改変
「レイ姉ちゃんおかえり〜」
笑顔でレイに挨拶しながら、髪を水分をタオルで取りながら歩いてくる。
レイは手を振って笑顔で答える。
「レイ、帰ったの?ご飯もうすぐできるから早くお風呂入りなさい。」
母親がレイに言うとレイは元気よく返事をして、2階に上がり自分の部屋に入っていった。
「お兄ちゃん、何で怒ってるの?」
俺の顔を見て美久が心配して聞いてくる。
「え?あ、うん、そうだね、ちょっと怒っているかな??」
美久の頭をなでてから、俺は2階に上がり自分の部屋に入る。
俺のスマホに何件もメッセージが入っている。アホ4人からだ。見る気もしない・・・。
コンコン
ノックして美久が入ってきた。
「お兄ちゃん・・・。お姉ちゃんたち・・・何で私を誘ったかそろそろ教えてくれる?」
やっぱり気になるんだね。気にしないわけ無いか。
「昨日の晩、美久を悪ふざけに巻き込んだの覚えてる?」
「うん、お兄ちゃん、縛られて凄い格好させられてた。」
顔を赤くして下を向く。妹の前であんな格好させられてた俺がそうしたいくらいだけどね・・・。
「それでさ、美久が鼻血出して倒れたの覚えてる?」
「覚えていないの」
あまりの興奮で記憶が飛んだのかな?
「そのことを気にして皆が美久を元気づけようとしてたんだよ。バカなことに巻き込んでごめんねの意味を込めてね。」
「私は・・・凄く楽しかったよ。あれ・・・。」
モジモジしている・・・。はぁ〜〜、なんと言えばいいんだろ?
「美久は楽しくてもあれはダメだと思うよ。」
「皆、高校生はあんなふうに楽しむもんじゃないの?」
「あれはどちらかというと年齢に合っていないね。ダメだと思うよ。」
「そうなんだ・・・。私も高校生になったらできるんだと思ってた。」
凄い勘違いだな。その辺の高校生が皆あんなことをしてたらこの日本は終わるよきっと。
「美久には常識の範囲で楽しんで欲しいんだ。あれはもう・・・異常だ。」
俺が頭を抱えて言うと
「私が異常は嫌い?」
「異常なことを好むのは変態さんだけだよ?世間一般的に見てあの行為はおかしい。」
「私も変??」
涙目になって聞いてきた。
「美久は俺を縄で縛ってあんなことしたいの?」
「ちょっと・・・」
したいんだ・・・。どうしたものか・・・。
「お兄ちゃんを抱きしめたい!!キスしたい!!舐め回したい!!」
美久が凄い熱い視線で相当なことを言い始めた。
「それは・・・ダメです。血が繋がっています。」
「なんで??血が繋がっていたらそういうのが何でダメなの?」
「俺はその理由を知らないけど・・・。禁止されているからには何かあるのかな?」
何を言っていいかわからなくなってきた・・・。
『デュラン・・・お願い・・・。あまりこんなことしたくなかったんだけど・・・美久の昨日の晩の記憶をうまく改変して。このままじゃこの子は・・・おかしくなってしまうから・・・。』
俺が涙を流してデュランに頼む。
『わかった。変な感情はどうする?あれがある限りこの子はまた同じことをしてしまうぞ。』
『俺への恋愛感情か?そこも・・・』
『だめ!!そこをいじっちゃダメ!!そこをいじると美久ちゃんが美久ちゃんでなくなっちゃうよ?』
レイが割り込んできた。
『俺はお前たち4人を許さない。これはひどすぎる。』
涙が止まらない。俺は美久に手を上げるよりひどいことを今からするのだ。
「お兄ちゃんなんで泣いてるの??」
美久が心配そうに俺を覗きこむ。
俺は美久を抱きしめて謝り続けた。ずっと・・・。
気を失う美久。
『記憶は改変しておいた。多分、夢を見ていた程度の記憶しか残らないはずだ。』
『ありがとう。』
俺は涙を拭って気を失った美久を美久の部屋のベッドに横たわらせ布団をかける。
レイが部屋から出てきて
「あの・・・」
俺の形相を見て顔色を帰る。俺は何も言わずに自分の部屋に入る。
そうして布団に入り飯も食べることなく寝る。
あの子を傷つけてしまった。
それだけが俺の心に残り続ける。