A国との決別
サミュエルが正座をして話し始める。
神々が最近この辺に居着いているということ。
戦艦や空母を持って帰ってしまうこと。
怪我をさせた民衆の一部を連れて帰ってしまうこと。
ここの皇帝が病で苦しんでいることなど・・・
どれも俺達にはどうでもいい。
「それを私達にどうしろと??返せばいいじゃない、ここの人でも旅人でもないんだから。」
やっちゃんが正論中の正論を言う。そりゃそうだ。ここで強くする必要は全くない。そんな反則してまで戦争に勝ちたいのか?
サミュエルが言うのはそうでもしないとC国との兵士の戦力差が開くのだとか。それなら兵器でドカンでいいじゃない?レイややっちゃんほど強くなってしまうと核でも平気そうだけどレベル100以下ならなんとでもなるでしょ?
「核などの兵器は使えません。所詮あれは抑止力であって本当に使用したら世界が終わります。」
はぁ、面倒だね。でも俺達は決して力になりません。そう伝えると肩を落としていた。
「俺はね、ここの旅人になって思ったのよ。ここの世界って戦争ないじゃない?何で俺達の世界はそんなに戦争するの?理由って所詮大人の事情でしょ?お金とかお金とかお金とか・・・。」
それを聞いて汗を拭っているサミュエル。そいつらの懐を暖めるのに俺達が何で面倒に巻き込まれなくちゃいけないの??自分らで何とかしなさいな。
「では、収入があれば引き受けてもらえるんですか?」
「売上の50%ならね。」
やっちゃんが横から口を出す。世界の人が死ぬからには無茶と言われても断るために言い切っている。
この金額は出せない。だって、売上の50%も払えば確実に赤が出る。大人の事情でそれを行っているのであれば赤は出せない。馬鹿だってこれは飲まない。
「50%は無理です・・・」
「じゃぁやだ。他をあたって。」
やっちゃんの冷たい一言で終わりを告げる。
「あ、それと、さっきそこの2人を処分しなかったんだから、そいつらが稼ぐお金は私達に入るでいいのよね?」
うわ!!がめつい。守銭奴だな。まぁ言い分がわかるけど・・・。
「そ、それは・・・。」
「私達もこの世界で楽しんでいるんだから不法にここにいるものは害とみなして始末していくわ。だって、この世界にいるべき存在じゃないんだもの。そこは気を付けてね。レイは見ればすぐ気づくから。気づかれたらレイも、私も始末するわよ。そこの2人は今は生かしておくけど次会ったら必ず始末するわ。それと私達の世界で私達や知人、家族に危害を加えようとした場合、即座にその関係者すべて始末するからね。それは恵くんが殺ってくれるわ。何ならその状況見てみる?」
やっちゃんは俺に目配せをする。
あぁ、あの時の映像を見せればいいんだね・・・。
サミュエルと護衛たちの頭の中に戸崎とその仲間たちの映像、C国の旅人暗殺者の映像をそれぞれダイジェストで見せる。大事なところは隠してね。
3人はガタガタ震えている。人を簡単に殺していく俺の姿を見て俺の顔を見ることができなくなったようだ。
「どう?俺の気持ち伝わった?俺は必ず報復をする。戸崎は今も行方不明だよね?知ってるよね?」
青ざめた顔のサミュエル。たかが高校生とかなり甘く見ていたのだろう。修羅場にい続ければ壊れもするさ・・・。
「あなたにとってA国は敵ですか?」
俺と目を合わさずに聞くサミュエルに
「今は敵だな。最初から印象最悪だし。A国の全国民をあの状態にできると言ったらどう?それでもまだ敵対的な思考を働かせる?」
俺のニコニコした可愛い顔を見てサミュエルは首を横に振る。
「じゃぁ、俺達はあなた達と関わらない。あなた達もこれから先関わらない。それでいい?それとも今から戦闘開始??どっち??」
「関わりません。」
サミュエルがそう答えるとレイとやっちゃんが3人の首の後ろを掴んで外に放り出した。
「次見かけたらあなた方、確実に死にますよ〜」
手を振るレイ。一目散に逃げていく3人の男。
ふぅ、やっと自由に楽しめる。鬱陶しいんだよね、腹の黒い奴をいちいち相手にしていくの。
俺に動いてほしかったらもっと誠実なやつを連れて来い。