テイマー大会決勝
俺達が全く関わることなく、テイマー大会も終わりに近づいている。
俺達の中で頑張っているのはレイだけという感じかな?
レイはこの国を良くするためにかなり頑張っている。
そのおかげでかなり借金も減った。
もうすぐ借金生活も終わりを告げそうだ。
後数回、この規模で開催すれば黒字になりそうだ。
まぁレイのところにある金を使えば、あっという間なんだけどそれを使うと俺の金を使ったみたいで嫌なんだよね。それをすると俺があのバカ貴族を嵌めてまで陥れた意味がない。
あの元貴族共は今・・・奴隷としてどこかで頑張っているだろう。
「それでは決勝戦を開始しま〜す!!」
レイの元気な決勝開始の合図。
そうして始まる決勝戦。
拮抗したいい戦いを繰り広げるテイマーとその従魔達。
気がつくと1人のテイマーが2体以上の魔物を出して戦い始めた。
彼も召喚士の職を頑張って鍛えたのだろう。
それを見て相手のほうはかなり焦っている。まぁ1体しか出さないと思って戦えば今の状況はかなり困るな。どうする??と思う暇なくやられて終わった。これからこういう感じが主流になるんだろうな。
複数の従魔を使用しての戦闘が可能であると皆気づいたはず。
「それまで〜〜!!」
レイの笑顔の終了合図で試合が終わる。
優勝者にレイが鎧を渡している。優勝者は凄い満身の笑みだ。
「それでは優勝したゾーリス選手から一言〜。」
「俺は最強のテイマーを目指している。そこで!!レジェンドと呼ばれている吉永恵!!勝負だ!!俺が勝ったらレイ様は俺がいただく!!」
ざわつく会場。笑顔なのに血管浮いているレイ。絶対キレないでくれよ。
「は〜〜〜い!!吉永恵で〜す。その挑戦受けて立とう!!で、ハンデだ。俺は1体しか出さない。君はたくさん出せるね。それで行こう。もし俺に勝てた時はレイは君のものだ。が、その夢は叶うことはないよ。」
俺は闘技場に降り立つ。
歓声が響く。俺への歓声ではない。勇気ある優勝者への歓声だ。
「で、どうなったら勝ち??」
「お互いの従魔の死で勝敗を決める。」
「それ最悪だな。それともう一つ付け加えてくれ。またはテイマーの死も含めてくれ。」
俺は従魔に対して扱いがひどい奴が嫌いだ。
「ふん、いいだろう。」
俺はカミーラを呼び出す。
「恵様。どのような御用で?」
「合図と同時にアイツを始末してくれ。魔物は殺さなくていい。」
「それでははじめてくださ〜い!!」
「・・・」
俺は腕を組んで行動を開始しない。
「俺の言うことを聞け!!すべての従魔達!!」
そう言うとレベルの高い魔物が4体出てきた。
300から500くらいか?
「驚いただろ??人を舐めてそんな美しさに偏った自慰様の魔物を出して調子に乗っているからだ。」
カミーラを指さして蔑む優勝者。
君にはいい死に方をさせるつもりはない。従魔にしたものの死を勝敗に出すだけでなく、カミーラを侮辱するとは・・・。
「カミーラ。やってくれ。」
それと同時にカミーラが殴りかかる。スライムとしての戦い方ではなく人型の魔物の戦い方だ。
従魔がそれを止めにかかるが、腕力で適う訳もなく場外に吹っ飛んでいく。
それを見て優勝者は驚いているがもう遅い。
カミーラに顔を掴まれ床にたたきつけられ、体を踏みつけられ、口から内蔵を吐き出して動かなくなった。
従魔は主のその状態を見て動かなくなる。
自分より強い主が始末されれば魔物は何もできない。
「お前たち。その主を見限って俺の元に来い。それが嫌なら残念だが俺の手で死を与える。」
睨みつけると膝を付き頭を下げた。
これでこの魔物は俺の従魔だ。
「優勝者であるテイマー、ゾーリス選手の死亡によりメグミの優勝です。」
わぁぁぁ!!とはならない。決勝を圧勝して優勝した男が一瞬で死んでいるのだ。
格の違いと言うより簡単に命を奪う俺に恐怖しているのだろう。
勝利条件に俺の提案で『主の死』を入れたのだから最初から殺す気だったと気づいているのだろう。
「俺はテイマーそれぞれの従魔に対する考え方がいろいろあろうとどうも思わないが、従魔にしたものの死を平気で口にする奴は許さない。テイマーは命を預かっているという自覚をもってくれ。従魔は使い捨てでも生贄でも奴隷でもない。その辺を勘違いして俺の前に立つとこうなると思ってくれ。」
俺が闘技場を降りると何故か疎らながら拍手が聞こえる。
レイが俺の横に走ってくる。俺と腕を組んでレイも退場した。先ほど従魔にした魔物も俺に付いて来る。
その後、会場の後片付けが始める。バカの潰れた遺骸もタンカーで運ばれていった。
俺達はVIPルームに入る。
死亡した優勝者の従魔だった魔物たちに人化の方法を教えるレイ。
人の姿になり俺の周りに来る。
「前の主からあなたに乗り換えるという恥をお許しください。」
一番強いと思われる魔物が頭を下げる。
「気にしなくていいよ。あの主は最悪だっただろ?俺はあんな扱いをしないから。」
「ありがとうございます。」
「俺の屋敷内は魔物の姿で歩きまわってもいいけど街中はダメだよ。あと、人を傷つけたり、食ったりも禁止。それをすると必ず俺が始末するから。あとわからないことは、カミーラやラウルに聞いて。彼女たちも普段は温厚だけど怒らせると結構凄いから気をつけてね。君たちレベル500程度だろ?彼女は4000超えてるから・・・。」
その言葉に震える魔物たち。彼や彼女らにとってこのレベル差は恐怖しかないだろう。
強者がすべての魔物にとって自分より強いものが周りをウロウロするのは相当苦痛のはず。
たぶん、今までは自分が一番強かっただろうからね。好き勝手やっていたはずだ。主ができるまでは。
「さて、大きな興行も終わったしお金の勘定しますか?」
俺の声にレイややっちゃんハウンが腕を天高く上げて『お〜〜!!』という。
俺の屋敷に向かう俺たち。そこには何故かわけのわからない集団があった。