2人で旅
俺は全く出てこないです。
シュフラ帝国
C国の拠点。国民を皆殺しにしたという暴挙が世界に流布され、誰も寄り付かない大陸となった。
「愚かな国だと思ってはいたけどここまでとはね〜。」
女が俺に話しかける。
「あなたはなぜここに来よう思ったのですか?」
俺は女に聞く。
「どうなってるか気になってね。あの国のことは嫌いだけどここの国民は全く関係ないんだもん。私が能力を使って探せば生存者がみつかるかもしれないでしょ?」
あの国がどの国のことかは俺にはわからない。旅人がいる元の世界の国だろう。
女は変わった模様の板をもっている。その真ん中には磁石のようなもの、そして数字が書かれている。
「おっかしいな??この辺なんだけど??どこにもそれらしい痕跡もない。」
数字は10になっている。
「この10という数字は??」
俺が指を指し質問する。
「これは私が探すものとの距離。メートルだけどね。私の目の前には何もない。だからこの10という距離に誰か居て見えているはずなんだけど・・・。」
女はおかしいおかしいと言いながらウロウロウロウロしている。
グルグル回れば中心がわかる。
板の数字が0になる。
「おかしいわ。ここに人がいるはずなのよ。絶対いるはずなのよ。でも・・・何もない。」
女が手を横にぶんぶん振り回すが何も触れることはない。
「おっかしいな〜。あ!!距離が離れていく・・・。なんで?」
ドンドン数字が増えていく。まさに逃げていると言った感じだろう。
「う〜ん、もしかしたら何かの能力なのかな??」
腕を組んで考える女。そうしているとトカゲのような魔物に乗った一行が俺達の前に立ちはだかる。
「貴様ら、何をやっている?なんだ??旅人か?」
一行の先頭に立つ男が女に話しかけている。
「旅人だけど何?」
「どこの旅人だ??この国のものではあるまい?」
「日本だけど・・・文句ある??」
「この女見たことあります。日本のモデルかと・・・。」
トカゲのような魔物に乗った女が指を指して言う。
「ほう・・・モデルか?人気があるのか?」
「はい。絶大な人気がありますね。ただ、相当我侭という話も聞いています。」
この女はわがままか?そうでもないと思うのだが・・・。我侭なふりをしていると言ったほうがいいかな?
「なぁ、ジルよ。こいつら捕まえて聞いてみようか?」
女が俺の名を出して聞いてくるがもう斬りつけているじゃないか・・・。
トカゲの首がすべて飛ぶ。
「魔空地転」
女が職特有のスキルを使う。
トカゲのような魔物に乗っていた男女が宙に浮き、バランスを失う。
「このまま落とすなり、斬り殺すなりしてもいいけど、素直に話を聞くなら一応生かしておいてあげる。」
女が数名の男女に聞くが
「貴様!!魔術を使うのか??剣士ではないのか?」
「はぁぁ、私が話を聞いてどうする?私がお前たちに聞くんだよ。素直に話せば痛い思いはしないかな?」
「バカを言え!!これしきの・・・」
男が暴れて術から逃れようとすると
「はぁぁ。」
黒い霧が女の腕から出てきて暴れる男を包む。数秒後、その黒い霧が晴れると男の体がなくなっていた。
ふわふわ浮く男女が目を大きく見開く。
「な!!バンダはどこに??」
「あぁ〜〜っと、霧に食われた。私より弱いと確実に死ぬ術だ。次はだれにいこうかな?」
腕から黒い霧を漂わせながら男女を順番に指を指していく。
「どれにしようかな〜〜〜!!」
「ま!!まて!!何が聞きたい??」
「さっきさ〜生存者を探していたんだけど見つからなかったんだよね〜。あんた達さ〜生存者知らない??」
「生存者??」
浮いている女が恍けたような事を言う。
それに怒ったのかその女の足に黒い霧を這わせる。
「グ・・・ギャァァ!!」
悲鳴をあげる女。霧が晴れると女の片脚が骨だけになっていた。血も全く出ていない。
ずっと泣き叫びながらもだえ苦しむ女。
「恵の行動見ているとこういうのも平気になるよね〜。アイツもう壊れちゃってるもんね。最初からあんなだった?」
俺に聞いてくるが俺はそんなにずっといるわけじゃないし・・・。
「レイ様のご主人様は昔は弱くて温厚な方でしたよ。いつの間にか敵に対して非情になられたみたいですけどね。マッキー殿はこんなことしても心傷まないんですか?」
マッキーは首を振る。
「生と死のやりとりをしているといつの間にか何も思わなくなるね。こいつら次第でもうすぐこの世から消える運命に笑いさえこみ上げてくる。それもわからず質問に質問で答えてきたり、もう私の気持ち逆なでしまくり〜。」
「生存者の情報ないならもうさようならで〜す。」
両手から黒い霧を出して数人飲み込む。あっという間に人が消える。
五体満足な人はもう1人しか居ない。あとは脚のなくなった女だけ・・・。
「ジル・・・この女の腕も消してダルマにして奴隷にして飼う??犯し放題よ。」
ニコニコこっちを見る。マッキー殿は壊れている。最近ずっといっしょに居てそう思う。
敵に対して異常に攻撃的だ。俺はそう言う人ではない。
「いや、そう言う趣味はない。」
「そこの君。脚は回復魔法で治る。だから情報があるなら今すぐ話す方がいいだろう。多分、君のためにもね。」
「は、はい。話します。話しますから・・・。」
女が街の位置や、国民の大半を奴隷としていることなどを話し始まる。
奴隷がどこにいるかも話し始めた。
「じゃぁ、奴隷になっているこの帝国の人々を救いますか〜??」
マッキーがウキウキしながら黒い霧を両手から発生させる。
それを生きている男女に向けて放ち・・・。
「あぁぁ、話が違う・・・。」
絶望の顔をする女。
「マッキー殿。このままでは俺が嘘つきになってしまいます。彼女だけは助けてあげていただけませんか?」
「はいはい、ジルは生真面目よね〜」
霧で包んで男だけ消し、女を地面に落とした。
「あなたの名は??」
「メイシャン・・・。」
女の名はメイシャンというらしい。
「メイシャン殿。脚を回復魔法で戻すがあなたは当分、我々と共に行動してもらう。万が一、我々に敵対する行動をした場合はすぐさまマッキー殿が消してくれるから気をつけるように。」
俺は回復魔法をかけてメイシャンの怪我を治す。
「メイシャン・・・あなたは私の奴隷よね・・・。」
邪悪な顔をするマッキー。怖すぎる顔。美しい顔が悪魔のような顔になる。
それを見て震えているメイシャン。
奴隷契約を交わされ荷物をすべて持たされる。
「はぁ〜!!身軽って最高!!」
マッキーが伸びをしている。
ここはシュフラ帝国の港町だったと思われる場所。
何で俺達がこんなところにいるかって?
マッキー曰く・・・修行だそうだ。