ美味しいです。死ぬほどお腹が減っていたのですごく美味しいです。」
メイリーンまで・・・。
「まだ皆いるんだから談笑してもいいと思うよ。ほら・・・皆ヒイてるじゃない?」
俺のボロボロの姿を見て全員がヒイている。そりゃぁヒクわね。宴会の主催者が何故か衣服をボロボロにして帰ってくるんだもん。何の説明もないし・・・。
「皆さん、とても楽しいひと時だったでしょう?あんな戦闘訓練なかなかないわよ。やっぱり強いものと戦ってこそ強さが身につくというもの・・・。私も自分より格上と戦闘したいわ〜。あの空間なら死なないし〜。」
とても楽しそうに話をするミシュラに対し
「お母様の攻撃は本気すぎてヒキましたけどね。」
とレイが料理を食べながらチクリと刺す。
「でも、そのおかげで皆さん強くなったでしょう?またやりましょうね?」
ものすごい笑顔だ。ミシュラにとってもいいストレス発散になったみたいだし、ボロボロになった甲斐があるって物だな。
「メイリーン。レベル上がった?」
俺の問いに
「まだ確認していませんが、確実に強くなっている実感があります。最初はミシュラ様に一撃で殺されていましたが、恵様が来る頃には何とかなっていましたから。」
モゾモゾと懐を探って、ノートを出し確認する。
「うわっ」
メイリーンが驚愕の顔を見せる。それを見てレイとやっちゃんが覗き込む。
「な!これ??やばくない??私はどうなってるんだろ?」
何がヤバイのか教えてくれ。メイリーンのノートを見た後、やっちゃんは自分のノートを見てレベルを確認している。
「・・・」
言葉にできないみたいだ。絶句しているとはこのことだろう。
「これ・・・。もう、ダンジョンに篭もるなんて出来ないわよ。話にならないわ。」
やっと出た言葉のようだ。
「で、やっちゃん、レベルいくらなの??」
「一万・・・あ!!」
言いかけてやめた。それでも一万って??
「1万超えしてるの??」
俺の言葉に頷くだけのやっちゃん・・・。1万って何?
「レベルって上限ないの?」
「ないわよ〜。いくらでも強くなれるわ〜。限界は本人が勝手に決めるものだからね〜。」
ミシュラが赤子に言っている。それを聞いてキャッキャキャッキャ言っている二人。かわいいな。
「やっちゃんもやっと1万超えたわね。そろそろ私も気を抜けないな!!」
「レイのレベルは??」
「そんな手に引っかかるのやっちゃんくらいよ?」
その言葉にガクッと項垂れるやっちゃん。
「神々もレベル上がるの??」
俺の言葉にハウンは
「上がっているわね。言わないけど・・・。」
「あの空間で皆訓練すればいいんじゃない?月に数回やれば皆強くなるでしょ?どう??」
俺の提案に魔物っ子たちも、新入りの魔物たちも大いに喜ぶ。
「ミシュラ、先生をお願いできる??」
「ええ!!あれを月に数回??よろこんで〜。」
「それについていけないレベルの者は、レイややっちゃんが先生するからさ。」
その一言に、顔を引き攣らせていた魔物っ娘たちが安堵の表情を見せる。
「そこまでわかりやすくしなくても・・・」
ミシュラが少し悲しい顔をしている。
「ミシュラが相手だとすぐに肉片になってしまうからね・・・。」
俺の言葉にクルクたちは「ははは」と顔が笑っていない笑いを聞かせてくれる。
「神々の皆さんもどうですか?ミシュラ相手に暴れるのってなかなか出来ない経験ですよ。」
「いや〜、我々は色々仕事があって・・・その〜、なんですね〜。・・・」
相当嫌なようだ。ミシュラからものすごいオーラを感じるがクルクも闇の神々も、テレサもそっちに目をやらない。さすがだね。