表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/28

絶体絶命

~前回のあらすじ~


カイトとネロは姿を変えた魔物の攻撃を食らう瞬間、幼馴染のミサに魔法で助けられた。

ウォーターボールで束の間の空中散歩を満喫するが、安心はしてられず、再び魔物に襲われてしまう。

そして、魔物の攻撃でカイトのウォーターボールに罅が入る。


~絶体絶命~


 その時、どこから飛んできたミサイルランチャーがオレのジャンボシャボン玉に当たり、卵が割れる様な嫌な音を立てて罅が入る。

 オレのジャンボシャボン玉にミサイルランチャーが当たる度に罅が大きくなる。

 その後、何故か敵の攻撃が止んだ。

 諦めてくれたか?

 オレは寝転んだまま、辺りを見回す。


 くそっ。今度はなんだよ。

 敵の攻撃が止んだのを確かめると、オレは眠気が一気に覚め、何事かと思い慌てて飛び起きた。

「おい、ミサ。なんでオレだけ罅が入るんだよ!?」

 オレは拳を振り上げ、ミサに食ってかかる。オレの拳が怒りで震えている。

 ミサ。オレのだけ手加減したんじゃねぇだろうな。

 オレの中で、そんな不安が過る。まさかな。


 ミサは胸の前で両手を合わせて、可愛くぺろっと舌を出した。

「ごめんっ。カイトの分だけ、手加減しちゃった。ネロは特別だからね?」

 ミサはネロにウィンクして、ネロにラブラブビームを送る。


 オレはミサが信じられず、ミサを力強く指さす。

「はあ!? お前なに言ってんだよ!? ネロ、なんとか言ってやれよ!」

 オレの指先が得体の知れない恐怖で震えている。手には嫌な汗を掻いている。

 オレは救いを求める様にネロを見る。


 ネロはミサを無視して、デジタル腕時計を弄りながら、黒縁メガネのレンズでどこからミサイルランチャーが飛んできたか探索モードで必死に探っている。


 ここはネロに任せるか。オレはミサに視線を戻す。

 オレはミサの苛立ちで両手で頭を掻き上げる。

「おい、ミサ! オレのだけ手加減したのかよ!? お前、それでも幼馴染かよ!?」

 オレはまた力強くミサを指さす。やっぱりミサが信じられず指先が震えている。

 今度は額に嫌な汗を掻いている。


 ミサは肩を竦め不気味に微笑んで、鬱陶しそうに手をひらひらさせる。

「ネロとあたしは大丈夫だから。落ちるのはカイトね。短い間だけど、楽しかったわ」

 ミサは瞼を閉じ、涙を指で拭う仕草をして、胸の前で十字を切った。


 こいつ、冗談じゃないな。本気だ。

 オレはミサに呆れて、がっくりと肩を落とし俯く。

 ミサに付き合いきれずに疲れて、そのまま深いため息が零れる。


「何か近づいてくるぞ! 油断するな!」

 その時、ネロの怒声が響く。


「!?」

 オレは一気に緊張して、驚いて顔を上げる。

 オレは素早くネロを見ると、ネロの黒縁メガネのレンズに表示された3D立体地図が赤く点滅している。

 敵か。どこだ?

 オレは辺りを見回す。さっき攻撃してきた奴か?


 その時、けたましく鳴きながら、オレたちの向こうと反対側から飛んできた二羽の大鷲。

 大鷲はメタリックの骨格に眼が紅く、両翼の先端が太い筒状になっており、長い尻尾が生えている。

 二羽の大鷲は回転しながらオレたちに近づき、それぞれ口を開けるとガトリングガンがあり、二羽の大鷲は口を開けたままガトリングガンを撃ってくる。


 オレのジャンボシャボン玉の罅がみるみる大きくなる。

 くそっ。諦めたんじゃなかったのかよ。


 何でオレだけなんだ。

 オレは両手で頭を掻きながらミサとカイトを見る。

 ネロを見るが、ネロのシャボン玉は攻撃を吸収して大丈夫みたいだ。

 ミサはミサで、青白い障壁に包まれている。


 ミサ、オレのだけ本当に手加減したのか?

 オレは首を横に振る。そんなわけねぇ。

 オレは両手の拳を握り締める。

「おい、なんとかしろよ!」

 オレはミサとネロに訴える様に、シャボン玉の見えない壁を拳で叩く。

 拳を額にくっつける。


 オレは歯を食いしばって一羽の大鷲を睨む。

 大鷲は勝ち誇ったように、両翼を真っ直ぐ前に突き出し、両翼の先端の筒からミサイルが発射された。


 ミサイルの飛来音が風を切る。

 オレは飛んでくるミサイルを見て舌打ちした。

 今度はミサイルかよ。余計なことしやがって。

 オレはシャボン玉の見えない壁を拳で激しく叩く。

 くそっ。どうなってやがる。ここの魔物どもは。

 ミサがシールドの手加減をしたとは思えねぇ。

 じゃ何でなんだよ。

 オレは諦めて両膝をシャボン玉の見えない床に突き、絶望に駆られ俯く。


「不味いぞ。ミサ、カイトをなんとかしろ!」

 ネロの怒声が波の様に揺らいで聞こえる。


 大鷲のミサイル攻撃がオレのジャンボシャボン玉に当たり、攻撃音が遠くに聞こえる。

 なんとかならねぇのかよ。くそっ。

 オレは両手の掌を床に突き、拳を握り締めて見えない床を叩く。

 その間にも、オレのジャンボシャボン玉の罅割れが大きくなる。

 オレの鼓動が高まり、緊張で息が荒くなる。

 瞼を閉じた。落ち着け。とにかく、考えるんだ。どうにかしないと。

 その時、オレのジャンボシャボン玉は攻撃に耐えきれず、ついにガラスが割れた様に砕け散る。


 オレの身体は吸い込まれるように宙に投げ出された。

「うわぁぁぁぁぁ!」

 オレの身体が逆さまにみるみる急降下していく。

 顔を上げると、ネロとミサが小さくなる。


 オレは手を伸ばして掌を広げる。

「ミサ、ネロ……」

 オレは小さく呟いた。

 ついにミサとネロが点になり、見えなくなった。

 オレの身体が急降下してゆく、地上に向けて。

 今度ばかりはダメかもな。オレは瞼を閉じる。


そろそろ、新主人公に馴染んでくれたでしょうか?これからも、カイトくんの活躍と成長を温かく見守っていただければと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ