闇の神々
芋虫への対応がなんとなくわかってきた。
物理攻撃が全く効かないというだけで魔法攻撃にはめっぽう弱いこと。
分解や消化などの攻撃にもめっぽう弱いこと。
なぜこの程度の生物に昔の神々は手こずったのかとても気になる。
「昔の神々って経験浅すぎて子どもと変わらないんだな。」
「あの時はとても厄介に感じたのです。こんなはずでは?」
ハウンがものすごく落ち込んでいる。なんか気の毒だな。これで相方を失っていたと思うと確かにものすごく落ち込むと思う。
「そろそろ闇の神々のいるであろう所に着くよ〜。用意はいいかい〜?」
マッキーが俺達に声をかける。よく見れば家らしいものが1軒あるな・・・。
俺達が近づいているのを察知したのか家の中から誰か出てくる。
「あれは・・・」
ハウンが嬉しそうな顔をする。きっと闇の神々なんだろう。
飛竜が地面に脚を着く前にハウンが飛び降りて立っている男のもとに走っていく。
「ルナリス!!」
そう言いながら胸に飛び込むのかと思ったら・・・
バキッ!!!
思いっきり殴り飛ばす。なんで??
「このバカ!!何でいきなり封印とかし始めるのよ!!何も試せずに終わってしまったじゃない!!もっと色々やってからでも良かったでしょ!!」
肩でフウフウ息をしながらハウンが怒り狂っている。いつもの落ち着いた雰囲気は全くない。
「いやいや、まさか・・・再会してすぐに殴り飛ばされるとはね・・・。もっと感動的なものを想像してたんだけど・・・。」
「あと・・・もっと身なりを綺麗にしなさいよ。何その格好・・・。」
「格好と言われてもね。数万年単位でここにいるんだから。それに最古の神々の数人は何度も会いに来てくれてるよ。そのたびに同じことを言われたけど・・・いきなり訪ねてくるから綺麗にも出来ないでしょ?」
な〜んか・・・もっと疲れ果てていたり発狂していたりするんじゃないかと心配だったけど・・・。心配していたよりなんともないな。
「あなた〜。お客さん?」
家から誰か出てきた。美しい女性・・・。どういうこと??
「テレサ、こちらは・・・」
闇の神々ことルナリスはテレサという女性を紹介してくれる。
「聞きたいんだけど、ここには生物は居なかったはず。この女性は??」
俺の問いに俺の正体を聞き返すこともなく
「あぁ、彼女は私が作った神々です。妻にしました。真っ暗の芋虫以外何も居ない世界ですからね。私だけだったら今頃気が触れていますよ。ははははは、で、ハウン。こちらの方は??」
ハウンが俺達の紹介をしてくれる。それを聞いて驚く二人。
「ハウンが人に仕えるなんて信じられないな。まさに自分が一番って感じだったのに。私以外は塵とまで言い放っていた高慢女だったのにな〜。ははははは」
真っ赤な顔でフルフルしているハウン。俺達に過去をばらされて相当怒りのボルテージが・・・。
「いや〜、ルナリス様、私は力の神々よりあなたを救出するように依頼を受けましたクルクと言います。力の神々より魔力のすべてをいただき生み出されたものです。芋虫退治の協力もしに来たのですが、そのことで色々お聞きしたく・・・。」
ハウンの怒りを察して話をそらしにかかるクルク。それに全員共鳴するように顔をひきつらせながらルナリスの周りを固める。このままではルナリスをどうにかしかねないハウンから守っているかのフォーメーションだな。
「ハウン・・・ちょっといいかな?」
俺も気を利かせてその場からハウンを引き離す。
「ハウン、怒らない、怒らない。彼も悪気があるわけじゃないんだから。ハウンは昔気がキツくてつんつんしていたのはもう俺は知っている。だから聞いても気にしないから。ね??ね??」
なだめると涙を流し始める。
「バレてたんですね・・・。グスッ」
いやいや、泣くほどのことではないと思うんだけど。
「よく言うじゃない。過去があるから今があるって。ハウンのすべてが俺の大事なハウンなんだからさ!」
ハウンは目を輝かせ始めた。どうやらうまくごまかせたようだ。
「恵くん、話を聞いたわよ。これから芋虫の巣窟に行くけどどうする??」
「もう殺すだけならあの空間に閉じ込めてしまえばいいんじゃない?イチイチ捜索して見つけて殺すっていうのが面倒でしょ??」
「えぇ〜〜。冒険感が全く・・・」
「あのさ・・・それを言って、毎回途中で飽きたとか、面倒だなとか言い出して『メグミお願い』と言い出すじゃない?今回はもし今これを断ったら絶対途中で中断は許さないからね。中断するなら俺との関係を終了すると思ってね。」
そう言うと皆で顔を見合って
「メグミの意見って最高!!」
「さすが恵だな!手際良すぎ〜!!」
「恵くんのアイデアならすぐに解決できるわね!!」
「皆さん、そこまで露骨に持ち上げるのも・・・」
メイリーンの一言に睨みつける3人。すごくメイリーンが怯えている。
「メイリーンを睨まない!君らは本当にあれだよね、アレ・・・。」
「「「あれ?」」」
「じゃぁデュラン、芋虫共を何もない空間に全て閉じ込めて。全部始末するから。」
「ちょっと!!あれって何よ!!気にな・・・」
やっちゃんの言葉を最後まで聞くことなく、俺達全員いつものだだっ広い真っ白な空間に移動する。
「るじゃない!!ちょっと!!なんなのよ!!あれって!!」
やっちゃんの台詞を相手せず
「芋虫いないね。どこにいるんだろ?」
「芋虫なら共食いをして数体のみです。稀に生き残っている小さいものが居ますが強力な魔法で死にますからね。大きいのはどうすればいいのか全くわかりません。」
ルナリスがそう言っているけど、君たちは何であそこに居たの?
「何であなた達はあんなところで暮らしていたの??」
ハウンが冷静さを取り戻してルナリスたちに質問している。
「この封印から出ようと思ったのですが、この封印、私も含んでの封印なんですよね。他の神々が出入りできるから私もやってみようと思ったんですが出ようとすると封印が薄れる。だから・・・。」
大陸の中心で封印の維持をしていたらしい。芋虫も生物が居ないので何度も襲ってきたが歳月を得て力が強くなった神々の力に勝てないと気づき全く姿を見せなくなったとか。大きい物も、いるかもしれない成虫も。
「で、芋虫はどこに行ったんだ?」
俺の不安は絶好調に的中する。