荒んだレイと良い子のラウル
デュランの造る拷問などに使われる空間につめ込まれた大量の肉。
腐るといけないからそこにカミーラとダリアを入れておく。
2人でモリモリ食っている。
「これで少しは強くなるだろう・・・。」
「メグミは魔物強くして何が楽しいの??」
俺は魔物を強くしたいんじゃない。仲間を強くしたいんだ!!そう言うと
「強くなりすぎて手に負えなくなって裏切られても知らないよ。」
あぁそうですか・・・。彼女たちが裏切るんですね、いつか。
「私は裏切りません。恵様の強さは戦闘だけではないのです。仲間を思う気持ちも全て含めて強者なのです。」
ラウルはいい子だな。
「ちょっと!!自分だけいい子はダメですよ。私も恵様を裏切ったりしないわ〜。楽してこんな美味しいものが食べれるんだもの〜。」
カミーラ・・・あなたは食い気が先行しすぎ。
「私も仲間になってまだ日が浅いが、恵様のなんとも言えない居心地の良さに当てられている。私を殺さなかったし。仲間の仇という気持ちもないしね。」
ダリア・・・最後の言葉は仲間意識が薄いとも取れますよ・・・。
ラウル以外はちょっと減点ぽいがまぁいいや。
レイの減点レベルに比べればね・・・。
「ちょっと嫌な感じの雰囲気が伝わってきたけど・・・。」
「正解!!」
俺はレイに指を指しながら言っておきた。
泣きそうな顔のレイ。気にしない。
大方、魔物は殺したのかな??襲ってこなくなった。
「最後の大物を始末したのでペシュローナとディゴンも王座につきやすくなったでしょう。」
ラウルはずっと2人の心配をしている。いいお姉さんだな。
空を見ると満天の星。大きな月。少し欠けているのが残念だけど、そればかりはね。
ほぼ満月でも何も光がないとこんなに星が見えるんだな。
俺は甲板に転がって空を見続ける。
進みながらラウルも見る。
「化物として人に恐れられている時は、空なんて見上げたことがなかった。荒んでいたのでしょうね。今はこの空を見て美しいと思えます。」
凄い乙女な所があるラウル。俺と同じ空を見上げて同じように思っているようだ。
「「キレイ」」
目を合わせて笑う俺とラウル。新しいカップル誕生か?
「あぁぁ、いい雰囲気ね。あの時殺しておけばよかったわ・・・。」
船首で頬杖を突いて不貞腐れているレイ。ちょっと離れている間に心が荒んでいますね。
「私も綺麗だなと思うよ!!最高の満天の星空ね!」
レイが取ってつけたように言う。
あっそう。とだけ言っておこう。
「ク〜〜〜!!」と悔しそうな声を上げて地団駄を踏んでいる。
「ねぇ、そろそろ意地悪やめて私の相手してよ!!ちょっと浮気しただけじゃない!!メグミなんか女の子こんなに連れて歩いても私文句言っていないよ!!」
涙目で訴えてくるけど嫌なら離れればいい。俺の今のパーティーはそうなっただけで男が要らないとか選別しているとかした覚えはない。気に入ったら仲間にするそれだけ。カミーラなんか見た目女だけど性別ないし。
「放置されているやっちゃんはもっと可哀相だよ。何で迎えに行かないの??」
やっちゃんにはやっちゃんの仕事があるでしょ?放置しているわけじゃない。合流できるように行き先も言ってあるし。俺は正義なくあっち行ったりこっち来たりしているレイに嫌なものを感じただけ。
それをそのまま伝えると泣きながら
「嫌な感じはひどい!!ひどい!!ひどい!!」
号泣し始めるレイ。ったく仕方ないな。
「じゃぁ、高得点チャンス!!これで挽回なるか!!?挑戦しますか??」
「もちのろんよ!!」
親指を立てて舌を出しながら言うレイ。
この人、全然反省がない。
「やっぱやめ。」
ごめんなさいを俺の足に絡みついて言い続けるレイ。
「あの・・・恵様・・・レイ様を許してあげては??反省していると思います。変な行動は今に始まったことではないですし・・・。」
じゃぁラウルに免じて許しますか。
「ラウル大好き!!今度一緒にベッドで寝ようね!!」
抱きつくが今のラウルはでかすぎて、ビルに飛びつく子供みたいになってる。
「俺達眠るけど大丈夫??」
「はい。できればカミーラを呼んでください。そうすれば万が一もなくなります。」
カミーラを呼び、説明して俺達は眠りにつく。
「カミーラレベルは??」
「600超えました〜〜!!」
マジで強くなってるな!!じゃぁダリアは??
「私はまだ500ちょいです。」
地味に俺の立場がヤバイ・・・。