本戦の予告
予選が大混乱の中、終了する。
オッズがない最後の試合・・・。
「あの白金貨・・・。俺のものじゃない??」
闘技場にぽつんと残った俺のひとりごと・・・。
審判が端っこで震えている。
「終わったよ。静寂が気持ち悪いから早く俺の勝ちを宣言してよ。」
そう言って手を差し伸べると手を握って立ち上がる。
「勝者・・・吉永恵!!」
わぁぁぁ!
ってならないよね・・・。俺ってどれだけ恐れられているんだよ。
全員が一言も話すことなく闘技場の観客席で呆然としている。
予選最終組の華麗な血しぶきで幕を閉じたこの予選。
「予選ってことは・・・。本戦もあるんだよね。」
「は、はい!あります。世界各地にいる最強のパーティーを呼んで言います。コネを使って魔族領からも参戦してくれるそうです。」
魔族領から誰が来るの?
「で、いつ??」
「明後日です。」
「早いね・・・。」
『デュラン・・・。今日の俺の圧勝劇の記憶を観客から薄めておいてね。』
俺は控室に帰るとものすごい勢いで怒られた。
オッズがないじゃない!!なんでよ!!だって。
「俺に怒られても・・・。」
オッズがないのは俺のせいではないでしょ?それは運営側に言ってくれ!!
最終的に守銭奴姉妹たちは持ち金を8倍にして終了。
最初の3倍が大きかったようだ。すべて突っ込むオールインを繰り返して8倍か。
「俺のお金はどうなった??」
レイが喜んで勝った金額を見せてくれた。
凄い金額だな・・・。遊んで暮らせるわ。
メイリーンもお金を返してきたが、最初のお金だけもらい後は自由にしていいと言っておいた。
メイリーンも3枚の白金貨を俺に返して後はポッケに入れていた。
それ凄い不用心だな。
「メイリーン、アイテム袋買いに行こうよ。」
俺はメイリーンと買い物に出掛ける。それにレイがくっついてきた。
「アイテム袋、面倒だからデュランに頼もうよ!」
「そうだね・・・。デュラン。お金あるからアイテム袋のいいの手に入れてよ!」
あっという間にメイリーンの腰にアイテム袋がかかった。
「メイリーン、お金をここに入れておきなよ。なくなると困るから。それと・・・」
俺がオーナー登録をする。メイリーンだけが扱えるようにする。
「メイリーンは真の勇者だから1人で出掛けることもあると思うからね。」
そう言いながらアイテム袋を手渡す。
「あの、えっと、私はこれで放任されるんですか?」
「まだ一緒に居たいんだろ?それでいいと思うよ。出て行きたくなったらひと声かけてくれればいい。」
「私はあなたの側から絶対に離れません!!」
涙を大きな目にためている。可愛いから撫でておこう。
「メイリーンもメグミに首ったけだもんね。」
笑いながらメイリーンに抱きつくレイ。
「メイリーンは認めているんだ。魔物っ娘の新参者2人も認めてあげてね。」
不貞腐れながら『ハイハイ、わかりました〜』というレイ。
俺が歩くと闘技場での俺を知っているものはそそくさと道を開ける。
まるで不良が大手を振って歩いているように道の人が避けていく。
「凄い感じ悪いね。」
レイがそう言うけどこうなったのは馬鹿な貴族のせいだからね〜。
俺のせいでも、彼らのせいでもない。まぁこれでも記憶から俺の圧勝やレベルの高さは消しているんだけどね。
だが、全く恐れていないものも居る。レイファンクラブの奴らは違うのだ・・・。突っ込んでくる。道が開いていることを幸いにレイに突っ込んでくる。
「レイ様!サインを!」
「握手を!!」
「サインを!!」
「ひっぱたいてください!!」
きっもちわるい!!そんな顔をしているレイが横に居る。
サインはいいだろう。握手もいいだろう。叩けってなんじゃ?それは誰でもヒクぞ。
レイが俺とメイリーンの腕をつかんで走って逃げる。
『レイの姿変えてあげて・・・。』
いつもと雰囲気の違う姿に変わりレイも一安心。
メイリーンは見たことないレイの姿にびっくりしている。
「レイは有名だから変装しないとここでは生きていけないんだよ・・・。」
俺のつぶやきに
「お気の毒に・・・」
悲しそうな顔で言うメイリーン。
ゴメン。俺・・・吹き出しちゃった。
皆同じことを言うんだよね。お気の毒にって。
「メグミ。聞いた??本戦明後日って。賭けもあるらしいわよ。まぁあなたに賭けても面白みがないけど・・・。でも勝たないと意味がないから賭けるしかないんだけど・・・。」
レイもいつの間にか守銭奴なことを言うようになっちゃったな。全部あの守銭奴姉妹のせいだな。心を汚されてしまったようだ・・・。そんなことを思っていると
「これはこれは・・・レイ様!!」
聞き覚えのある声が後ろからする・・・。
え?何で君がここに来ている??