魔物と魔物と魔物たち
勇者をかき集めるギルドの職員たち。
やっちゃんも見つかり、ギルドへ連行中。
俺のランクは確か・・・
「ランク無しよ。」
やっちゃんが教えてくれた。そうそう、俺、ランクないわ。
「うあわははははははは」
大声で笑うおっさん。レイが凄い睨む。落ち着いてね。
「いや、失礼。ランクがないのは依頼を受けないからでしょう。弥生様がこれだけ言うんですから弱いわけがない。というより自力で勇者まで持っていった方だ。努力されたんでしょう。」
男はそう言って髭をいじり倒している。
つまらない、どうでもいい話をしながら歩くとすぐギルドについた。
「な!!真の勇者も居ただろ?」
ゲインが誇らしげに言う。お前の手柄ではない。
鼻にティシュを差し込まれた状態で椅子に縛られている。何で??
「ゲイン様が逃げるのでこうしています。情けない話ですが我が帝国軍でもあの化物共はどうにもなりません。どうしても助けていただきたく弥生様に来ていただきました。」
おっさんがやっちゃんに頭を下げて依頼を説明し続ける。
「この仕事は私よりメグミくんのほうが適任よ。」
俺に押し付ける気満々のやっちゃん。もしかしてラウルか??
「彼ね、凄い魔物を使役しているの。その子に頼めばもしかしたらその化け物たち、どこかに行くかも・・・。」
結構なアバウト計画ですね。かもって・・・。
「ほう、凄い魔物・・・で、どこに??」
俺がラウルを呼び出す。ラウルを見た皆の顔が怖い。疑いの眼差しマックスだな。
「この小さい子が?何の冗談でしょうか?」
ラウルが俺の後ろに隠れる。
「ラウル、海に出れば本来の姿になれる??」
コクコク頷くラウル。
「最大サイズで見てみたいんだけどいいかな?」
俺の話に頷く。
「でも、軍艦邪魔になるよ・・・。」
ラウルは軍艦を心配している。ヘタすると沈めてしまうってことか??
「少し離れたところでお願いしようかな?」
俺の言葉に頷いてラウルが海へ歩いて行く。
「彼女が本来の姿にもどります。絶対攻撃しないように通達してください。」
俺の言葉を聞き、ギルドのメンバーがマイクを持って街の中にアナウンスする。
「今から港に現れる魔物は勇者様がお連れの従魔です。絶対に攻撃しないで下さい。繰り返します・・・」
延々と繰り返されるアナウンス。それを聞いて港の海辺に多くの野次馬が殺到する。
「勇者様の従魔?どんなんだろ??」
「それで戦うのか??」
「化物で化物退治??見てみて〜〜!!」
などなど、色んな声が聞こえる。余裕ぶっこいてるけどラウルを見てお前らパニックになるなよ・・・。
ラウルは小さい船で海に浮かんでいる。どこから持ってきたのそれ?
「いいですか〜〜??」
可愛い声でこっちに聞いてくる。
「お願いするね〜〜〜。」
俺の返事を聞いて人化を解く。
そうすると小さい船が一瞬で沈む。
この辺りには軍艦が1隻もない。さて、どんなサイズなのか・・・。ワクワクするな・・・。
海が盛り上がる・・・
これ・・・やばくない??街に大波が押し寄せる。野次馬が波にあたって吹っ飛んでいる。
姿の見えていない状態でもうパニックになっている。
アナウンスは今も流れ続けているが攻撃だけはしないでくれよ・・・。
イカの足がワラワラ出てくる。これは・・・でかすぎる・・・。まさか・・・コレほどとは・・・。
周りの人という人がパニックになる。全員恐慌状態とはコレのことだな。
足の1本1本がその辺りにあった軍艦と変わらない大きさ・・・。
コレヤバイよね・・・。
クジラの頭が見えてくる・・・。クジラか??島だろ??垂直に立ったクジラの体にすごい数のイカの足。
上体を起こすラウラ。デカイ人型の部分が姿を表す。
「こ、こ、こ、こ、こ」
鶏みたいになっているギルドのおっさん。先ほどまでの紳士っぽい笑顔はどこかに落としてしまったみたいだ。
「でっかいな〜〜〜」
レイが眼を輝かせて笑って言う。
デカイなんてもんじゃない。空母を飲み込んだっていうのも頷ける。
「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ラウルが咆哮を上げると周りの人々が気を失い始める。咆哮を聞いてバタバタと倒れる野次馬や水兵達。
「大きな声、ゴメンなさい。パニックになってたから・・・。」
デカイ体の割に声が可愛い。
「それ最大??」
俺の問に頷くラウル。
咆哮を聞きつけた魔物が数体現れる。デカイと聞いていたがラウルを前にすると・・・
小さいな。
ラウルに話しかけているような感じの魔物たち。
「この子たち、私を探していたみたいです。今、派閥争いやっているそうです。次の王を決めるとか。」
ラウルの話ではラウルがいなくなって統制がとれなくなった海の魔物が自分が一番だと言い始め争い始めたそうだ。その中でも10体の魔物は野心家でラウルがいる時から争い続けていたそうだ。
ラウルがいなくなったもしくは殺されたのと思い海の王を名乗ろうとしているそうだ。
「ラウルが戻れば解決?」
俺が安易に聞くけどそうでもないらしい。今更戻ってきても話し合いをするつもりはないと言われるだろうだって。
面倒な奴らですね!!迷惑な奴らですね!!
だから攻撃してこない軍艦は放置なんだ。
「ラウル、戻って。」
俺の命令を聞き小さくなって人に化けるラウル。
クロールで泳いできたので俺が手を引き、陸に引き上げる。
「こ、こ、こ、こ・・・」
やっちゃんがおっさんに状態異常回復魔法を唱える。
頭をブンブンふっているおっさん。その横に居るラウル。
おっさんの顔が引きつる。あの化物が今自分の横に居る・・・。そう思うだけで怖いだろうね。
「この方は何なんですか?あんな魔物みたことない・・・。それを使役??どうやって??」
俺を見る目が恐怖で震えている。
「大丈夫!!ラウルは俺より強いから。」
「そんなことないですって〜」
謙遜するラウル。
俺のにこやかな顔に『おかしい・・』を連呼し続けるおっさん。
ごめんねおかしくて・・・。
どうですか?おもしろいですか??
まだまだ続きますが心折れていませんか?