新たな仲間
正座して俺に熱視線を送る女。
「で、名前は?」
「ダリアです。」
ダリアか〜。いい名前だね!!この世界にもあるのかな??ダリア。
「ダリアって花の名前よね。この世界にもあるの?」
やっちゃん、ナイス質問!!
あるんだってさ!!
「ねぁダリア、ここで私達の仲間になるって言うならそれなりの覚悟がいるわよ。今死んだほうが楽だったなんてこともあるかもしれないわ。」
やっちゃんが脅す。
「まぁたしかにね。弱いとすぐにこの世から降ろされそう。」
そういや影薄いよ、ハウン。あんたさっき戦ってたの??
レイとハウン、実は一度も戦闘していない。誰も近づいて来なかったらしい。悲鳴をあげて逃げ出したとか・・・。
レイは魔王軍最強だし、ハウンは最古の神々だしこの2人相手に喧嘩していいことないもんね。
出会った奴ら可哀相だもん。
「そ、そんなにですか??」
あんた最弱というと肩を落とす。
「で、ここのもの全部私のものなのよね!!」
あれ??やっちゃんのもの?そうなの??
「ちょっと、気になってたんだけど、この人お金にがめついの??」
俺の耳元で超小声で聞いてくるハウン。頷く俺。
「聞こえなくても何聞いたかなんとなくわかったわよ!」
おかしい、俺はやっちゃんの後ろにいる。なぜバレる??
ハウンがビクッとなって少し笑える。戦っても負けないでしょ??
「私は最古の神々の一柱。ハウン。よろしくね。」
「か、神々?あの伝説の??まさか本当にいるとは・・・。」
驚愕の顔を見せるダリア。気の強そうな美人さんなんだけどここにいる女性皆気が強いからそう感じさせない。見た目優しそうなやっちゃんですら凄いキツイもんね。
「今日はここで泊まって、また明日南に進むよ。」
「あ、あの・・・なぜ南へ??」
「気になる??俺達は南にある世界樹を見に行くのだ〜〜!」
俺が腰に手を当て踏ん反り返って威張る。
「あの・・・今はやめておいたほうがいいですよ・・・」
なんで??
聞けば海洋の魔物が大暴れしているんだとか。
理由はわからないが今すごいことになっているらしく仲の良くないミューアス帝国とマリスタン帝国が一緒になって戦っているんだとか。
「海の魔物ね〜。ラウルの知り合いかな??」
「わかりません」
小さい声でささやくラウル。皆君の正体知っているからもういいんじゃない??
まぁ最悪ラウルに話しつけてもらって通してもらいましょう。海の魔物ならきっと話が通じるでしょう。
ずっと馬車だったから、久しぶりのベッドで眠ることができるのがとても幸せに感じる。人が使っていたベッドだな・・・。甘い匂いがするけどその主は今きっとどちらかの胃袋の中だろう。
「あの〜睡眠魔法はいかがですか??」
やっちゃんが俺の部屋に来た。後ろにはレイがくっついてきている。何で??
レイが言うにはやり過ぎないためだとか・・・。それ建前で見たいんでしょ??変態さんだから。
「はぁ〜。いいけど。レイにも言ったけど、この後必ずやり返すからね。おっぱい吸ったり、お○なめたり、穴に指入れたりするよ。いいの??」
俺の脅しに二つ返事で了承している2人・・・。この子等アカンわ。
「起きている状態でもやるけどどう??」
いや、眠らせてください。如何わしい事をされる前提なのに変な気分にならないわけがない。
「睡眠魔法」
俺は眠る。イタズラされるのがわかっているのに眠るのだ・・・。可哀相な俺。
向こうの世界では何事もなく過ごし眠ることになる。
そりゃぁ、夜になって風呂では美久に誘惑されたりレイにやっちゃんがやり過ぎてたから私もしたいとか言われたりしたけどね・・・。
何をされていたか聞いても答えてくれない。別にいいよ。どうしても知りたくなったらデュランに頼むから。俺の凄いなと思ったところはやっちゃんが普通に接していたことかな??俺にいたずらしてあの普通の素振りは大したもんだ。
俺は自分の寝ていた部屋で目を覚ます。真っ裸にひん剥かれた俺がいる。
風邪ひくから服くらい着せてから放置してね。
俺の体を見て何をされたか考える。これは思いの外、凄いことされている。
俺は裸でウロウロする。俺に服がないのだ・・・。今だ現在進行中のイタズラか??
部屋の外に出るとガランとした屋敷の中が俺の寂しい心を更にかき乱す。
「さぶ!!」
裸で館をウロウロする変質者、吉永恵。
「風呂ないのかな??」
俺はダリアを呼び出し風呂の場所を聞く。
案内させて俺が風呂に入るのを見続けている。
「一緒に入る??」
俺の言葉に真っ赤になって急いで出て行った。
皆入っているから気にしなくていいのに・・・。しかも裸見てるじゃない??
体を洗い、頭を洗い、湯船に浸かる。でっかい風呂だな。ライオンみたいな像の口からお湯が出ている。
頭からそのお湯をかぶり修行している気分を味わう。
「昔、道後温泉でやったっけ?」
小さい時、両親に連れられていった温泉を思い出す。
有名な温泉ではあるが俺の記憶にはお湯が出るライオンの口くらいしかない。
そこで今と同じように頭からお湯をかぶり修行と言ってお父さんが笑っていたっけ?
美久が歩き始めてすぐだったからずっとおんぶしていたように感じる。
俺は風呂を出る。
ダリアだろうか?出たところに服の準備をしていてくれた。結構気の利くいい子かも。
誰の服かわからないけどサイズはいい感じだ。
「さて、やっちゃんに問い詰めにいこう。」
俺はやっちゃんの部屋の前に行きノックする。反応なし。
仕方なくレイの部屋に行く。そしてノック。何故かやっちゃんが出てきた。君たちも裸??よくわからんわ。
俺は部屋に入って2人に聞く。真っ赤な顔をして答えないやっちゃん。
「メグミ、やっちゃんさ、もうちょっとで処女じゃなくなるところだったんだよ!!」
そういった瞬間にやっちゃんがレイの口を押さえる。モガモガ言っているがやり過ぎというのはそのへんか??
「大事なものなんだから変な失い方は止めたほうがいいよ。」
俺の一言に冷静になるやっちゃん。
「やり過ぎましたごめんなさい。」
素直に頭を下げたのでよしよししておいた。
俺達は朝食をぱぱっと済ませ馬車で移動する。
人数増えてちょっと狭いな。というより女の子ばかりだから凄いいい匂いがする。
おっさんのジルは前にいる。その後ろの座席にハウン、ダリア
最後尾の席にやっちゃん、俺、レイと座っている。女の子に囲まれた幸せ絶頂図です。
ニヤニヤしながら乗ること数時間。ケツが痛くなったくらいに港町に着く。
「ミズール〜!!!」
やっちゃんの叫び声とレイのジャンプで馬がびっくりしている。臆病な生き物だからやめてあげてね。
話に聞いた通り凄い物々しい。
デカイ軍艦がいっぱい停まっている。何十隻、もしかしたら100隻以上。数えられないほどの軍艦がここにある。
2つの旗を靡かせているところを見ると両帝国のものなのだろう。