色々知りたい。歴史の中に意外な人が その1
喧嘩しないでね。ドキドキしてガクブルするから。
「あ~しの名はミドラ。最高の知識と知恵の魔人、ミドラ。」
最高の知識と知恵の魔人って偉い大層な位だな。
「で、何で出てきたの?俺はデュランを呼んだんだけど。」
ミドラに聞いてみると、
「おまえはおっとう~に何か聞くつもりだったんだろ??
もしくは『知識をくれ』と願うつもりだったんだろ?
ならあ~しで十分じゃないかな?とおもって。
そこの乳デカ馬鹿女じゃ役に立たないから~、あ~しなら役に立つよ!今みたいな時!!」
そう言って、ない胸を突き出してふんぞり返っている。
「レイもすごい頭いいよ。博識だし、色々俺の知らないこと教えてくれるし。」
そういうと後ろでレイがモジモジしている。うれしいみたいだ。
「この国のことを教えてほしい。国の名前とか歴史とか、あと特産品とか、おいしいお店とか。」
そう言うとミドラは目を輝かせて
「歴史か!!?お前は歴史を知りたいのか??本当か?歴史に興味あるんだな!!?」
うわ!何か変なスイッチが入ったみたいだ。
オタクに専門のことをちょっと聞いて夜通し延々と聞かされる、アレになる感じか?
「じゃぁ、話すぞ!よく聞けよ!!」
「この国はな!!シュローデヒルム帝国のジルバームという街だ。
シュローデヒルム帝国は今では産業と商業の発達した治安も世界一良い国なんだが、
昔は軍事大国でこの世界を平定するであろうとまで言われた
最大最強の帝国だったのだ!!まぁ色々あって・・・」
「軍事大国ヤメたの??なんで??」
俺が話の腰を折るとミドラは嫌そうな顔をしながらも
「この帝国の北にある海を越えた先にある大きな大陸があるのを知ってるか?
まぁそのアホそうな顔からして知らんだろうな!
その大陸には今も昔も魔族が住んでおる。列強の帝国と並ぶ大きな領土と
その帝国たちがもっとも欲しがる地下資源が豊富にある。
それを狙ってシュローデヒルム帝国は進軍したのだ!
そこから先の話はその辺の吟遊詩人供がよく歌いながら金をせびっておるわ。」
そういって気がつくとギターのような楽器をもって弾き始める。
「我らの国、最強で最大の帝国、シュローデヒルム帝国。
その愚かなる過ちの歴史を後の世に残し続けよう。
今から800年前、すべての国を一つに纏めんと帝はこう言った。
『北の世界には豊富な資源と広大な領土がある。
そしてたくさんの家畜(魔族)が住んでいる。
そこを我らの手で掴みその力をもって他国を侵略しよう!!』
その声に従い、1000もの最強を自負する屈強な戦士達が声をあげて立ち上がった。
海を渡り、数万の魔物を倒し、その大陸最大の都市が見える丘までやってきた。
広く、美しい緑の平原の真ん中に十数人の人影があった。
その人影が我らにこう言う。
『人の子らよ、今引き返せば誰も傷つかん。だが一度その丘を降りれば四肢を失うものと思え!』
屈強な戦士達は笑った。
『たかだが十数人でなにができるのか?』
と。そして嘲りながら丘を降りた。
人影は何やら揉めている。
二体の魔族が小競り合いをしているのだ。
一体の魔族は怒りの仮面を。
もう一体の魔族は悲しみの仮面を。
その他の魔族は巨躯を持って腕を組み微動だにしない。
小競り合いを止めて怒りの仮面の魔族が言う。
『こんにちは、人の子等よ。丘を降りれば四肢を失う。その覚悟はお有りか?』
その声とともに8本の腕に8本の剣を構え悠然と歩き近づいてきた。
戦闘が始まった。1000の戦士と十数体の魔族。
いや、正確には1000の戦士と一体の8本の腕を持った怒りの仮面の魔族。
1000のうち100の戦士と怒りの仮面の魔族がぶつかった。
あっという間にすべての戦士の手足が切られ動かなくなった。
その後も何度も100の戦士をぶつけたが怒りの仮面の魔族は
倒れることなくすべてを倒した。
残り半分となった頃、屈強な戦士は恐怖で動かなくなってしまった。
怒りの仮面の魔族は言う
『半分無事なら抱えて帰ることも出きるだろう。まだ続けるというのなら、
魔王様の命令により命は奪わん。だが四肢のみは奪いつくそう。
覚えておけ!!我が名は喜怒の魔神。
そして決断せよ!!続行か、撤退か!』
500の屈強な戦士はその力を仲間を運び逃げることが一番の使いどころとなった。
決して北の大地に踏み込んではいけない。
仮面の魔神が待っている。四肢を刻まんと待っている。
戦いに負け、国の力の源であった屈強な戦士も野に下り
国の力を失って他国に仇なすことが愚かであると気づかされる。
帝は言う。
『これより我が国は武力なく人の力となるための道を進もう』と。」
ジャラ~~~ンとそれっぽい弾き語りをしてのけた。
8本の腕の魔族?今日なんか会ったよね、腕っぽいのがいっぱいある人。
そう思ってレイに目をやると、音もでないくせに口を尖らせて
口笛吹いている仕草をしている。
あぁやっぱり喜怒の魔神ってレイなんだ。
手足切り落とすってどれだけヤバいんだよ。
「おいしい食べ物食べたいな~。」
レイは今の状況を誤魔化したくて仕方ないようだ。
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