世界樹で3
「ハウンはあいつの性能興味ない??」
俺の質問に『ない』と答える。
そうだよね。女の子はロボに興味持たないもんね。
「ハウン、アイツを半分だけ消滅させることができる?」
ハウンは光線でロボットの体右半分を消し飛ばす。
光線を食らって膝をつくロボット。手足短いから膝つくと起き上がれないよ。
なくなった右半分を補うために近くの木々を取り込み始める。
そんなもの取り込んでどうするの?
そう思っているうちに木で自分の体を補ってしまった。
しかも動けるみたい・・・。
「ハウン、もういいや、あれはロボットじゃなくなったから。もう・・・木の人形じゃん!!」
俺の落胆の声と共に焼き消される。
「俺のロマン返せ・・・。」
それにしても何で俺を捕まえようとしたんだ??
何でここで待っていたんだ?
どこに連れて行こうとしてたんだ??
何であんなに古いんだ?
俺の疑問は尽きない。
遠くから俺を呼ぶ声が聞こえる。
俺は声のする方へ走っていく。ハウンも後ろを付いて来る。
「マッキーはメイリーンに守られていて無事だったよ。」
マッキーはレイとはぐれてすぐメイリーンに着いて歩いていたらしい。
魔物をどんどん始末するメイリーンを見て感動していたそうだ。
「最近までレベル1とは思えない戦闘センスなんですけど!!」
メイリーンの頭を撫でまわすマッキー。まんざらでもなさそうなメイリーン。
いいコンビになってる?
「マッキーは帰るか・・・。」
俺の一言に首を横にブンブン振りながら
「私が悪いんじゃない!!レイちんが全速力で走るんだもん!!ついていけるわけがない!!」
レイが悪いの一点張りで押し通すつもりらしい。
メイリーンがいなかったら死んでたかもしれないのにね。
「マッキーさんは私が守ります!!大丈夫です!!」
仲良くなってるな。なんでだ??こんなワガママ娘なのに・・・。
「恵が私に良からぬ事を思っている・・・。」
バレてる。
俺はさっきのロボットの話を皆にした。
誰も関心が無いようだ。寂しい。こんな時ジルがいてくれればもしかしたら・・・ないか。
俺達は世界樹を登り、魔物を殺し、やっと頂上付近に来る。
空気が薄い。
下を見ると街が凄く小さく見える。
そして・・・桜に似た花がいっぱい咲いている。
まんま桜ではなく凄く大きな花びらだ。手のひらくらいある。
それが5枚ではなく16枚。近くで見ると芍薬の花のようだな。
遠くで見れば桜だが近くで見ると芍薬の花。綺麗だしいい匂いがする。
「魔族領の世界樹とは花の形が違うよ。」
これは聞き捨てならないな。違う種類なのか?
「一緒よ。花の形が違うだけで一緒。受粉したら面倒だから同じ年には両方見に行ってはいけないってルールがあるのよ。」
受粉??レイは実を取るミッションがあるって言ってたぞ?
「実を取りに行くのは駆除のため。あれを食べると魔物が極端に進化するのよ。強くなりすぎて困るから実を採って全部処分するの。レイリーの核魔法で。」
実を食べると強くなるのか・・・そんなことを思っていると
「人が食えばどうなるんだ??強くなるのか?」
マッキーがワクワクしながら聞いてくる。
「ならないよ。体が耐えられずに溶解して死ぬだけ。」
レイが恐ろしいことを言う。世界樹の実には魔素が凄い多く含まれているらしい。それを口にすると人も魔族も耐えられないらしい。魔物も結構な確率で死ぬが生き残ると強さが増すんだとか。
俺はそんな知識必要ないのでゆっくり下を見下ろして世界樹の花見を楽しむ。
桜吹雪というわけではないが綺麗な花びらが舞っている。
「こういう場面になると歌いたくなるよね〜。あの歌!!」
俺が鼻歌を歌っていると
「誰の声が戻ってくる??」
「あれはいなくなってからの歌だからね。今、俺のは近くにいるから思い出す必要ない。」
そう言ってレイに笑いかけると真っ赤になるレイ。
俺達はここでボ〜〜〜っとしている。普通なら死の危険と隣り合わせでみないといけないはずなんだけどね。
「さて、帰ろ・・・」
俺が皆に帰ろうか聞こうと立ち上がりながら声を出すと
「人がこんなところでくつろぎながら花見をしているなんて・・・。」
男が空に浮いている。
それを見て皆驚いている。
ハウンが目を見開いてその男を見ている。
この男・・・見たことある。どこで??
「あ!!ギルドにいた人だ!!」
俺が指さしながら言うと
「やぁ、彼女とは仲直りしたんだね。よかったよ。」
ギルドで俺とやっちゃんが喧嘩して謝った後に声をかけてきた優男だ。
「強いとは思っていたけどまさか世界樹で気を抜いて花見できるレベルとはね・・・。」
呆れているのか褒めているのかわからない。
「あなた・・・なんでここに?」
ハウンが男に聞く。




