進め!美久接待計画
レイを囲んで美女軍団がギャァギャァ口喧嘩している。
そもそも誰が悪いのかとか、なんであんなことになったのかとか、今ではどうでもいいことにまで犯人探しを初めている。
レイがオロオロ周りを見て涙目になっている。
始まりは・・・レイなんだけどね・・・。
ちょっとそうして反省しなさい。
俺はメイリーンの側に行き
「寂しい思いさせてるね。ごめんね。」
「いえ、皆さん楽しそうでいいと思います。」
「え?あれ、楽しそう??あれは責め続けられるレイには相当な苦痛だよ・・・。」
「ははは、いえ、他の人も含めてです。レイ様のお母様はレイ様の状況を凄い楽しそうに見ていますよ。」
あ、本当だ凄い口を押さえてフルフルしている。笑いたくて仕方ないんだな。
人のオロオロする姿は楽しすぎて仕方ないんだろう。それが実の娘でも・・・。
「レイ様のお父様はレイ様の責められる姿を見て右往左往しています。何か手助けできないか考えているのでは?何も出来ずに困っているみたいです。」
「魔王であるレイリー様は姉が責められる姿にもう興味なさそうです。少し離れたところで護衛の方とお茶を楽しんでいます。面白いですね。護衛なのに同じ目線でお茶できるなんて。」
まぁ側室の一員だからね。妻候補みたいなもんだし。それにしても面白い目線で観察しているな。
クルクはミシュラの横でずっとレイの責められる姿を眺めているだけ。
気の毒そうな顔をしている。
「そうだ、皆さん、夕食は食べていってください。泊まるところも用意します。」
レイリーがポンと手を叩いて言ってくれるが女性陣の耳のは入っていない。
ずっと口喧嘩し続けている。
「さて、俺は女性陣のためにロープの強化に入るから・・・。」
立ち上がってメイリーンから離れると、どうやら聞こえていたようで凄い高速で俺のもとに来るやっちゃんとハウン。
「ダメダメダメダメ!!ロープの強化はいりません!!あれで十分です。あれ以上はないです!!」
「受けるの前提だね・・・。いい覚悟だ。」
「違います違います!!それは誤解です!!されたくありません!!反省していないのはレイだけです!!」
首を横にブンブン振って涙目で訴える2人。ちょっと面白い・・・。ミシュラが面白がるのなんかわかるな・・・。
「ロープの強化いらない??くすぐり地獄いらない??なんで??反省してもらわないと美久が可哀相だよ・・・」
「あ!!そうだ!!美久ちゃんを連れてショッピング行きましょう!!謝罪の意味も込めて一緒に遊びましょう!!」
ハウンが提案してきた。それに全力で乗っかるやっちゃん。
「そうそう!!いい提案だわ!!全部私達持ちで行こう!!美久ちゃんのための美久ちゃん接待!!」
遅れて走ってきたマッキーも
「私プロデュースするよ!!現役モデルの指南なんてなかなかないよ!!中高生のあこがれが1日付き合うんだよ!最高じゃない?友達にも自慢できる!!」
眼を輝かせて挽回の一手に乗っかるマッキー。
「美久に話して喜んで参加して楽しかったという感想が出れば考えなくもないかな??」
俺が腕を組んで睨みながら言うと
「「「頑張る!」」」
「美久の事よろしくね!!」
俺達の輪に、とぼとぼ歩いてくるレイ。
「あの・・・わたしは・・・?」
ロープを見せると
「ソレダケハカンベンシテクダサイ・・・」
震えて泣きながら俺にすがってくる。これは癖になりそうだ。
後ろを見るとミシュラがお腹抱えて笑っている。
そんなにお腹抱えて笑うと・・・生まれるよ・・・。
「恵様。レイ様も悪いと思いますがそろそろ同じ条件で許して差し上げれば?」
お茶を飲みながらメイリーンが言う。
「メイリーンに免じで皆にチャンスをあげる。同じ計画に乗っかって頑張るように!!ミスすると連帯責任で全員だからね・・・」
ロープのクネクネに目をやって全員が頷く。それにしてもそんなにこの地獄が嫌なんだ・・・。
「夕食の準備が整いました。」
ユクが俺達を呼びに来た。
ユクはレイリーの側室兼護衛の一員でフェブの双子の妹。
俺達は食堂ではなく大きな迎賓館に連れて行かれる。
そこには色んな魔族の方々が居る。
それにしてもこれだけの食事をあの短期間で用意するんだな・・・。凄い・・・。
立食会のようで凄い料理がズラリと並べられている。どれもこれも美味しそうだ。
アナウンスが流れる。
「今日はミシュラ様の昔の友人である、神々のクルク様がおいでくださいました。それと、ゾルミス様とレイ様の旦那様である恵様との和解が成立しました。それともうひとつ、新たな真の勇者様が誕生しました。その記念に立食会を開催いたします!!それではお楽しみくださ〜い!!」
大きな歓声が起きる。
真の勇者の話はしていないのにもうバレている。なんで?情報収集の仕方は企業秘密と言っていたが気になる。
メイリーンの周りに集まる魔族の方々。
1日でここまで強くなったことに驚愕している。
「すべて、恵様のおかげです。」
メイリーンの一言で俺に熱い視線が集まる。
「さすがレジェンドは違うな・・・」
ちょっと!!何でここでも俺はそう呼ばれているの??
俺の顔を見てニヤニヤしているミシュラ・・・。あなたのせいですね・・・。