世界樹で2
岩場ばかりだったところから木々が生い茂るところに差し掛かる。
薄暗い森の中・・・、ルツの居るマンドラゴラの森を思いだす。
「恵様、何でニヤニヤしているんですか?」
ハウンが俺に訪ねてきたので答えようとすると
「ルツのアホのことでも思い出していたんでしょ?」
「正解です。」
やっちゃんの指摘通り俺はルツのことを考えていた。
ルツはどうなったんだろう?
芋は大きくなったかな?
そういえば俺は長い間会っていない。
「私は会ったよ。メグミが目覚めない時に薬にしてやろうと思って。」
気の毒になってきた。ルツは無事なんだろうか?
「それは私ではどうにも出来ませんから殺さないでください!!って言って土下座してたよ」
ってやっちゃんが教えてくれた。
一緒にいたんなら止めなよ。
気の毒すぎて申し訳ない。まぁ、それほど良い奴じゃないから別にいいか?
「恵様、あれは??」
森の中に赤い丸が1つ。でっかい赤い丸い光が1つある。
赤い丸から赤い光線が出てきた。
俺の肩にあたり服が燃える。
「俺の服が〜!!」
肩を押さえて嘆いていると
「ピピ、ピー、ガガッガガガガ、ピー」
壊れた電子機械のような音がしている。
放置しておこうかと遠回りを始めると
「音声認証、吉永恵。ターゲット発見!」
その言葉と同時に俺に特攻かけてきた。俺を太短い腕で捕まえて木々をなぎ倒しながら世界樹を駆け上がっていく。
これは楽だな。そう思ってそのままで居ると
「恵くん??ちょっと?何で抵抗しないの??なにか変なことされてるの?」
「いや、移動が楽だからこのままでいただけだけど。」
やっちゃんが少しよろめいている。心配していたようだ。
並走するレイが笑っている。
「レイ・・・マッキーは??」
「あ!!」
忘れてたんだね。すぐに引き返すレイ。やっちゃんも俺が無事なので放置してマッキー救助に動く。
ハウンは?俺を捕まえているロボットらしい物に掴まって俺の横に居る。
「恵様、これはもしかしてC国製では??」
ハウンが指差す先に難しい見たことない漢字のようなものが書き込まれている。
なんて読むのか?読めるんだよね・・・。書けないけど。そういや金あるし書ける方も何とかしよう。
「自動捕縛保存兵機」
苔の生えた文字はそんなことが書かれている。
苔が生えている時点で相当古いもののようだ。
でも何で俺を捕まえるの?
「お〜〜い!!日本語わかる?何で俺を捕まえるの?」
頭をコンコン叩きながら聞くがまったく答えようとしない。
仕方なく脱出を試みる。その瞬間、
バチバチバチバチ
閃光と共に電気が俺の体を駆け巡る。
かなり痛い・・・。
普通の魔法の場合はそれほどでもないんだけど、このロボットの電撃は痛い。
ハウンが俺の苦しむ顔を見てびっくりしている。
「恵様??大丈夫ですか??ダメージあるんですか??」
「いや、ダメージはないってこともないけどかなり痛いんだよ。筋肉が縮んでツリそう・・・。」
その言葉に安堵する。ハウンが光線を出して俺を掴むロボットの腕を切り落とす。
真っ赤になって溶ける腕を痛がる素振りも見せずロボットが停止してハウンに光線を打つ。
ハウンはそれを光線で相殺し、そのままロボットを撃ちぬく。
動かなくなると思ったら近くに居る魔物を取り込み始めた。
ロボットの体から出た配線や部品が魔物の体に食い込みどんどん取り込んでいく。
ちょっとどころか凄いグロテスクだ。
魔物が悲鳴を上げながら逃げようとするがどんどん同化して大きくなっていく。
切り落とした腕も取り込んで少し進化した状態になる。
「これに取り込まれるのは嫌だね・・・。」
ハウンも同意してくれる。
俺は世界樹を舐めていた訳ではないが武器を持ってきていない。
最近素手で事足りるから手ぶらで来てしまった。
さて、どうしようかな??