誘われて。
今現在この場に居るのは
俺、レイ、やっちゃん、ハウン、そしてジルです。
カミーラやラウルの魔物っ娘たちは基本別世界で楽しく過ごしています。
移動に2日。南へ南へ南へ山沿いを移動。川沿いを移動。
そして今は森の中。
薄暗い森に俺達はいる。
「あそこ見て・・・建物があるわよ。」
やっちゃんが指差す先に灯りがある。
近づくと、そこは相当な大きさの建造物があった。
門番が立っていると思ったら正装をした男が一人立っていた。
「こんばんは、もうすぐこの森は暗闇に包まれます。強い魔物も出ますので今夜はここに泊まっていってはどうでしょうか?」
怪しさ満開ですね。誰がそんな誘いに乗るんですか?
レイが凄いワクワクしている目になっている。これはもう、なにか起きるのが目に見えている。
「どうする?面白そうだから泊まってみる?」
やっちゃんが楽しそう。俺は・・・ちょっとこの罠に引っかかってみたい気もする。
どんなことが起きるのか・・・。
どんな悲惨目に会うのか・・・相手がね。
「じゃぁお言葉に甘えておじゃましますか・・・。」
ジルが馬車を屋敷に入れる。正装した男は俺達を中に案内する。
門から建物までの距離も半端ない。
「ここの主様がお待ちです。どうぞ中にお入りください。」
中に入ると豪華な装飾が・・・。お父様の屋敷よりも凄い。
「うぁ〜売ればいくらになるのかしら?」
やっちゃんのその守銭奴発言そろそろやめてください。俺の憧れを壊さないでください。
俺達をだだっ広い客室に案内して正装した男が部屋を出る。
「さて、どんな奴が現れるのかしら??」
「凄い怪しいもんね。こうやって騙してどうするのかな??」
ここにいるのは悪いやつに決定しているようだ。
ただの親切な人だったらどうするんだろ?
「クスクスクス」
「バカが来たよ」
「ほんと、バカそうなのが5人もいるね」
「どうやって食ってやろうかしら?」
「若い女はジジ様が食うと言っているよ」
おぉ!!悪いやつ決定だね。
そう思っていると部屋が真っ暗になる。
「はぁ、典型的で面白くない・・・。」
やっちゃんがため息を付いている。
「面白いイベント始まったからカミーラたちも呼ぶ?」
皆大賛成している。俺は2人を呼び出す。
「は〜〜!何か用ですか?恵様?って真っ暗じゃない!!」
カミーラがびっくりしている。
「暗いくらいで目が見えないの?スライムは難儀ですね。」
ラウルがくすくす笑いながらカミーラに話しかける。
「残念!!スライムだと何も見えないのよ〜。目がないもん!!」
確か目らしいものがついていないね。見えていないんだ・・・。
「で、どうする?」
「ここのボスを捕まえた人が1番でいいんじゃない?」
レイの提案に皆賛成する。ボスってどんなやつなんだろね?
「皆魔法で明るくする?そのままでいい?」
明るくすると面白みにかけるけどここまで真っ暗だとそれも面白くない。
薄暗いくらいがホラーゲームっぽくていいのに。
「わたし、ここの主捕まえてここのものを全部頂いちゃってもいいよね!!」
やっちゃんが怖い。一番怖い。
「じゃぁ、私は主捕まえたら・・・どうしよう・・・。」
レイはこれと言ってなんの望みもないようだ。
「私はここの魔物を全部食ってやる・・・」
カミーラの雰囲気が変わる・・・魔物の臭いがプンプンする。
「わたしはどうすれば??」
ラウルは困っている。
「私達魔物グループは本性見せていいのよね!!」
カミーラが高笑いしている。
「ラウル!あの姿を見せてやりなさいよ!!ここの魔物全てに絶望を与えてやりなさい!!」
「ちょっと!!ここの建物壊すのはナシ!!当たり前でしょ??私のものになるのよ!!壊されたらたまったもんじゃないわ!!」
「私達が元の姿に戻って壊れるのはしかたないじゃない。ここが小さすぎるのよ!!それ自体が悪なのよ!!」
カミーラが少し壊れ始めている。
「なぁ、カミーラ。いつもの上品な君はどこに??」
俺の一言で我に返る。
「す、すみません!!恵様。魔物の臭いがプンプンするので野生に返ってしまっていました。」
野生に返るって・・・。
「この建造物を壊すのはなるべくナシ!戦闘で仕方なくはどうしようもないけど・・・。」
「お前たち・・・もしや我らに勝てるつもりではないよな・・・」
後ろから声がする。そう思った瞬間にレイに捕まっていた。
「な!??」
女?が捕まって驚いている。
「情報頂戴。真っ暗で面白くないから灯り付けて欲しいの。付けてくれるわよね?それとも死ぬ?」
レイが無理に腕を1本引きちぎる。
「ギ、ギニャ〜〜〜〜!!」
悲鳴をあげる女の魔物?デカイ耳の付いた毛むくじゃらの女?
腕から凄い血が流れている。
「貴様!!許さん!!絶対にゆ・・・」
言葉を遮るように耳を掴んで千切る。
悲鳴をあげる女の魔物。悲鳴が終わる前に拳で顎を砕く。
「うるさい」
レイの殺気を込めた一言で女は黙る。顎が砕けたから黙ったのか?
「だんでじょう?」
顎が砕けて聞き取れない。
「もう一度言わないといけないの?じゃぁ死になさい。」
その言葉に女は叫び始める。
「ばがっだがら、あがりづけます!!!」
レイに首を掴まれたままどこかに移動して壁をゴソゴソ触っている。
明るくなった。壁の中に灯りをつける装置があったようだ。
「じゃぁもう、お役ゴメンだから死になさい。」
レイの一言におもらしする女。
汚いの言葉と同時に首を折る。
ピクピク痙攣する女をカミーラに投げ渡す。
カミーラが嬉しそうにモグモグ飲み込んでいく。
「ぷは!!こいつのレベルは350前後ね。」
この人、食った者のレベルがわかるんだな。凄い特技。魔物ソムリエだ。
「バージュ殺された!!馬鹿な!!」
なんか焦っている。さよならバージュ。他の仲間もそっちに行くから仲良くしてね。