修行いろいろ
レイリーとレイの師であるジュディ老師のもとで訓練をすることになった俺達。
レイは過酷なのを知っているのでついて来なかった。
俺はジュディ老師に付いて修行している。
朝早く、夜遅くまで。
武器を持った動きはなし。
純粋に体を凶器にして戦う。素手での戦いを中心に打撃、関節技、絞め技など、それと回避や受け流し。
それから大事な気を使った身体強化。これは以前ジルがやっていた奴に似ているが効果は比べ物にならない。
修行のエグさはレイが逃げただけあってすごくキツイ。
無限の回復と体力のある俺でも死ぬかと思うほどキツイ。
それがない他の子たちはもっとキツイだろう。
門下生がいないのはそのせいか?
「門下生なんぞ元から取っていない。毎月レイリーが軍人を幾人か送ってくるから鍛えて報酬をもらってるんだよ。」
話をしながら俺の訓練を続けるジュディ老師。老師の教えは理にかなっている。レイみたいに見て覚えてね!みたいなものではなく
口でまず説明して
自らやって見せて
俺達にやらせてみて
うまくやれれば褒める。
うまく行かなければもう一度やらせる。
そんな感じ。
何度も何度も失敗しても気にせず教えてくれる。
ある意味ではとても優しい。
俺はセンスがないと自分では思っていたがジュディ老師曰く『センスはある。』とのこと。
自信なかっただけに凄く嬉しい。
ただ、まったく危機感が足らんと怒られることがしばしばある。それは日本人特有か?
これでも相当気を引き締めているつもりなんだけどね・・・。
毎日毎日同じことをしているようで少しずつ難易度が上がっている。
そして、ある日ふと気づく。
俺だけは別メニューでやっていることに。
他の子たちは休憩があるが俺には全くない。
自分のやっていることに必死すぎて周りが見えていなかった。
体力に限界のある女性には適度な休憩と栄養補給をしているんだとか。
メイリーンなんかちょっと見ない間にまた大きくなってた。成長期なんだろうか?
マッキーは性格がガラリと変わってた。我儘さが抜けて謙虚になってた。
やっちゃんは飛躍的な技術向上に口元が笑っている。
強くなった感じがあるんだろう。
俺達はここで結構な時間を過ごす。
ここはメシもうまいんだな!!自分で作るけど。
マッキーはメシマズから成長して凄い料理上手になっていた。その辺もジュディ老師が教えてるみたい。万能老師だな。
ちなみにここは魔族領ではない。
魔界と魔族領は別物だった。
俺は知らなかったので同じと勝手に思い込んでいたが全く違うところだった。
それぞれ世界樹の根本には入り口である門がある。その門を通って地面の下に降りる階段を通り、移転用の魔法陣を踏むと魔界と呼ばれるなんとも言えない雰囲気の世界が広がっている。
そこには地上では出会うことのない強力な魔物が大量にいる。レベルも1000を超えるようなものがゴロゴロいる。それがその辺を普通に闊歩している。ただ、地上の物とは違い襲ってくることが滅多にない。知的で冷静なものが非常に多い。
魔素も非常に濃く、戻るときに体に溜まった魔素を浄化というか中和というかして戻るそうだ。
世界中の人でここを知っている人はかなり少ないんだとか。
というより人はまず来ない。来ても何も美味しいことがないから。
襲ってこないが何が原因で襲ってくるかわからない。そうなったら人程度は死ぬのは決まっている。
100%死ぬのに来る旨味があるわけがない。
俺達はそんな場所をずっと鍛錬に使っている。
魔物に殺される前に鍛錬で死んでしまいそうだ・・・。
まだ特訓ではない。その前の鍛錬で・・・。