予選
俺は賭けに何故か参加できないので、レイに頼んで全て俺にかけてもらうことにした。
「凄い気になるんだけど・・・。このトーナメント・・・どういうこと?」
予選があるのは別にいい。俺への当たりがキツすぎないコレ?
一応勇者チームなんだし普通はシードでしょ?何で全員俺に当たるの?
俺は12勝しないと決勝にいけないみたいだ。
レベル順に俺にあたってくるみたいな感じ・・・。疲労が蓄積して最後はダメにするタイプか?
「これ・・・苦戦し続ければ・・・すごい稼げるわよ!!」
眼を輝かせて悪そうな笑みを浮かべるやっちゃん。
「たしかにこれはお金貰いたい放題ね。」
やっちゃんとハウンが手を取り合って笑っている。姉妹で守銭奴と化している。
何故かレイも楽しそうだ。
「演技上手くやるんだよ!」
燃え上がる目で俺の肩をガッツリ掴んで声を大きくして言う。
「・・・はい」
俺はそう言うしかない雰囲気に悲しくなってきた。
「明日に向けて特訓だね!!」
レイが嬉しそう俺に親指を立ててグッドのサインを送ってくる。
はい、演技のね・・・。
俺は宿に行って皆にあ〜でもない、こ〜でもない、と演技指導されている。
これが何の役に立つのかな?
「わかった?当たったところを押さえて痛がるのよ!!」
「違う違う!!そうじゃないわ!!もっと顔をしかめて!!」
「もっと!!もっとよ!!顔を歪めないとダメよ!!」
何度も何度も俺に演技指導を行うやっちゃん。
はいはい!わかりました!!
そうして俺はその日を迎える。
ちなみに俺達の世界は今、夏休み。受験勉強ばかりで何も面白くない。
誰か助けてください。
さて、闘技場に着いた俺はやはり町人の服を着ている。
皆に馬鹿な子を見るみたいな目で見られて入場する。
さっき気づいたけど・・・、何で皆パーティーなの・・・。俺1人だけど・・・。
俺は第一試合から出場し続ける。休憩時間は5分。そんなにくれるんだ。
さて、第一試合はメルソーとか言う奴がリーダーの5人パーティー。
レベルは平均89。ランクも高い。いきなりこんなの相手にするの。
俺は罵声を浴びながら入場する。よくわからないが悪者だ。
違う国ではレジェンドなのに・・・。
「はじめ!!」
大歓声が起きる。殺せコールも凄い・・・。
ルールは戦闘不能になるか、場外後に10カウントして戻れなかったら負け。
殺してもいいらしい。怖い世の中だな。
5人でジリジリ寄ってくる。切りかかってくる戦士をカウンターで殴り、魔法使いが唱えている長ったらしい念唱を悪いと思うがやめてもらうために腹パン。驚くリーダーを投げ技で制し、格闘家を背中から締めて落として、震える僧侶を突き飛ばして場外。
俺の勝利!!
オッズは俺が3倍。俺のお友達がバカみたいな金額を賭けるから最初の500倍超からここまで落ちた。
「ちょっと!!圧倒しすぎ!」
もの凄く怒られた・・・。今度はもっとやられろって・・・。ひどい話だな。
そういうことで休憩を挟み、すぐ試合。俺の次の相手はマインダという女がリーダーの4人のテイマー軍団。
このマインダって言うのは俺のことをしっている。素手で戦う俺を見てテイマーとして戦えと言ってきた。
「召喚!」
それぞれが素晴らしく大きな強い魔物を従えている。
「レジェンドよ!!貴様の従魔を見せろ!!我々は強くなったんだぞ!!貴様の従魔を始末して我々が伝説となるんだ!!ははははははは!!」
ものすごい高飛車な笑いを聞かせてくれる。
「俺1人でいいよ。今出すと面倒なことになる。ずっと、出続けないといけなくなると、ここでの賭けが成り立たなくなる。」
そう言っているうちに開始の合図がかかる。
「なめやがって!!では貴様を血祭りに・・・」
ドッゴ〜〜〜〜ン!!
俺のケリで魔物が場外まで吹っ飛ぶ。
その後も同じように蹴りだして闘技場には俺とテイマーの女達が立っているだけ。
「裸にひん剥いで裸にしてやる・・・」
俺のスケベな顔を見て胸を押さえて逃げようとする。
歓声が凄い。俺への歓声がいっぱいだ。さすが男は皆スケベだ。
「貴様・・・。本当にレジェンドか?人がいいと聞いていたぞ・・・。」
「血祭りにあげると言っている敵に甘いことするほど俺はやさしくない。裸を皆さんに見てもらって伝説になりなさい。ははははは。」
リーダーを服を引きちぎり場外へポイっと投げる。
それを繰り返して全員裸で場外。
凄い歓声が上がっている。今までにない俺への賞賛がある。
だが、一部の女性からはブーイング。よく聞くとお友達からのブーイングだった。
おまえら・・・覚えてろよ。