魔族の生まれ
一人でお風呂のはずが先客にお母様が居た。
そしてお母様とゆっくりお話する機会が・・・。
「あの人はね、神々と戦争をするほど勇敢だった。この国が滅びるのを防ぐたために神々と話し合いをしようとしてね・・・。交渉が決裂して大きな戦争になったの。」
神々と魔族の戦争。相当な規模だろう。
「もしかして神々の敵は魔族だと思っているの?ちがうわ。大昔、神々は人に無理な仕事を押し付けたの。強制的にね。それはこの世界と神々が住む世界を繋ぐ門を創れという無茶な仕事だったの。人は魔素に耐えられない。一部の屈強なものだけを魔素の濃度の濃いところに門を創らせるために住まわせたの。」
遠い目をしてお母様が話す。
「門の完成なんか無理なほどの悪い環境。そこで生まれる子どもたちは、弱い物は死に、強いものは今の魔族のものと同じ姿になったの。でもその時は魔族とは呼ばれていなかったわ。子どもたちの異変に気づいた人たちは神々に出来ないことを言いに行ったの。それでも神々は許さなかった。そうしてその人々は反乱を置こした。子どもたちの未来のために・・・。」
涙を浮かべている。
「そうして大きな戦争になった。強大な力を持つ神々と一生物として強大な力を持つ魔素に耐えうる体を持つ人。戦争は日増しに酷くなったけど・・・。最終的には圧勝したわ・・・私達神々が。」
「神々は他の人と反乱を起こしたものとの違いを見せつけるために、劣悪な環境に住まわせ、神々に逆らった下賎な種族として悪魔の魔、人族などの族をくっつけて魔族と呼ばせたの。人も亜人も蔑み嫌うものとして魔族という呼び名を付けたの。それが魔族の始まり・・・。」
「それから千年、魔族と呼ばれる者達は神々が通る門を強制的に創らせる奴隷として魔族領に閉じ込められたの。魔族が滅びに瀕する姿を見て、ゾルミス、パパがね・・・反乱を起こしたの。ゾルミスについて神々を裏切り戦ったのが私。そうしてやっと魔族は神々から解放されることになったの。」
長い話の中でお母様はずっと涙を流していた。
「私はこの魔族領に住む家族を苦しめた者の一人なの。その贖罪として今もこの場所でずっと守り続けると決めたの。私にとってあの人は光・・・あの人を奪うと言っていたもので生きているのはハウンだけ。それ以外の最古の神々や他の神々は全てこの手で始末してきたわ。それが知りあいであったとしてもね。」
「ありがとうございます。」
俺がお礼を言うと
「何で御礼を?」
涙を流し悲しそうな顔で俺を見るお母様。
「あなたが魔族に付いてくれたおかげで俺はレイと一緒になれる機会が生まれたんです。あなたがもし、お父様につかずに興味のないこの世界を放置していれば俺は生まれていてもレイがいなかった。そうならなかった決断をしてくださったお母様に感謝以外ありません。」
そう言うと小さな声で
「ありがとう」
と言ってお母様が顔を手で覆って声を出して泣き始めた。
「恵さん、あなたがレイの旦那さんになって一番救われたのは私かもしれません。ありがとうございます。」
涙を流しながら俺の手を握る。
それと同時に俺とお母様の体が発光する。
お母様の紋様と同じ光を放ち、俺の胸の中に入っていった。
「?」
今までのシリアスな場面を忘れてしまうほど頭を傾げている。
「今の何ですか??」
「いえ、全くわかりません・・・恵さんの体に異変とかはないのですか?」
「いえ、何もありません・・・。」
俺が立ち上がって自分の体を見回すがこれと言って変なところがない。
あ、あった・・・大きくなってる。
「これ・・・もしかして私の体を見て??」
「あ・・・す・・・すみません・・・あのなんと言えばいいか・・・」
俺はその後のお母様の行動にびっくりするがそのまま流される・・・。
ゴメン・・・レイ。
なんか変なことになった・・・。
どんな顔をしてレイやお父様、レイリーに遭えばいいんだ〜〜〜!!!??
俺のバカ〜〜〜!!