親衛隊に切り込み隊長、色々出てくる。
つかれています。まだこの世界に来てそれほど経っていないのに。
大男は申し訳なさそうにしながらも話はじめる。
「姐さんには話しましたが、俺たちは姐さんの腕っ節に惚れまして。
あの頭を掴む奴、本当に天に昇る気持ちになりました!!
キレイな花畑が目の前に広がる錯覚があるほどに!!」
いや、それ、『天に昇る』ではなく、マジで『天に召され』そうになっていたんだと思うよ。
などと心で突っ込んだりもする。
大男はまだまだ熱く語りつづける。
「何があっても何かしらの関係を築きたい!!
あ!いやいや、いかがわしい関係ではなく、何といえばいいのでしょうか?
舎弟的な?そんな感じのお付き合いをしていただけないかと?
迷惑なのは分かっています。そりゃぁ、いきなり蹴りを入れるような野蛮な俺様、いや、俺達なんかが回りをうろうろしていてはご主人様も気が休まらないでしょう。
ですから、親衛隊と申しましょうか?ファンクラブと申しましょうか?
そのようなものを作りたいのです。そのご了承をご主人様にいただけないかと。」
何かよく分からないんだけど。
腕っ節に惚れたらファンクラブを作るのか?この国は?
「俺たちはこう見えて、Bクラスの冒険者なんです。
Bクラスにもなればそこそこ国からの依頼や援助も受けられます。
ということは何かあったときに俺たちを通して国になにかしらの行動をとってもらえる可能性も出てきます。
また、これほどの美しい姐さんですから、万が一にも誘拐なんかされてしまったりしたときなんか、俺たちの継がりで情報をつかんで解決できたりもすると思うんですよ!!
これからのためにファンクラブ、作っていて損はないと思います。
運営の方は俺たちでやっていくので迷惑かけません!!
お願いします!!ファンクラブ設立させてください。」
すごい熱く語っているけど、俺的にはどうでもいいんだけど・・・。
レイを見るとあからさま嫌そうな顔で俺を盾にして目が逃げている。
「レイは嫌みたいだけど?」
「そ、そんな!!姐さん!!カクカクシカジカ・・・。」
長い長い説明をレイにし始めた。
レイは思考停止しているのか右斜め上を見たまま動かなくなっている。
「あ~~~~!!もうわかった!!好きにしろ!!ただし!!私たちに一切迷惑かけるなよ!!絶対だからな!!」
レイは考えるのも聞くのも嫌になって嫌々承諾してしまった。
「どう考えても頓挫するだろ?こんな会・・・。」
レイは小さい声でそういった。
だが、この決定が後々、面倒な騒動を巻き起こし迷惑をかけられまくって俺もレイもひどい苦労をさせられるのである。そうなることを知らない俺たちは今、この変なファンクラブの早期の頓挫を心から願っていた。
遠くで
「俺が親衛隊長!!」
「俺は切り込み隊長!!」
「じゃぁ俺は・・・」
何か変な事がどんどん決まっていっている。
正直どうでもいいや。
「はぁ、ギルドに来たことだし面倒だけど職でも決めてきますか。」
俺はギルドの前に来たくなかった。
だがそれも変な形で解消された。
なら、大望の脱職業不明を遂行しよう。
職業決定します。
職業選択の自由、この国にはある様ですよ!!