敵の出現
大破した宿。
そこに現れたレイ。レイは今あったことを話し始める。
「さっきね。変な集団が襲ってきたの。ミシュラを倒せば力が手に入るぞって」
ミシュラはお母様の名前だろ?レイ関係ないじゃん。
「お母様と私を間違ったみたい。まぁ見た目良く似ているって言われるから仕方ないんだけど。」
よく似ているレベルではない。そのまんまです。あえて違うのは背とおっぱいのサイズです。
突っ込んできた連中と交戦して帰ってきたところらしい。
「雑魚のくせにちょっかいかけてきたから皆潰して海にばらまいてやった。」
剣を使わず触手で対応したんだね。要するに手を抜いて相手したってことだな。
でも、誰なんだろ??お母様に喧嘩売るなんて。レイに勝てないのにお母様に勝てるわけがない。
自分の力に自惚れて勝てもしない相手に喧嘩売ったんだろう。馬鹿なやつ。
「死ぬ間際にミシュラじゃないのにこの強さはおかしいとか言ってたよ。お母様の強さも知らないのね。」
笑いながら報告してくれた。まぁ笑い事じゃないんだけどね・・・。宿グチャグチャだよ。宿代一月分払っているのにどうするの??
レイがアイテム袋をゴソゴソして、その相手から奪ってきたであろうアイテムを持ってみせる。
神々しい武具ばかり・・・。
目が輝いているやっちゃん・・・。アイテムマニアにはたまらないものみたいだ。
剣と鎧、盾にブーツ。魔道具に腕輪。どれも凄い輝きを放っている。
ただ、この魔道具どういうものなの?
「触らないほうがいいわよ。何の効果があるかわからないから。不明な魔道具ほど怖いものはないわ。」
やっちゃんが脅してきた!!こわい!!アイテムマニアが脅してきたら触れない!!
「これ、多分、魔法障壁を造る魔道具だよ。馬鹿だから回復魔法まで弾いて回復できずに死んでたから。」
それ、馬鹿丸出しじゃない??魔法を効かせないアイテムで回復も出来ないなんて・・・。バカの極みだ。
後の武具たちも名前が不明。これはレベルの高い鑑定士にでもお願いしないと無理だそうだ。
知識が物を言う職業らしく、若い連中じゃダメらしい。魔族にそういうのに詳しい者がいるから見せてみようと言っていたが魔族領まで遠いから今度だな。
装備してみれば?というレイだが、やっちゃんが言うには止めておいたほうがいいって。
オーナー登録されているような貴重なやつだと解除しないまま装備すると危ないらしい。どう危ないのかって言うとその武具に食われるらしい・・・。なにそれ??怖い!!
仕方ないのでアイテム袋にすべて詰め込む。かっこいい神々しい武具達・・・活用できなくてごめんね。
レイが間違って襲われたということだからお母様にも知らせておかないと危険だな。
何が危険って巻き込まれた地域が危険だな。お母様が負けるなんて思えないし。
戦闘の勃発した地域の方々、生物が気の毒で仕方ない。
「連絡手段は?」
レイがさぁ?というリアクションをする。そうだね・・・。どこに行ったかもわからないし。きっとこの帝国にいるだろうけど広いでしょ?
「まぁいいじゃない!急ぎでもないし!!ご飯食べれなくなったから違う宿屋に行こう!!」
気の毒ではあるが仕方ないよね。狙われたのもレイだけど仕方ないよね。
というわけで俺達は違う宿を探しに出た。
外に出ると浅田や観月一行が野次馬に紛れて突っ立っている。
「おぉ!!無事でしたか!!姿がないから心配しましたよ。」
宿を替えるというと私達もと言って付いて来た。俺達から離れる気はないらしい。
A国とイザコザになったことを伝えると
「はい、サミュエルから聞きました。仕方ないです。そのあたりは個人の裁量ですからね。」
結構あっさりしているな、浅田は。国家間の面倒があるから仲良くしたいんじゃないの?
「いやいや、別にA国に尻尾ふらないといけないわけじゃないんですよ。軍隊で守られていると言われていますが我が国には自衛隊という強力な・・・いえ、何でもありません。」
観月がヤバイ発言をしそうになって途中でやめる。そうですね。それはあなた方が言ってはいけません。
そうこう雑談しながら歩いているうちに宿屋を見つける。
『宿屋 緑林』
坊さんの名前みたい。
暖簾をくぐり入るとそこには建物の中とは思えない林?の中のような風景だった。
その横には建物が幾つも建っている。コテージみたいな感じかな?
横には警備員のような格好の女の人が立っている。
「ようこそ、緑林へ。宿泊ですね。皆さん大部屋で1つの部屋にお泊りしますか?」
後ろを見るとたしかに大勢だな。いつもの割り振りで部屋を分けてもらった。
「ここは露天風呂があります。と言っても亜空間でつないだ世界ですので風景はいろいろです。自身の好みに合わせてお風呂を選んでください。ただし、同じ風景の場所には同じ部屋の人しか入れませんので先約がいると開くまで待たないといけません。そのあたりはご了承ください。」
ここも混浴ということか?知らない人と入らなくていいっていうのは気を使わなくていい。
この前の状態異常回復なんてことをされる心配もない。いや、いいねここ!!
俺がそんなことを思っていると各々部屋に入っていった。