予選2
「あれはないわね。あなたの人間性を疑うわ・・・。」
休憩中に怒られる。圧勝し過ぎも怒られたけど剥いたのが一番ダメだって。
すぐ終わる休憩時間。5分だもんね。
俺の監視をしている呼び出しに来る男。俺の状態を見ているのだろう。
3試合目・・・。ここで俺は痛い思いをしたふりをし続ける。
かなりの攻撃を受ける。だって、指示だもん・・・。
それでなんとか勝ったみたいな雰囲気を出して4戦目に向かう。
それでもオッズがだんだん下がってくる。それを怒っているうちの守銭奴姉妹。
レイもお小遣いが〜って怒っていたな。減ってないんだからいいじゃない?
君たちがバカみたいに増えた白金貨を賭けるからそうなる。
「次はもっと傷めつけられて。傷はすぐ治っちゃうから包帯付けて誤魔化すわ・・・。」
だんだんイカサマ臭くなってきている。
俺は包帯グルグル巻になって次の試合に出る。
何故か俺の姿を見て観衆は大歓声だ。
俺のオッズが少し上がる。あれほど大金をかける身内が居るのに上がるなんて・・・。
それを見て俺が観客席の女性陣に目をやると・・・ガッツポーズしている。あの人たちは鬼だ。
4戦目もじわじわ後退しながらもなんとか勝ったという感じを残して終了。
ちなみにこのあたりから皆150レベルを超えている。この世界でも有数のパーティー達らしい。
そんな感じでジリジリやられるフリをしながら包帯の箇所が増えていく。
包帯を巻いた後、剣で突いてまで、血もにじませているという手の込みよう・・・。お金のためなら何でもする守銭奴極悪姉妹。
10戦目には俺は膝を付いた所から始まる。コレは・・・演技で仕込まれている。
「フン!!こんな瀕死のものを甚振っても面白くもない。なぜ貴族はこんなやつを痛めつけろというのだ?」
とうとうバカが口を滑らせやがった。俺は自分に回復魔法をかけて立ち上がる。
と言ってもひとつも怪我していないから、かけた意味は全くないけどね。
「そんな付け焼き刃、何の意味もない。ふははははは、殺せと言われている。死ぬがいい!!」
俺に一斉に飛びかかる真の勇者パーティー。
そう、こいつらは数少ない真の勇者と勇者のいるのパーティーだ。レベルも200を超える超有名ドコロ。
この国で知らない奴はいないほどで、各国でも真の勇者として活躍しているそうだ。
そして、この国のお抱えで最強を自負しているらしい。
俺は総て回避して弱そうな僧侶を場外へ蹴りだす。
それに気を取られている馬鹿な勇者その1を殴って顔を潰す。顔を抑えてしゃがみこんだところをケリを入れて場外。だが、カウントが全く進まない。
格闘家の攻撃を受けて俺は一度場外へ吹っ飛ぶ。壁に当たってやられたフリ・・・。
10カウントするまでに何とか闘技場に帰ってくる。俺のカウントは増えるのに向こうは一向に増えないままだ。ちょっとひどいなこれは・・・。
俺は今の状況が情けなくなってフルフル震えていると勇者がバカなことを言い出した。
「ゴミにしては頑張るな?貴様には俺直々に引導を渡してやろう。」
真の勇者は剣を俺の方に向けて俺のことを殺すと言っている。殺してもいいよね。この国への見せしめに。
俺は斬りかかる真の勇者の胸を手刀で貫き、引き抜くと血が噴き出る。
「ナッ!!」
俺の動きが全く見えなかったみたい。
そうして倒れる勇者。それと同時に救護班が走ってくるが死闘に決着がついていないので俺が制止する。
それでも止まらない救護班に
「生きているから助けようとするんだね。」
俺が倒れて、痙攣している真の勇者の頭を踏みつぶす。
『きゃァァァ!!』
奇声が聞こえる。悲鳴も聞こえる。だが、殺し合いの場で殺すなというのがおかしい。
「貴様!!ダウンしているものに攻撃していいと思っているのか?」
貴族の手のかかったバカな審判が突っかかってきた。
「何言ってんの??ここのルールにそんなものないだろ?」
俺が冷たく言い放つと闘技場にいる残りの戦士が震えだす。
「降参します。」
そうしてバカバカしい試合が終わる。