俺とラウルの愛の結晶
「待っていてくださいね!」
え??どこ行くの??
ラウルがギルドにある酒場のトイレに駆け込んで入る
ん??漏れそうだったの?
少し時間が経って
「おまたせしました・・・。これ・・・。」
え??これ・・・。もしかして・・・。
「あの・・・私のですけど・・・あれ??おかしいですか?」
「もしかして今すぐってやつ?すぐかけないとヤバイの?」
「この姿で産んだので・・・。出てくる穴が昨日の穴でしたから・・・。多分、もう受精しています。」
すっごい赤い顔をしながら卵を抱く。
「乾いたりしない??海水が要るとかないの?」
「いえ、多分、陸上でも海の中でも帰りますがかなり時間がかかると思います。100年位?」
いや、かかりすぎ!!
「そんなにかかるの??」
「まだ早い方です。恵様との種族の差が大きいので最悪2,300年かかるかもしれません。ごめんなさい!!」
泣き始めたので抱き寄せてナデナデする。周りの人が滅茶苦茶見ている。
「俺は嬉しいよ。ラウルが嬉しそうだし。触っていい??あ、違うな。抱いていい??」
ラウルが俺に卵を渡す。直径30センチほどのバスケットボールのような硬さの卵。
魚介類の卵にしては固いよね・・・。カッチカチって感じ。これであの液で受精するんだ・・・。
「この卵は受精しているんだよね。分裂とかしていくの??」
「はい、少しずつ分裂して胚が大きくなっていきます。人型なのか?私達みたいな形なのか・・・。どっちがいいですか?」
「決めれるの?」
「はい。大体の形は決められますよ。どうします??」
「俺が決めるよりラウルが決めたほうがいいよ。俺に似せたいの?」
凄い笑顔で頷く。俺に似ている方が可愛がれそうだって。
「ちょっとまって!ラウルたちって子供放置する種族?」
「はい。育てたりしません。ですがこの子は私が全力で育てます。だって・・・恵様が許してくださった子ですもの。」
俺からゆっくり受け取って愛おしそうに卵を抱くラウル。かわいいな。でも早くて100年か・・・。
遅くて300年か。親に孫を見せるには時間がかかりすぎだな。
「絶対に大事にします。凄い大事にします!!」
ぎゅ〜〜っと抱くと割れるよ・・・。
それに気づいてあわわわってなっている。
「さて、出ますか??」
俺はギルドを出る。
「みつけた!!」
やっちゃんだ。
「ラウル、嫌な言い方してごめんね。ん??なにそれ??」
「俺とラウルの子供。」
「え??いつの間に?昨日か??昨日の晩か??」
「厳密にはさっきだよね。」
「へ?ギルドの中でやったの??そう言うプレイが好きなの??野外系??」
「誤解です。私が卵産んだら受精しちゃって・・・。」
俺の説明に納得したが
「第一号の子供はラウルからですか?」
「生まれてくるのに100年はかかるらしいけど・・・。」
「そんなに??1年位じゃないの?」
「早くて100年です。300年かもしれません。種族が遠いので・・・。」
悲しそうな顔をしているラウルを俺が抱き寄せる。
「大丈夫!!多分、俺は生きているから。」
「あなた、300年しても生きてるつもりなの?さすがに不死に近いとはいえそれは無理でしょ?人としてどうしてもね・・・。寿命が短いから。」
「俺、魔族と同じだけ生きられるようになったんだよ?」
「何で??なんでよ?」
「レイと共に死ぬって決めたからレイと同じ寿命だよ。」
「私は一人ばあちゃんになって死ぬの??看取られるってやつ??」
「仕方ないよね・・・。」
肩を落とすやっちゃんだがそればかりは仕方ない。
「私ひとり早々に脱落ですか・・・。」
「じゃぁ長く生きたい?一緒に死ぬでいい?」
満身の笑みで高速で頷く。顔が見えない速度で頷くって凄いね。
デュランに頼んで俺と同じ条件で寿命を書き換える。
どれだけの長寿命か知らないが向こうでの生活がかなりヤバイんだよね。
最悪こっちでの生活のみにしてもらおうかな?管理者に言ってね。
俺はラウルを連れて歩く。
レイにも、ハウンにも説明したが2人とも凄い羨ましがっていた。
「すみません。脇役の私が最初に受精してもらって・・・。」
「ラウルは脇役じゃないでしょ?俺的には結構いイイポジションだと思うよ。」
「ほら・・・やっぱり甘い。」
レイの頬がすっごい膨れている。破裂してしまいそうだ。
俺が指で突くと
「私も子供欲しいんだけど・・・。まだね・・・。魔物っ子はいいな・・・気にせず作れて。」
レイが変な事言っているけど気にしない。
ラウルが凄く大事に抱っこする卵。
「なにか包むもの欲しいね。」
「恵様は凄く優しい。入れるものって言わない。凄い嬉しい。」
泣かないで泣かないで!!凄い涙流している。
やっちゃんがいい感じのタオルのような布を持ってきた。
「ラウルが包んで持っていられるように買ってきたよ」
卵を2人でグルグル巻いている。
「早く見たいよね!!赤ちゃんの顔!!デュランに頼む?」
そこ頼んだらいけないだろ?それやり始めると成長も勝手に飛ばし始めたりしかねないでしょ?
「確かに・・・デリカシーなくてゴメン。」
レイがラウルに頭を下げる。
手を振って頭をあげてと言っているけど確かにさっきの言葉にデリカシーはないな。