美久接待3
失敗臭い美久接待。
俺は帰りたいんだよね。
なんで・・・こいつらはもっと頑張ろうとしないんだ??
俺の思いを砕く事件発生。
マッキーの正体がバレた。
美久と俺が話をしている時に俺の横にアイスクリームを持ってマッキーが来た。
その時に
「マッキーのアイス垂れてきてるよ。」
と親切心で美久がマッキーの持つアイスクリームを指さして言ったのだ。
それを横の客が聞いていたみたいで、マッキーの方を見る。
「ちょっと!!マッキーがいるよ!うそ!!?」
そんな感じでパニックになる。
ぞろぞろ集まる客を押しのけて俺達は逃げる。
マッキーの周りにデカイ人混みが出来てマッキーが戦線離脱。
3人と俺と美久はフードコートから抜けだした。
「ゴメン。まさかこんなことになるなんて・・・。」
美久が泣きそうになっている。美久は悪くない。
「美久ちゃん。大丈夫よ!!あぁ見えてマッキーは凄いから。」
レイの言っている意味がわかりません。凄いのは知っています。凄いからパニックになったんです。
「マッキーは帰ってこれなさそうね。失敗でいいんじゃない??」
やっちゃんが冷たく言い放つ。失敗だね・・・、再起不能だし。
「失敗?」
美久が聞き返す。やっちゃんはアホですね。
「ううん!!こっちの話しよ。美久ちゃんは楽しんでね。」
ハウンが誤魔化そうとするが美久はそこまで子供でも阿呆でもない。
「こっちって皆で何の話してるの??何で皆は私をいきなり遊びに誘ったの??」
あぁ、変な感じがあったんだね。そこまで抜けてないもんね、美久は。
だから俺を誘ったのか・・・。
「えっと、美久ちゃんと遊びたかったの・・・。あまり遊ばないじゃない?歳が離れているし・・・。」
どんどんダメな方向に進んでる・・・。
「美久、俺とだけじゃ美久の気持ち汲み取れないから皆に頼んだんだよ。それに妹と二人じゃ周りから見たら変だろ?」
俺がアイスを舐めながら言う。
「あぁ、それで皆が誘ってくれたの??」
「うん、最近美久と遊んでないだろ?」
俺が少しずつ話を変えて美久の気持ちを変な方に向かないようにする。
ごめん、美久。こいつらの罪の精算に君の接待を申し付けました。
美久にひどいことしたから許せなかったのよ。それで美久をまた悲しませたら意味がない。
アホばかりだから放置するとドンドン悪化する。
美久の機嫌が少し治ったのでショッピング開始!!色んな店を見て、美久の気に入ったものを買い、接待しまくる。そうしているとでかい黒服が俺達の前に登場する。
「お前ら、マッキーのところの奴ら?」
「・・・」
「何格好つけて黙ってんだよ?俺、お前の顔覚えてるよ。昨日車の中で泣き事言ってたやつだろ??」
「・・・」
「こんなところに来てないで、マッキーの警護にいけよ。」
「・・・」
「なんかムカつく。こいつちょっと捻っていいよね??」
俺が血管の浮いた笑顔で、黒服を指さしながらやっちゃんに聞くと
「ダメダメ!!恵はなにも捻っちゃダメだぞ!!今日の任務忘れるな??美久ちんのコーディネートだろ?」
あぁ、それは君の仕事であって俺の仕事ではない。
マッキーが黒服に囲まれながら戻ってきた。
事務所に言って護衛呼んだな・・・。身動き取れないから救出してもらったんだろう。
「マッキーは任務失敗で終了だけど・・・。」
「エ??マジで?ダメダメダメ!!マジでダメだって!!美久ちんが楽しむために来たんだよ?まだ楽しんでいないじゃない??」
何があっても戻ってくる気らしい。黒服がガッチリ俺達の周りに近づく客を静止しつつ店を回る。
これはどう考えても迷惑だな・・・。
「迷惑なので、かいさ〜〜〜ん!!」
俺の一言で美久は俺に抱きつき、俺はダッシュでその場から離脱する。
「あ!!待って〜〜!!」
マッキー声が聞こえるがもう知らない。ショッピングモールのお客様に迷惑かけてまで続ける意味なし。
逃げ切った俺は美久にクレープを買って、テーブルに座って一緒に食べる。
美久はニコニコしている。
「初めからマッキーなんぞ入れずに愉しめばよかったんだな・・・。」
俺の一言に
「マッキーは超有名だから仕方ないよ。」
といって美味しそうにクレープを頬張る。可愛いし機嫌もいいからそれでいいか。
『こちらデュランチャンネル・・・。あの・・・私達は・・・。』
『はい!!任務失敗です。お疲れ様でした。向こうでのロープをお楽しみに。』
俺の顔に今、血管が浮いているが美久にばれないように深呼吸して落ち着く。
「おにいちゃん、映画観たい。」
「よし!!行こうか。」
美久と俺は手をつなぎ映画館に向けて歩く。
笑う美久を見て、俺は今の幸せな時間を噛みしめる。
『この子が笑い続ける世界を何としても保たないと・・・。』
そう心から思う。そのためには弱いままの俺ではダメなんだ・・・。
「?どうしたの??」
俺の顔を覗きこむ美久。
「ん??いや、何の映画観ようかな?と思ってね。何か観たいのある?」
「私が見たいのは・・・」
美久が指さして選んだ映画を観る。そして鑑賞後、俺達は家路につく。
アホな美女軍団はもう置き去り。知らない。
誰よりも家に先に着く俺と美久。
俺は風呂に入ると案の定、美久が入ってきた。
美久と交代しながら体を洗い風呂を出る。それと同時くらいにレイが帰ってきた。
「放って帰るか?普通・・・。」
ちょっと不貞腐れているけど君らの今日の仕事は何だったの?
「失敗しといて何?その言い草?」
俺の怒りの顔に
「ちょっと私達の気持ちを伝えただけだって!!怒らないでよ!!謝るからさ!!」
「君らさ、何してたの?美久が君たち相手に楽しんでた?」
俺とレイが話をしていると風呂から美久が出てくる。