ワイルドだろ?
モデルの牧田がくっついてくるまま、俺達は癒やしを求めてショップに向かう。
さて、どんな癒やしが訪れるのか?
たのしみたのしみ・・・。
「そういや、何で俺が旅人って気づいたの?」
「私の能力に羅針盤というのがあってそれに探したいものを書き込むと方角と距離がわかるの。」
ふ〜ん。
「旅人を探していていきなり近づいてくるからびっくりして話しかけたんです。」
ふ〜ん。
「聞いといてそれ??」
ごめん、聞いたけどどうでも良くなっちゃった。
「この能力があれば埋蔵金もすぐ見つかりそうね・・・。」
守銭奴やっちゃんの顔を見せる。
「見つかるでしょうね。一緒に探しますか?」
その一言にやっちゃんの顔がにやける。
「探さなくても俺の能力でなんとでもなるでしょ?なんならA国に請求してもいいと思うよ。500億くらい言っとく?」
「やっちゃんが望むなら今すぐ浅田さんに言うよ。」
「ちょっと待って、浅田??浅田ってあの浅田??首相よね?」
「いや知りません。」
俺の襟を掴んでブンブン振る牧田。
「メグミはね、浅田と一緒に世界の大国と喧嘩しているんだよ!」
それはちょっと違う・・・。
喧嘩になったのはA国だけだし。あ、K国もか。C国も??
「ミューアスなんかに言ったらメグミ逮捕されちゃうじゃない?」
「されないだろ。してみろっての!!」
俺がプンプン怒ると3人が笑っている。
「あなた達仲がいいのね。どういう関係?」
「妹で妻」
「幼なじみで彼女」
「奴隷で愛人」
マジですか?そう言う関係だったんですか?今聞いてびっくりです。
「なにそれ??本気で言ってるの??」
牧田が呆れる。俺もそうなるよ。
そんなやりとりをしているうちにサイトの案内にあった駅に着く。
歩いて10分。
ここは総合ペットショップ。
入って左側がワンちゃん、ニャンちゃんコーナー所謂、犬猫部門。
右に進むと熱帯魚。そのまま壁沿いに両生類爬虫類コーナー。
やっちゃんはウーパールーパーに首ったけ。
レイとハウンは俺の腕にしがみついて熱帯魚を見ている。
熱帯魚のコーナーにある『にむふぁ』という水草に惹かれるハウン。
「これ・・・かわいい・・・弥生さんの水槽に勝手にいれたら怒られるかしら??」
怒るでしょ?やっちゃんの命の次に大事と言っていたウパ子ですから。
「じゃぁ、自分で買うわ。水槽のセットと・・・あとお魚??」
熱帯魚コーナーをウロウロしてハウンは悩み続ける・・・。
「メグミ!!この植物何??」
レイが興味を示したのはマングローブと言われる木の種子。
海水と淡水の混ざる汽水と呼ばれるところにある植物だ。
海水があるところでも育つなかなかかっこいい植物だな。
「1本買っていい??」
俺におねだりする。それくらいお安い御用です。
「あなた妹に甘いのね・・・。ところで妹で妻ってなんなの?ヤバイやつ??」
説明が非常に面倒だな。
「そうそう、ヤバイやつ。近親相姦」
レイが勝手に答える。洒落にならないからやめて・・・。
「誤解を招くからそう言う言い方はダメですよ〜。」
「あ!思い出した!!朝さ、エッチなサ・・・」
レイは今話していいことじゃないことを話そうとしているので口を塞ぐ。
こんなところで・・・この子は阿呆なのだろうか・・・。
「恵様・・・これはどのようなお魚でしょうか?」
俺に見せてきたのは小さい入れ物に入れられたベタと言う魚。
不遇の魚で小さいコップなんかに入れられて死を迎える金魚以上に酷い飼われ方をされる代表選手だ。
「ベタが気になるの?ベタならインベルスっていう渋い奴が居るんだけどどう?」
俺が指差す先にふらふら泳ぐベタ・インベリス。俺はこの魚が大好きだ。美しいんだよ!!
「汚い魚ね・・・。」
ハウンが見たまんまの感想で魚と俺の趣向を切って捨てる。
俺は何も言えない・・・。そのとおりだ。汚いんだよ。この程度の店で売られているワイルドベタって。
「俺は何も言わないから自分でいいもの見つけて・・・。」
俺は肩を落として水槽から離れる。
「え??なんで??何がいけなかったの?」
ハウンが戸惑っているが君は間違っていない。そう、俺の趣味をわかってもらおうとした俺が悪いのだ。
「この魚、綺麗になるやつだよね。めちゃくちゃ可愛がって凄い世話をしてやっと綺麗になるやつだよね。」
牧田が覗き込みながら俺に言う。
俺は嬉しくなって、
「そうそう!!飼いこんでしっかり世話をしないとダメなんだ!安価で売られているチョコグラも凄い面倒だけどそこがいいんだな!!あはは!!なんか嬉しくなって来た!!」
帽子にサングラス、でかいマスクの変な女性、牧田と話を弾ませる俺。
「なんか君のこと少し見なおした!!ミューアスだっけ?迎えに行くよ!!」
「エ??ほんと??やった!!」
俺と手を取り合って喜ぶ牧田。それをレイが
「てい!!馴れ馴れしい!!メグミに触るな!」
「レイは減点5」
「え?何で??」
そんな感じでペットショップを見て回り牧田と別れる。
別れ際にアドレスを交換していつでも連絡できるようにした。
レイとやっちゃんがむくれている。
ハウンは自分が魚の良さをわからずディスってしまったことを未だに後悔している。
「アレさえなければ・・・アレさえ・・・」
そこまで思い込まなくてもいいからさ・・・。
家に着いて俺は風呂に。
今日はなんとか一人でお風呂を楽しめる。
夕食を食べ、寝る準備中。
「牧田って子に会いに行くの?」
レイの質問に頷く。
「なんで??」
「ワイルドベタ好きに悪い子はいません。」
「なにそれ?じゃぁ、私もその変な魚に興味持たなくちゃいけないの??」
「人に趣味を押し付けません。それがマイナーの美学です。」
ワイルドベタの好きな人ごめんなさい。でもよく考えてください。マイナーです。
「どうでもいいや、」
なに??
「今日見たエッチなサイトでさ・・・。違うあ・・・」
「言わせないよ!!」
レイの口をふさいでから布団をかぶせる俺。
「試してみたいんだけど??」
は〜〜。
知らんからね・・・。
グッ
「ッいった〜〜〜〜〜〜〜い!!」
夜に響き渡る悲鳴・・・。
わかりきってるよね?入れる穴じゃないもん。出す穴だよ?
ほんと迷惑なやつだな・・・。