幾千年前3
彼の特訓を見なくなってどれほどの月日が流れたんだろうか?
私は相変わらずこの何も生えていない森の真ん中で座っている。
「あ!お久しぶりです!!」
相変わらず精悍な顔立ちの男がそこに現れる。
私にひとしきり話をして彼が言う。
「そろそろ私の国も独立して神々の保護から脱しようという話が出てきています。それでその話し合いのために近々代表者が神々の下に行くそうです。」
そんな話をし始める。聞いてもいないことをずっと話し続ける大人になった彼。
僕から俺、そして私。どんどん自分を呼ぶ一人称が変化していく。
そんな長い年月彼を見守ってきた。
そんな彼が独立という名の反旗を翻そうとしている。このままではこの国はまた戦争になるだろう。
「あなたはそれがどれほど大変なことかわかって私に話をしているの??」
私の質問にしっかりと答える。
「私も力を付け、王に認められるほどになりました!今は騎士長の身分です。話し合いにいく長たちの護衛としてその話し合いの場に行きます。万が一、こじれた場合はその場で大きな戦闘が始まりそのまま大きな戦争に発展してしまうかもしれません。」
俯く彼。
「ですが。このままでは放っておいてもこの国は滅んでしまいます!もう国力がないんです。大人も大半が死にました。王もこのままではと嘆いている。もう、後もないんです。このままでは今の子どもたちも私と同じ不幸を背負い続けなくてはならないんです。」
彼は涙を流す。彼の種族の決意は固いんだろう・・・。
「そこで、あなたの意見を聞きたいんです。神々であるあなたはどうして私達をここまで苦しめているのですか??」
あぁ、気づいていたのね・・・。私は最古の神々の一人。きっとその話し合いの場にいるであろう存在。
「わたしは、苦しめているつもりはなかったわ・・・。」
そう言うしかなかった。私はこの世界に興味がない。もう飽きているのだ。
偶然・・・この色のない世界でたまたま光り輝くものを見つけてしまった。ただそれだけなんだ・・・。