海の支配者の末路
お母様の顔に青筋がくっきりと浮かぶ・・・。
これはヤバイ・・・。世界が滅びるかも。
俺はお母様から目を離したはずがない。だが消えている。どこに??と思った瞬間
「ゴバッ!ザザ〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!」
凄い轟音とともに大きな津波のようなものが俺達の乗っている船に打ち付ける。
ほぼ横になるほどの衝撃で帆が折れるそして船の上にあったあらゆるものが海に落ちる。
俺達は船の手すりに捕まり海に落ちることはなかった。しかし観月たちはそうは行かなかったようだ。
海に投げ出され流されていく。
「何とかならないか?あいつら流されていくぞ。」
俺の話を聞く余裕があるのはレイとやっちゃんだけ。何とか助かった仲間と志田は自分の身で精一杯だ。
ジルが飛び込み観月を助けるが浅田までは距離があり流れに追い付きそうにない。
ヤバイ!首相が死んでしまう・・・。考えが追いつかない状況で
「まぁまぁ、ここで泳ぐのは良くないわね。サメがいっぱいいるわよ。」
怒りが退いたお母様が海の上に立つ。立つ??どうやって??
浅田と高村を引き上げて肩に抱えて船の上に戻ってきた。
で、魔物は??
くじらの頭の部分が大半吹っ飛んでいるが女性の部分がほぼ残っている。ほぼね・・・もうグチャグチャ。
口から大量の血を吐き出し咳き込んでいる。呼吸は肺なんだね。腕もないし、よく見るとくじらの体半分くらいなくなっている。よく生きているなというレベル。
「なんだ、ゼェゼェ。なんなんだ・・・ゼェゼェ。私はここで死ぬのか?」
もう事切れてしまいそうな魔物。それにレイが語りかける。
「メグミの従魔として生きるなら生かしておくこともできるけどあなたにもプライドがあるでしょ?ゴミに仕えるのなんか嫌なんでしょ??メグミはね、ゴミじゃないわよ。仲間になれば凄い優しいし。あなたより強いと思うわ。でも、あなたはプライドを取る。そうでしょ??」
冷たい顔で睨み魔物に問いかける。
「さあ、選びなさい。従魔として生きるのか?プライドをとってもっと惨たらしく死んで集まったサメの餌になるのか。すぐに。」
「じゅ、従魔で、グフグフッ、おねがいします。ゼェゼェ。プライドはありますがグフッ自分より強いのであれば構いません。」
血を吐きながら従魔になることを承諾する魔物。その言葉と同時に残った腕に主従の紋章が現れる。
それを見たレイは回復魔法をかける。やっちゃんにも声をかけて回復魔法をかけまくる。
「レイリーなら1発なのにね〜。」
お母様がいつの間にか俺の横で自分の服に清掃魔法をかけている。
「魔法ってまどろっこしいから嫌いだわ。」
凄い困った顔で魔法をかけているお母様。魔法苦手なの??
「魔法唱える用の体じゃないからね〜。肉弾戦特化だから・・・日常魔法も苦手なの・・・。」
泣きそうな顔で清掃魔法をかける。俺が横から魔法をかけてあげると喜んで抱きしめてきた。
最初から頼んでくれればそれくらいしますよ。そう言うとつぎからおねが〜〜〜い!!と胸に俺を沈ませに来た。このまま溺死ですか・・・悪くないかも・・・。陸の上でおっぱいで溺死・・・男の夢だな。
気がつくとレイが俺の体をお母様からひっペがしていた。
「あんた名前は??」
やっちゃんが大きな魔物に聞くと
「ラウル・・・」
「ねぇ、ラウル、あなたさ、人に化けれる?」
その問に出来ないと答えるラウル。人化を教えるがなかなかうまく行かない。
船内から人々はこちらを観察している。化物がおとなしくなっているのを見ているが顔色は悪い。
こんな大きな化物になにか話しかけている人がいるほうがおかしいんだろう。
結構な回数人化を試みて何とかできるようになったようだ。あのデカイ魔物も人になると小さいんだね。
3mくらいになると思ってた。
「ラウルです。恵様。仲良くしてください。あと、今までの無礼許してください。」
しおらしく詫びを入れるラウル。魔物の時とは違うね。モンスターっ娘2人目!需要あるかどうかわからないけど最悪誰かの護衛に貸し出そう。
船内のけが人に回復魔法をかけて回るやっちゃんとレイ、そして志田。かなりの人数怪我をしているようだ。何人かは重症で腕や脚を折っているものもいる。まぁ船が真横になったからね・・・。
原因はお母様なんだけどそれは言えない。
ラウルは自分が呼んでしまった大型のサメに錨を咥えさせ船を引っ張らせる。君がひっぱてもいいんだけどね・・・。
「いや、あの姿に戻ると皆怖がるし・・・。」
赤くなってモジモジしている。
あれ??なんかキャラ代わってない??頭ぶつけたのか??
そんなことを思っているうちに陸が見えてきた。
そういや、この船ボロボロだよね・・・。沈んだりしないよね。