ワガママッキー
学校に乗り込んできたマッキー。
俺の脳では理解できないことを言ってくる。
そんなことはどうでもいいんだよ!!
俺の平穏を返せ!!
会議室の扉の向こうがとても騒がしい。
マッキー事牧田がこの学園に訪れて来たという噂が流れているんだろう。
俺の恐れていた現実が今ここにある。
「お前さ、この騒動どう決着付ける気なの?ヌケサクの俺にも理解できるようにちゃんと聞かせてくれ。」
俺はずっと頭を抱えてテーブルに肘を着いて項垂れている。
「いや、考えていない。」
即答でそう言いやがる。そうだろうね・・・。俺も収まるいい方法はデュラン以外ないと思っている。
こんな奴の面倒見なかったらよかったよ。
「で、そんなことはどうでもいい。なぜ輪に入れない。私が嫌いか??こんな美女なかなかいないぞ?」
そこそこある胸を寄せて谷間をつくろうとしているがその姿に俺はすっごい腹が立つ。
「あ!すっごい怒っているね。じゃぁわかった!!彼氏ということにしよう。それでどうだ?これならおかしくないだろ?ここに来ても全くおかしく無い!」
こいつは俺の生活を壊したくて仕方ないのか?そんなことしてみろ?ここにカメラ持った取材陣が来かねないぞ?俺はお前の凄さを最近ネットで調べて知ってしまった。そんな奴の彼氏?俺絶対刺されるだろ?死なないけど・・・。
「オネガイシマス。ソレダケハカンベンシテクダサイ。」
話し方がロボットみたいになってきた。泣きそうだ。
そんな時、外から
「こら!!牧田!!恵くんと何やってる?」
おぉ!!救世主の声がする。
ボディガードをひねって会議室の扉を開いてくれる。大男が苦悶の顔でねじ伏せられている。
「あんたね!!騒動起きてるわよ。ちょっとは一般人の事考えてよね!!」
正論が飛んでいる。真の勇者様!俺を救ってください。
扉が開くと同時にその前にいた生徒がみんなここを覗きに来る。
外野がマッキーだマッキーだうるさい。
「デュランに頼んでこいつとの関係がなかったことにしよう・・・。」
俺のナイスひらめきに
「ちょと!!それはないって!私のすべてを失うじゃない?」
「俺はこのままだと今の生活を失う。」
「わかった!!わかったって!!」
牧田は一度、咳払いをして
「こちらにいる、え〜〜、恵くんの妹さんをですね・・・。モデルにと思って・・・。お話させてもらいに来ました。え〜〜〜、断られたので・・・はい。そういうことなので皆さん秘密に。」
なんじゃそれ。それで騒動は収まるのか?
「な〜んだ。」
そう言いながも皆がマッキーを取り囲む。
こんなことで俺の学園生活崩壊を回避できたのか?
俺はやっちゃんに手を引かれて会議室から逃げることに成功する。
「あのバカは本当に何を考えているのかしら?」
「輪に入りたいらしい・・・。」
俺の一言に
「はい??」
俺の説明でやっちゃんが笑う。
「入れてあげれば?私はいいと思うわよ。人数足りないし・・・。」
「あ、俺今度から向こうで一人で旅することにしたんだよ。」
「え??なんで??」
俺が説明してやっちゃんが困り始める。
「ちょっとレイもひどいわね。ダメな願いじゃない。そんなこと他人に言ったらそりゃ怒るわね。それはレイが悪い。」
納得してくれる。でも一人旅は許さないだって。そうですか・・・。
階段にある窓から外を見ると黒塗りの車が発車し始めた。バカが帰ったようだ。俺はさっきの騒動で気分が悪くなったので早退することにした。
徒歩でとぼとぼ帰っていると後ろから
「お!予想通り早退したな!!待っていたのだ。」
「グハッ」
俺は死なないし、最近ではダメージを受けることも少ない。それなのにこいつには致死のダメージを食らってしまった。
「マッキーだ!まさかこんなところで会えるなんて!サインください。あ!紙もマジックもない!それじゃ!!」
俺はダッシュして逃げようとするとすごい勢いで後ろから腰にタックルが来る。
「ちょっと待って!話はすぐ済むから。家行こうよ!恵んち!!」
「そんな感じで男の家に上がったら何されても文句言えないんだぞ?俺は襲ってやるからな?」
「おう!!望むところだ!!」
俺はがっくり肩を落とす。こいつに何言っても無駄だ。俺の攻撃が全く効いて無い。
「おい!!ボディガード!!お前ら何やってる!!事務所はこれを許しているのか??」
俺の怒号に
「我々では抑えることが出来ません。無理です。」
やっとは話やがった。半泣きで泣き言を言う。大男どもが情けない・・・。
「社長に電話してでも止めんか〜〜い!!」
俺が車を揺すると中の大男どもが悲鳴を上げている。こ・・・この弱小ゴミどもめ!!!!!
「大丈夫、この周りには誰もいないよ。」
俺の心配を先手撃って調べていたのか・・・。
「お前らは帰っていいぞ。私一人で何とかするから。」
牧田は俺の意見も聞かず勝手に車を出発させる。
もう俺の意見や主張は完全無視ですね。我侭芸能人がここにいる。
ニコニコ顔で俺の家に上がってくる。
「ただいま・・・」
「お邪魔します。」
「あれ?恵、どうしたの??早かったじゃない?レイは体調不良になって寝ているわよ。」
「俺もね・・・。」
「で、その子は??」
「レイの見舞いだって。」
「そう、上がってもらいなさい。」
お母さんには、今の状況に対してもう少し疑問を持って欲しいんだけど・・・。
そのまま2階に上がる。マッキーも勿論一緒だ。
「ウィ〜〜〜〜っス!!」
ベッドに寝転がるレイにダイブするマッキー。
顔が泣いてきったなくなっているレイを見て爆笑している。
「牧田が何でここに?」
「レイの見舞いだって。」
俺は
マッキーをレイの部屋に置いて自分の部屋に入る。
鍵がないのが悔やまれる。締めたいのに絞めることが出来ない。
もう誰も入ってこないでください。