学校へ行こうぜ!!
レイと並んで学校へ行く。
これってあれだよな、夢に見た光景だよな!
これで俺も選ばれし者『リア充』だ!!
そう思うと今日の太陽は輝きを増しているな!!
見る風景すべてが愛おしいな。
へらへら顔を緩めながら歩いていると後ろから
「おはよう!恵くん。」
元気よく声をかけてくる女性。
背は俺よりすこし低く、髪は栗色でセミロング、肌はきめ細かで白く、目は大きく少しタレ目、
一目見ればかわいいなと思う顔。華奢だが胸はそこそこのプロポーション。
それでいてスポーツ万能、成績優秀。
彼女が行く学校だからと俺は気合を入れて何とか入ったのが今の高校。
そう、彼女があの幼なじみの田村弥生さんだ。
「おはよう、やっちゃん。」
挨拶するとなぜかレイがピクッっとなった。
?なんで??
「恵くん、やっちゃんは止めてよ。はずかしい。」
「あぁそうだね、ごめん。田村さん。」
謝りながら呼び方を変える。
「それはそれで他人過ぎて嫌だな」
小声で言う田村さん。
「で、この子、誰??」
ふつうにレイの存在のおかしさに気づく田村さん。
あれ??設定はすべての人に有効じゃなかったの??
ずっといっしょにいる設定だよね。
デュランの設定ミスか?
身近な人間に設定し忘れるなんてどれだけ仕事ができないんだ??
「いや、うちに前から一緒に住んでいるレイじゃないか??」
「何言ってるのよ?あなたには妹の美久ちゃんがいるだけじゃない。レイなんて知らないわよ?」
おいおい!!やばいぞ!!どうなっている??
俺の背中が冷や汗だらだらになっていると頭の中に声が届いた。
「主よ、すまん。この娘には我の設定が効かんようだ。主のローブには酸無効の耐性があるであろう?それの本人バージョン。この娘にはすべての状態異常が効かん。要するに、我のマインドコントロールも効かんのだ。」
焦っているのか顔は見えないがオロオロしているのだろう。
「この娘、珍しい職についておる。勇者だと。主と同じ旅人じゃ。」
え??とビックリして田村さんを見てしまった俺。
田村さんは顔にはてなマークがついてる。
ここで田村さんに旅人であることを告げてもアウトなのか?
万が一もあるからそれを避けつつ説明できないものか?
朝飯がわりに持ってきた缶コーヒーを飲んでどうしたものかと思案していると
「この人勇者だね。」
ブッとコーヒーを噴出す俺。レイが唐突にぶっちゃけた。
「レイ!!お前!!」
なんでわかったの??
田村さんも『え??』って顔してる。
「ななななな、なんで??え?あなたナニモノ??」
狼狽しまくる田村さん。嘘がつけないタイプだな。
「じゃぁ、言っても大丈夫じゃない??旅人同士なら外に漏らすわけじゃないし。」
「恵くん、旅人なの??」
驚く田村さん。でも口元がわらってるよ?なんで?
「おはようございます!!弥生さん!!今日もいい天気っすね!」
空気を読まずいきなり声をかけてくる、ちょっと茶髪の背の高いイケメン君がそこにいた。
「ちょっと、私は今、恵くんと話をしているの!入ってこないで。」
ちょっと怒った顔でイケメン君にそういう田村さん。
「すすすすす、すみませんでした!!」
ガクガクしているが座り込むまではならないイケメン君。
あれ??こいつ、やっちゃんの彼氏じゃないの?
「田村さん、彼氏にひどいな。」
「え?彼氏??こいつが??なんでそう思ってたの?」
なんか彼氏じゃないみたい。昨日までの傷心の俺、無駄なことで傷ついてたね。
回想しながらチョット遠くを見ていると、
「いや、そんなことは・・・って、こいついるから話せないんだよな〜。」
田村さんは口を紡いだ。そう、このイケメン君は部外者なのだ。
こいつの前で話せば部外者に漏らしたことになるだろう。
死刑は嫌じゃ!!
それは誰もが思うこと。
「恵くん、後で話あるからうちに来て。もちろん、その子も一緒ね。」
怖い顔のまま学校の方に走っていった。
「弥生さん、待ってください!!」
イケメン君は慌てて田村さんを追いかけていった。
「何?あの子??」
ちょっと青筋浮かべて眉間に皺を寄せているレイがいた。