匙加減が難しい。
「改変者の方は俺達のものにして、話してくれたあなたはひっそりと暮らすというなら自由になりますけどどうする?」
俺の問に
「他のものは?」
「死ぬに決まっているでしょ?俺はそこまで甘くない。話をしたら自由、しなかったら死ぬと言っておいたはず。」
「ならばここで俺も殺せ。」
「くくくく、ははははははは!!わかった。それでこそ漢だな!!」
俺は心の底から笑った。これはいい。
「ラウル!!ここに来てくれ!!」
ラウルが俺の召喚に答える。
「はい、恵様。なんなりと。」
笑顔で現れて一礼するラウル。
『レイリーのところも終わったらしい。あとはどうする?』
『こいつらを殺した瞬間に記憶を消して、この街の住人として生活させてくれ。旅人ではなく、この街の住人にしてくれ。』
『わかった。もうむこうの世界に行き来できなくすればいいんだな?』
『そういうことだ。C国との関係を綺麗に断ち切る。』
『その願い叶えてやろう。』
「ラウル、こいつら全員食ってくれ。潔い死ぬことを選ぶできる漢だ。そういう奴が俺は好きだ。苦しまずあっさり食い殺してやってほしい。」
「かしこまりました。」
返事と共に本来の姿に戻る。それを見て全員が震える。
いやいや、あんた達すでに逢ってるよ。
クジラの口に次々放り込む。そうしてあっという間に誰も居ない空間になった。
「あ!もう一人居たわ。」
おれはデュランにどこか遠くに飛ばした女を戻してもらう。あまりの過酷な責め苦に糞尿を漏らして白目になり痙攣していた。それをラウルが口に入れる。汚いのに気にしないんだね・・・。
「よっこらしょ!」
俺は空間から出て自分の屋敷のいつもの椅子の前に立つ。
そこには食い殺されたはずの男女が1人ずつ裸で床に座り込んでいる。
それをレイ達が取り囲んでいる。
「メグミ、こいつら何?」
「この人たちは人や物を好きに改造できるすごいスキルを持った元旅人だ。」
「元って何よ、元って。」
やっちゃんはそこが凄く気になるらしい。
「今、すごい呆けているでしょ?向こうとこっちに行ったり来たりの記憶を全て奪って、なおかつ今までの記憶も奪って俺のものにしようと思って。向こうに戻れないからC国との関係は全くなくなったってことになるかな?」
「記憶全て奪ったらスキル使えないでしょ?」
「あ!」
「恵様は少し抜けていますね・・・。そこが可愛いんですけど・・・。」
「お〜〜〜い!あなたは何者かわかりますか?」
俺の問いかけに・・・
「あ〜〜〜」
「お〜〜〜〜」
「う〜〜〜」
腕を上げてあうあう声をあげるだけ・・・。
こりゃあかんわ・・・。大人の形をした赤ん坊だ。
「これはさすがにキツイんじゃない??ある程度記憶戻さないと・・・。」
やっちゃんが呆れた顔で俺を見る。
これだと外に放り出した奴らもこんな感じなのか?
「恵様!!街に裸のおかしな連中がたくさん現れて大変なことになっています。かなりの数が逮捕されていますがどうしますか?」
屋敷の外で大きめの問題になっているようだ・・・。俺は阿呆だな・・・。
「全員ここに連れてきて・・・。」
1時間ほどで結構な数の裸の男女が揃う。これで全部か??
『デュラン。これで全部??』
『いや、数名、女が変質者に捕まっている。連れてくるか?』
『そうしてやってくれ。』
その願いと同時に4人の女が裸で現れた。数名は・・・まぁ、想像に任せる。
汚れているので清掃魔法をかけてデュランを呼び出す。
「我がこんな感じで外に出るのは久しぶりだな・・・。いつも頭の中でやりとりしているだけだもんな。」
デュランを見て驚くものもいるがその辺はもう気にしない。
「デュラン。こいつらを生活できるけどC国とのつながりを全く思い出さないっていう風に記憶操作できる?」
「我を舐めるな。その程度・・・。」
その言葉と同時に裸の女達が騒ぎ出す。それを見てクロエが服を皆に差し出している。気が利くな。
「あなた達はこの国に奴隷として入国を許可されました。奴隷と言っても俺の奴隷ですから俺や俺の仲間以外の命令は聞かなくても構いません。この帝国から出国することは禁止します。破ると死刑になりますので注意してください。それでは解散!!」
頭をかしげながら屋敷を出て行く。
改変者の二人だけはすぐに捕まえてここに残す。
「君らにはやってもらいたいことがいっぱいある。まぁ今はこの屋敷でゆっくりしていなさい。」
俺はクロエに部屋を案内するように言っておいた。