面倒事よこんにちわ
月光の処理は終わったな。
そういや、マリスタンはここに面白いものがいっぱいあるとか言っていたな。
もしかして月光のことか??まぁある意味面白かったけどこんなことで俺達が来たとなると悲しくなる。
ケツが痛い馬車に揺られてくるには物足りなさすぎる。
「リユ、ここに面白いものがあると聞いていたんだが何があるの?」
「誰の情報?」
「アホなマリスタン親子かな?」
やっちゃんの一言に震えるリユ。
何で震えるの??
「あなた達はマリスタン様の偉大さを知らないの?あの方の残した業績は私達ハイエルフの誇りよ。」
「咳き込む方の埃ならわかるけどね・・・」
やっちゃんが毒を吐き続けている。リユが震えている。
「あなたこの国でそんなこと言ってよく生きてこれたわね。このままだとあなた・・・死刑よ。」
「大丈夫。あの親子、魔族領に逃げたから。」
「何で??」
「聞いていないの??マリスタン帝国が財政難で破綻する可能性があるからよ。」
やっちゃんの言葉に
「国が破綻??ありえないでしょ?この国にはカジノだってあるし海洋が近いから海賊狩りの収入もあるわ。近隣国への貿易や護衛もあるわ。それで膨大な収入があるわ。」
「この国って収入デカイんだ。」
そう思えば立て直せるのか?いやいや、俺は絶対に関わらないぞ。
そう思っている。何があっても面倒に巻き込まれない。逃げて逃げて逃げまくる。
「あの皇帝はこの国を500Pで売るって言ってたわ。今なら私が買える値段よ。」
あの闘技大会で莫大な収入を得た俺達。この世界では俺達に勝る金持ちはそんなにいないはず。
特に俺が持っている金はこの世界の全てと言ってもいいくらい大きなお金だ。
名義はレイだけどね・・・。
「やっちゃんは立て直せる?それなら買えばいいんじゃない??」
「皇帝はあなたになるわよ。このままじゃ。」
「だから何で俺なの??」
「マリスタンが推しているからよ。」
「・・・」
俺は黙る。俺は買わないよ。だって、皇帝だよ??俺平民だもん。どう考えても無理だろ?
「レイリーと同盟組めば?」
レイが安易なことを言い始める。それでどうなるの??
「軍事的には困らなくなると思うよ。そこで浮いたお金で経済を立て直せば?」
「どっちにしろ、俺は皇帝??」
「そういうことね・・・。」
「断らせていただきます。」
俺が頭を下げると
ブーイングが起きる。何でブーイング?俺に面倒を抱えさせて何が面白いの??
「モンスターファームやろうよ。国をあげてやれば面白そう。」
レイがいきなりぶっ飛んだ計画を上げてきた。
「それで交通や物流を変えてしまえば特許を取れば??」
もしかして皇帝なのに経営者もしろってこと??なんで??なんで?
「それ誰得なの??」
「皆で頑張ればきっといいことあるって。」
「面倒なことにならない?」
「きっとなるわね。」
「はぁ。」
俺がバカなことを言われて悩んでいるとわけのわからない鎧の集団が来る。
「こちらに吉永恵という男が来ているはずだ。」
俺が知らん顔していると
「恵??あの人か??」
俺を指さす指差すエルフたち・・・。
俺は本名を名乗っていない。だからばれないと思っていたがまさか・・・恵だけで俺にたどり着くとは・・・
エルフ侮りがたし・・・。
俺がエルフを侮りすぎていたようだ。
「皇帝陛下がお呼びです。今すぐ、帝都マリスタンへお戻りください。」
「皇帝は不在のはずだよ。」
俺の言葉に鎧を着た男は眉をピクッと動かす。
「なぜそれを知っている?」
「手紙もらったから。」
「なら尚更付いて来てください・・・。」
俺は鎧を着た男たちに包囲されて連行される。皆が俺を見ている。
「俺は無実です。」
「いえ、誰も逮捕してません。」
俺の仲間がぞろぞろと鎧を着た男たちの後を付いて歩く。なぜ誰も抵抗しない??
「面白そうだね??」
レイがお気楽なことを言っている。やっちゃんも頷いている。ハウンは口を押さえて笑いをこらえている。
メイリーンは・・・口笛吹きながら付いて来ている。リユだけがオロオロしている。
「エルフって人を蔑んで街に入れないんじゃなかったの??」
「昨日皆改心しましたから・・・」
改心させるのが1日早かったようだ・・・。
「俺は面倒事に巻き込まれるために旅人をしているのか??」
その言葉にとうとう笑いをこらえられずハウンが笑い始める。
「ハウンは減点10・・・」
「ハグッ!!」
変顔で涙目になっている。
ざま〜みろ・・・。