馬鹿参上
「極楽極楽〜。」
俺の気分はそんな感じ。
ゆっくりできるいい温度のお湯に皆浸かっている。
「こんなところで何をしているのやら?」
聞いたことのない声がする。
湯船に使ったまま無視していると
「おいおい、普通は『だれだ!!』とかなるだろ?無視はないんじゃない??それ一番やっちゃダメだと思うんだけど・・・。」
男か??いや、女だな。声は男っぽいが女だ。
短髪の目を訳のわからない模様のついた布で隠している変な女。それが今目の前に立っている。
「はぁ、なんの用があってこんなところに来ているの?」
やっちゃんが冷静に相手する。
「いや〜、人間がお湯に使って楽しそうだから来てみた。と言っても誰でもいいわけではなくお前たち、というよりそこの女がいるから来た。」
そう言いながらレイを指さす。
「俺の名はハウン。この辺の神々を束ねる光を管理する神々の一人だ。」
自己紹介どうもです。
で、神々様が何のよう?
誰も腰を上げずに神々と名乗る女の話を聞いている。
「何で警戒しないんだ??神々と言っているんだぞ?普通警戒するだろ?特に、そこの弱小種族である旅人はもっと警戒するべきだぞ?」
はいはい、この中では俺が一番弱いですね。正解です。でも、あんた勝手に人のくつろぎ空間に入ってきて警戒しろとか意味がわからないんですけど。
「で、何のよう?」
俺が聞くと
「うむ、お前がこの中で一番弱いが一番話を聞いてくれそうだな。」
ハウンと名乗った神々は俺しか話を聞いてくれないことに落胆はするが話を続ける。
「お前の連れのその女が私の部下を殺してしまってな。その落とし前をどうするのか聞きに来た。」
「あんたの部下?宿を無茶苦茶にしてそこの従業員や客にいっぱい怪我人を出した奴ら?」
「そこは謝る。俺もそんなことしていいとは言っていないんだけどな。この世界の人々には迷惑かけるなと教育していたつもりだ。あいつらが勝手にしたことだが俺にも責任がある。」
そんなこと言ってもグチャグチャだと、あそこの宿。凄い可哀相。
「責任があるですって。はは、どう責任とるのよ?建物元に戻してあげるの??怪我人は私達が治したわよ。で、何で責任取るの??切腹?」
にこやかだが顔に青筋浮いているやっちゃんが切腹しろとそれとなく言う。怖いなこの人。
「俺の部下を殺したのはそこの女だ。その責任はどうなる?」
「何こいつ??襲ってきて殺されて責任取れ??馬鹿じゃないの?」
やっちゃんが呆れる。俺も何こいつ??という気持ちは一緒である。
「じゃぁレイが戦ってあんたに勝てばいいんだな?」
俺の意見に驚く。
「はい?お前ら俺に勝てるつもりなのか?俺はこう見えて・・・」
言い終わる前にレイが殴り飛ばす・・・と思ったがすり抜けた。
レイも顔にはてなマーク出ている。
「馬鹿な女だ。俺はそんな鈍い攻撃当たらない。愚かな奴には凄惨な死を・・・」
と言っている瞬間に近くの竹に何かがぶつかった音がする。
「グガハッ」
さっきの光の神々が吐血しながらのたうち回っている。
レイが殴っていたようだ。
「何が鈍いよ。カモフラージュしていただけじゃない。気配読めばちょっと横に逃げていたのがすぐわかったわよ。光の神々?光の速度で動けるんだと思ったら光を操って自分を少しずらしてみせるだけ?情けない能力・・・。」
鼻で笑いながらレイが湯船に戻ってきた。神々って馬鹿なやつ。レイにやられに来るんだもん。
「き、貴様・・・こんなことやってタダで済むと思っているのか??」
凄むが滑稽にしか見えない。たぶん、そのトリックに引っかかるやつ、俺くらいしか居ないよ。
「ねぇ、こいつがあいつらの親玉ならさ、アイテムのこととか何でお母様を襲うのかとか色々知っているんじゃない??」
そうだね、聞き出すには最高の相手だね!!持ち主なんだもん!!
聞き出すならここでしょう?いつものあの空間登場。
誰も居ないだだっ広いだけの空間。これを出すと異常に一日長く感じる。
そこにいるのは神々と名乗る愚かな女とレイ、やっちゃん、俺。
カミーラとラウル、ミドラにミューはそのまま露天風呂でくつろいでいるそうだ。
「では、質問大会始めます。答えなくてもいいですが結構ひどい目に会いますからそのつもりで。あと、黙秘頑張っても最終的には俺たちに知られてしまいますから素直に話すことをおすすめします。」
俺の簡素な説明が終わり質問が始まる。
まずはやっちゃんが知りたがっていた光り輝く神々しいアイテムたち。
レイはそれは魔族領の人に聞けば済むと言っていたがこいつに聞いたほうが手っ取り早い。
これらのアイテムは昔、この世界を作った神が戯れに作った神具と呼ばれるものだそうだ。
人の手に渡ることは稀らしい。こいつら殺さないと手に入らないから相当な力を持っていないと手に出来ないからだとか。