俺の航海とレイの後悔
レイの姿を見てガクガク震えるハウン。なぜ震えるの?
「あのさ、ついてこない時点で、解消してるから怒るのはおかしいよ。」
俺の一言で肩を落とすレイ。
「え?・・・解消って何??」
フルフル震えながら恐る恐る聞くレイ。
俺が腕輪を見せるとレイの腕と繋がっていない。
それを見てレイが崩れるように倒れて泣き始める。
「なんで??いつのまに??」
つぶやくように言っているけど気にしない。
ハウンが新たなパートナーです。そう伝えると・・・
「じゃぁ、私は何だったの??遊び??遊びだったの??」
あぁ、なんか凄い殺気。俺に殺気浴びせてくるのは最初以来かな??
「正妻でいいんじゃない?奴隷やめたんだし。」
目が輝いて殺気が消え、にこやかな顔になる。単純なやつだな。
じゃぁ、ハウンは何??みたいなことを聞いてくるが俺のものとだけ伝える。
「ハウンは俺に文句言わず付いて来てくれて、レイはやっちゃんの顔を立てて向こうに付いたんだよね。なら俺達に関わるべきではないと思うけど。何でここに居るの??」
俺の言葉にレイは言葉を失う。
目も泳いでいる。まさか突き放されるとは思っていなかったようだ。
「正妻の話をしたけどやっぱりダメだよね。だって付いて来てくれないもん。一生添い遂げるって言ったのに離れたもんね。向こうの世界もハウンとレイの立場を入れ替えないと・・・」
「デュラン!!・・・」
俺が願いを言おうとすると全力で口を封じに来た。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!奴隷に戻してください!!ごめんなさい!!ハウンのことも認めます。だから許してください。」
涙を流して首をブンブン横に振って俺に懇願してきた。
「もがもがもが」
俺が話をしたくても口を押さえられている。
「レイ、恵様はなにか言いたいみたいよ。」
レイの手にそっと手を当ててハウンが言う。こういうところが大人だよね。
「じゃぁ、わかった。でも罰として俺との接触当分禁止!!」
「え!!??5分??10分??」
分単位なんだ・・・。ダメっぷりがヤバイな最近のレイ。
「何で分単位なの??日にちでしょ??10日かな??」
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!」
全力で首を横に振り続けるレイ。首が取れそうだ。
「で、やっちゃんはどうしてるの??」
俺の一言に遥か後ろに指を指す。結構な後方に軍艦が浮かんでいる。あそこからハウンの行動を見て跳んできたのか??ちょっとヒクわ。
軍人共がさっきの戦闘で死んだおっさんの遺骸を調べている。と言っても残っているのは少しの肉片と血痕だけだけどね。もしかして後をつけて仕事サボるつもりか・・・。俺達が勝手に始末しているのを見ているだけか?
「ねぇ、レイにお願いがあるんだけど。」
「それ聞いたら接触禁止解いてくれる??」
目を潤ませながら手を合わせ俺にお願いしている。
「じゃぁ、ちゃんと伝言できたらね。こう言ってきて・・・」
後をつけているのに気づいたので戦闘をしない。
もう少し進んでまだ付いて来ているようなら遠慮無く沈める。
伝言をしっかり伝えてきてとレイに頼む。
それと・・・
ハウンに頼んで軍艦の横、ちょっと離れたところに攻撃を当ててもらう。
海に光の筋が当たり、その直後大爆発をして蒸発した海水で凄い蒸気が発生している。
おいおい、どんな兵器だよ。まるで某有名アニメ映画の『○神兵』だな・・・。
レイが軍艦に戻り、俺達の伝言を伝えてまたこっちに戻ってきた。何で戻ってきたの??
「私も一緒に行く!!」
この子には正義はないな・・・。
「で、軍人共はなんて??」
「軍人は何も言っていなかったけどやっちゃんが『殺す気か!!?』って言ってたよ。」
まぁあの光線見て驚かないのはレイくらいだろう。
軍人も何も言わなかったのではなく言えなかったんだろう。
俺達は船旅というのもおかしいがそれを続けている。のどかな海。凪だな、凪。甲板に転がる俺。
それを覗きこむハウン。その姿を見て
「チッ、少し離れている間に私の立場が崩れちゃった」
聞こえているからやめてください。綺麗な顔で微笑むハウン。神が作っただけあって美しいね。
「恵様はレイのような髪の長い女性が好みですか??」
俺に聞いてくる。確かに短いより長いほうが好みだな。
そう思っていると神の長さが変化する。すぐに髪の長いハウンになった。
ほ〜〜〜〜っと見とれていると目を覆うレイ。なんだよ!!見えないじゃない!!?
「見なくていいです!!見たら惚れて私の立場が変な位置になります。」
ヤキモチ焼きのレイ。面倒くさいレイ。でもそこがちょっと可愛いな。やっぱり好きなんだろうね。この子のことが。
どんどん進む航海。後ろでは少しの時間離れたことを後悔するレイ。
俺達は色んな航海(後悔)をしながら大人になっていくのさ・・・。アホくさ。