世界樹で1
サボテンぽい魔物を撃破する。
撃破したのに・・・。
破片からポコポコ増えていく。
サボテンぽいと思ったけどもろサボテンだな。
ちぎれたものが地面に触れ、そこからまたサボテンができている。
まだまだ小さいけどね。
「殺さないで・・・。俺は繁殖期でちょっと自分を見失ってただけなんだ。いつもはもっと知性的なんだ。俺を仲間にしたいのか?なってやってもいいぞ。」
なんか上からだな。
「要らないわ。弱者なんぞこのパーティーには似合わないわ!!」
やっちゃんが踏み潰そうとしたのでレイが突き飛ばす。
やっちゃんの顔が『え?なんで??』って顔になってる。
「可愛いね!可愛いね!!あなたはここで育ってね!!もっと大きくなったら見に来るからね!!」
優しい微笑みでサボテンの魔物を見ている。
「うちのツーケーに近しい可愛さだな!!」
ツーケーとはレイが可愛がる帝玉という植物に付けた名前だ
ケツから来ている。割れ目がお尻みたいだからツーケーと名づけたみたいなんだけど・・・。
センス悪くない?
最近、花が咲いてレイを喜ばせていた。
「レイ・・・戻しなさい・・・。」
レイが1つ土から抜き取って持って帰ろうとしているのをやっちゃんが制止する。
サボテンの魔物をそこら中に放置して俺達は上を目指す。
レイが涙を流しながら手を振っている。
「トゲトゲ〜バイバ〜〜〜イ!!」
勝手に名前を付けてお別れしている。
登るとまた戦闘。またまた戦闘。そんな感じでどんどん魔物を殺しまくる俺達。
メイリーンはどんどんレベルが上がる。
マッキーも上がっているがメイリーンとの差はどんどん広がっている。
そりゃ、あれだもんね、割り振りポイント差があるすぎる。小マメに上がればポイント割り振るを繰り返しているのでどんどん強くなる。
「なんか腹立わ。何で私は強くならないのよ・・・。メイリーンだけ不公平です!!不公平不公平!!」
駄々をこね始めるマッキー。困っているメイリーン。
「あの・・・すみません。どんどん強くな・・・」
「悪くない!!仕方ないんだよ!!持って生まれたものがあるんだから。それを羨んだり妬んでも仕方ない。」
俺が涙を流しながら言う。
「あなたが一番羨ましがってるじゃない。」
やっちゃんが突っ込んでくる。
「だってさ、俺・・・センス無いじゃない?剣技もダメ、格闘もダメ・・・魔法もダメ・・・。最近なんかレベルもダメ・・・。ダメダメばかりじゃない??」
俺がやっちゃんに泣き言を言っていると
「あなたがダメダメなら、この世のほぼすべてがダメダメになるわよ。強さだってこの世界のトップクラスに入ると思うわよ。」
「俺の努力ないんですけど・・・。」
「メグミは努力してるじゃない?死にかけてるし。努力してない奴って死にかけたりしないよ。」
レイが俺をよしよししながらそう言ってくれる。
「ありがと〜。」
グシグシ顔を拭いて俺はまた登り始める。
ズムズム・・・
何の音?
ズムズム・・・
ん?
俺が横を見るとでっかいサンショウウオが居る。
これは・・・タイガーサラマンダーそっくりだ!!
タイガーサラマンダーより黄色が綺麗だからこっちのほうが断然飼いたい気持ちになる。
「話せますか??」
俺の問に・・・
頭突きで突っ込んできた〜〜!!
俺を頭で捉えてそのまま壁に激突する。
「恵様!!??」
「あぁ、メグミはあの程度大丈夫よ。」
「でも、恵様は普通の町人の服を着ているんですよ!!防御力なんかないですよ!!あれは死んでるんじゃ・・・。」
俺はサンショウウオを押し返してめり込んだ壁から脱出する。
「あ〜びっくりした!!」
「え??無傷?なんで??」
「メグミに傷をつけようと思ったら私ややっちゃん、ハウンが全力を出さないと無理よ。」
メイリーンが驚いている。
「恵様はそんなに強いんですか?」
「ん〜??強いと思うわよ。でも比べることが出来ないのよ。数値がないから・・・。」
俺はメイリーンに俺のノートを見せる。
「これ・・・。何ですか??何も書いていないですよ?」
「恵くんはバグっちゃってるの。裏ワザバグ野郎だから超人的な強さなの。」
「またそれですか・・・。やっぱり努力ないじゃない・・・。」
俺が泣いているとレイが抱きしめてくれた。
ハウンが腕を広げて『私も』とやっているがレイが渡さない。
ハウンがよこせとばかり俺の服を引っ張る。
ビッ!!
背中破れたし・・・。
慌てるハウンがちょっとかわいい。
俺達はちょっと休憩したのでまた登り始める。
サンショウウオの魔物は俺の腕力に驚いてスゴスゴ下に降りていった。
可愛いからテイムしたかったがでかすぎるので要らないと皆に声を揃えて言われる。
知能もないうえデカイ、確かに扱いにくいよね・・・。