闘技場にて
レイの笑顔の幟がいっぱい・・・。
テイマーになった阿呆なファンたちが犇めき合っている。
これは俺も出場してみるか??ラウル連れて行けば楽勝だろ??
「あの・・・私・・・陸じゃ戦えません」
「そうだね、種類的には魚介類だもんね。」
「違います。クジラと人とイカなので3分の2哺乳類です。」
そこは私が人型だから哺乳類ですでいいと思います。おっぱいあるしね!!
じゃぁ、カミーラでいくか??
「主様である恵様はだめですよ!!だって・・・あそこに銅像がありますし」
え?俺の銅像??なんで??俺そんなの作った覚え無いよ。
「ギルフォード公がレイの旦那である恵様の威光を示そうと作ったものです。残念ながらあなたはテイマー界の生きたレジェンドとなっています。」
はずかしい・・・。ばれないうちにここから離れよう。
「大丈夫じゃない??あれ凄く美化されているわよ。だからバレることはないと思うわ。」
やっちゃんが微妙な毒を吐く。美しくなくてゴメンよ。
「え?あれ??何で傷ついてるの??恵くんはかっこよくて可愛いのよ。美しいなんておかしいわ。凄い褒めたつもりだったんだけど??」
やっちゃんが俺の落ち込みを見て驚く。最近毒吐くところしか見ていないから毒かと思った。
「今、予選をしています。見に行きませんか??」
ジルに提案に二つ返事で乗るやっちゃん。テイマーの戦いって前聞いたように自分より弱い魔物捕まえて戦わせるんでしょ?レベル低いでしょ??違うの??
「皆様!!お悦びください!!ただいまこの会場に我々テイマー界の光!テイマー界のレジェンド、恵様がいらっしゃっているという情報が入ってきました。皆様!!拍手をしてください!!」
なに??何でバレてんの??
「係員のものは直ちに闘技場入口横、売店コーナーにいる恵様を粗相のないようにメイン闘技場にお連れしてください。繰り返し・・・」
いる場所までわかっているのはなぜ?
俺はなぜか泣いていた。これがレイの気持ちか?すごい嫌な気分だ。
「恵様〜〜恵様〜〜!!」
凄い歓声と拍手・・・。助けて!!そんな気分とは反対にすべてのことが流れていく。
がっちり周りを固められて連れて行かれる俺達。
やっちゃんは口を押さえてプルプルしている。ジルは申し訳無さそうに頭を掻いているだけだった。
「ゴメン。ぷふふふふ。我慢できない!!!あははははははははは!!」
腹を抱えて笑い始めるやっちゃん。俺の涙目を見て指をさして笑っている。
「減点100点で・・・」
衝撃を受けた顔になって涙目になっていく。これで仲間入りだね。
俺達は闘技場の真ん中に立たされる。
「ここに恵様がいらっしゃいます。みなさん盛大な拍手を〜〜」
凄い拍手の嵐が起きている。
「皆様、恵様にお聞きしたいことはないですか?はい!!そこの方!!」
なんか質問大会が始まった。俺は何をさせられるんだ??選ばれた観客が何か言っているが俺の耳には入らない。衝撃がでかすぎて何も考えられないのだ。
「わかりました!!恵様、あなたの今お気に入りの魔物はどんなものですか??レベルとかも教えていただけますか??」
あ、俺の連れている魔物を知りたいんだね??
じゃぁ、ここにいるラウルと今から召喚するカミーラがそうだよ。
そう言ってカミーラを召喚。
「?ここどこ??恵様、何で泣いてんの?」
それは俺も聞きたい。何で俺は泣いているの??
「すごい綺麗!!なに??あれ魔物なの??どこから出したの??」
ざわざわしている。
「カミーラ・・・ラウル・・・真の姿みたいって・・・。」
「ちょっと!!恵くん!!正気??ここでそんなことしたら会場大パニックよ!!サイズとかわかってるの??すっごい大きいのよ!!」
ははは、もうどうでもいいよ。闘技場壊れればいいんだ・・・。
「あなた達!!絶対ダメよ!!大変なことになるんだから。今、恵くんちょっと壊れているから。ここにいられなくなる可能性だってあるんだから。特にラウル!!あんたこの辺りで悪さしまくってたでしょ?」
ラウルはコクコク頷く。カミーラは投げキッスしまくっている。
俺は・・・泣いている。
「ブチュ!」
やっちゃんが俺にキスをする。そして状態異常回復魔法をかける。
俺は正気に戻る。というより気持ちがしっかりし始めた。なんだこれ??
真っ赤なやっちゃんがこっちを見て
「正気に戻った??この子たちを元に戻すなんて言わないで!!」
「ゴメン」
俺は小声で謝った。
「この子たちは魔物ですが今は人の姿で連れ歩いています。でないと力が大きすぎて街には入れません。」
何かしら理由を着けて。ごまかそうとしていると
「レベルはどれくらいですか?」
横の係員が俺に聞いてくる。
「カミーラとラウルって今何レベル?」
俺の問に
「421」
「601」
それぞれ答えるカミーラまたレベル上がっている。俺に近づきつつある。
ってか、ラウルはそんなにレベル高いの??
俺の彼女たちのレベルへの驚きよりも係員の女の子の顔のほうが驚きだ。さっきまで結構綺麗な顔だったのにそんな変顔できるんだ。
「ぷぷ・・・」
やっちゃんが口を押さえてこらえている。
「最近船を襲った大きな魔物を倒したと聞いています。どのようにして倒したんですか?」
え?俺が倒したことになってるの?ってか何であんたは勝手に質問し始めたの?
「え〜、それに関しては私が・・・」
やっちゃんがマイクを係員から奪って話し始める。係員は今も変顔フリーズ中です。
「この一体の海に出没していた強大で巨大な魔物は恵くんが改心させました。いま、連れている女の子がそうです。今は気の弱い女の子になってしまっています。皆さんの中に被害に会った方もいると思いますがもう恵くんが押さえている限り悪さはしませんが危害を加えようとした場合は襲ってもいいということになっているのでくれぐれも手を出さないでください。」
あぁ、もう脅しだね。この子には手を出すなと。
ラウルは
「ご、ごめんなさい・・・」
すごい小声で謝った。
「さすがテイマー界のレジェンドだ!!あんな大海原の怪物をテイムするなんて!すげ〜〜!!」
大喝采が起きている。会場が揺れている。そんなに悪さしまくっていたんだ・・・。
「お前何したの??」
「ありとあらゆる船を襲って飲み込みました・・・。」
船ごとなんだ・・・。恐ろしいわこの子。
「出せと言われたら出せますけどどうしますか?」
え?船吐き出せるの??中の人は??
「あ、そこは消化しちゃった・・・」
聞くんじゃなかった。まぁテイムした魔物が人を襲ったことがないなんてないに等しいからいいけどね・・・。
「最近鉄で出来た大きな船ばかりだったから気持ち悪くなったりとかもしたんだな〜」
鉄??この世界は木製が主流でしょ?もしかして・・・
「あなた、戦艦飲み込んだんじゃない??」
やっちゃんの問にわからないと頭をかしげるラウル。戦艦や空母を飲み込んだ可能性があるの??そんなにでかくなかったでしょ?
「あの時はまだ最大になっていなかったから・・・。大きさは襲う船で変えているの。」
最大ってどれくらいなのよ??聞きたいけど聞けないなこれ。