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願いで手に入れた伴侶が最強  作者: うぉすれや
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跡取問題

話を聞くと、どうやら国の跡目相続のことでゴタゴタしているらしい。

普通なら長男が継げば丸く収まるはずなのに、最近になって三男の弟に継がせると言い出した国王。

国王には妻が複数居て、その中で一番最初の妻の間に生まれたドレイル、そして妹の長女ミルモ。

その後、母である女王が病気で他界したらしい。その後に後妻の間で生まれた次男は放蕩息子でどこかに行ってしまって行方不明。その後妻も息子を探すたびに出て帰ってこなくなったとか。そして三男である今回捕まっている男の母が正妻の座に付き、跡目相続に口を挟んできたとか。

ドレイルには後ろ盾となる母親が居ないためこのままでは跡取りとして選ばれないみたい。

それでもいいと思っていたが最近、弟が馬鹿になったので国を憂いて彼を王にしてはならないと思ってしまうようになったらしい。

あまりにも真面目にアホらしい話をするので真剣に聞き入ってしまった。


「外交問題になりかねない事案にも関わらず私の話を聞くだけでもしてくださってありがとうございます。」


深々と頭を下げるドレイル。


「弟と話する?それから考えてもいいんじゃない?」


そう言うと『お願いします。』とだけ言って黙ってしまった。


俺は召使のクロエを呼び、衛兵に捕まえた男の中で派手な兜のやつだけを連れてくるように伝えてもらう。

1時間ほどして衛兵が身ぐるみ剥がれてパンツ一丁の男を連れてくる。


「この人で合ってる?」


俺の言葉に頷く二人。


「兄上!!姉上??なぜここに???」


狼狽する男。


「貴様!!なぜこのようなところにいる??さっさと俺を解放しろ!!こんな情けない姿を兄上や姉上に見せよって!!許さん!!」


ものすごい怒っている。だけどその言葉に衛兵に膝裏を蹴られて膝から崩れ、頭を押さえつけられている。


「貴様、我らの皇帝陛下に無礼であるぞ!!今すぐ首をハネてやる!!」


衛兵が剣に手をかけるが俺がすぐ手をあげてすぐに制止する。


「まぁ、待て!!首をはねたら話ができなくなる。兄弟で話合うのが先なんだよ。」


俺は3人が話し合いができるように部屋を用意する。

俺がいちゃ話もしにくいだろう。


30分ほどで3人が出てきた。

そういやパンいちのままだったな・・・。悪いことをした。


「で、話し合いはすんだ??」


首を横に振る3人。纏まらなかったのに出てきたの???


「何がダメだったの??」


「貴様に話すことではない!」


パンいちの男がそう言うと思いっきり頭を叩くミルモ。


「弟は・・・変なファンクラブをやめる気がないそうです。国を思ってやめてくれれば投獄し続けることもないと思ったのですが・・・。恵様・・・面倒を押し付けて申し訳ありませんが弟を一生投獄してください。」


「ちょっと!!兄上!!そんなことをされたらレイ様を追跡も護衛もできないではないですか??」


こいつは一生投獄されると言われているのに、心配する方向が面白すぎるだろ。


「クロエ、レイを呼んできてくれ。」


クロエが走ってレイを呼びに行く。毎回思うんだけどなぜ建物の中を走る??

ものの数分でレイを連れてくるクロエ。さすが若いだけあって息を切らせていない。マギーとは違うな・・・。


「メグミどうしたの??」


レイが俺の横に立って聞く。パンいちの男の存在に見向きもしない。

パンいち男は眼を輝かせてレイを見ている。


「れ、レイ様・・。」


「レイ、この男は自分の国のことよりお前のことがいいらしい。すべての自国の国民の幸せよりお前の幸せがいいらしい。」


俺の言い方にカチンと来たのか


「貴様!!何が言いたい??俺はそんなこと言っていないぞ!!俺は国民の幸せも考えている。だが、それは兄上でもできること!!俺はレイ様の幸せな姿が好きなんだ!!」


「私の幸せはメグミと共にいること。それ以外は聞こえは悪いかもしれないけどどうでもいいの。」


俺に抱きつきそう宣言する。


「我々の存在はレイ様の生きる世界に関わっていないと?」


「私にとって必要な存在は今いる仲間。そしてこれからメグミが仲間にする人や魔物だけ。それ以外は抱え込めないわ。」


目をつぶり申し訳無さそうに言う。


「あなたはあなたが守るべきものを守って。国があなたを必要と思うなら、あなたがそれに答えるべきと思うならあなたは全力でそれをすべきだと思います。」


レイってこういう時は凄くいい話し方をするんだよね。俺の前とは別人なんだな。

レイの話を聞いてパンいち男の眼の色が変わる。


「レイ様は俺に国を守るように言うのですね??それに答えるべきが俺の仕事だと・・・。」


燃えているけどパンいちじゃ格好つかないよ。


「兄上!!国に戻って私が王になる!!そしてレイ様に認められる国を創って最終的には皇帝になってレイ様を嫁にする!!」


変な火の着き方をしたが別にいいか?


そう言って3兄弟は歩いて部屋を出ようとする。


「あの・・・パンいちですよ・・・」


俺の声は彼らに届かない。なぜなら彼らはもう自分の世界に酔っているから・・・。

屋敷を出ていく兄弟・・・。

屋敷の外で悲鳴と罵詈雑言が飛び交っているが屋敷にいる俺には聞こえない。




後日外で遊んでいる俺は釈放されるパンいち男の姿を見てしまった。

パンいちだったのでまた捕まってしまい、投獄されていたらしい。

兄と姉は宿屋に泊まり、罰金を払い、今釈放と聞いた。

国を大きくして皇帝になると言っていた男の面影は全くない。

どんより落ち込んで肩を落とす情けない男がとぼとぼと街を歩いて行った。

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