「拿捕」
「なんだ?!?!今の光は?!」
「あっ!"先生"!!早く隠れないと魔王軍が…」
無精髭を生やし疲れ果てた中年にしか見えない男フォーブルと、森の妖精と呼ばれる見た目麗しいエルフのソフィーは研究の為に訪れた王国北部の農村で不運にも魔王軍の襲撃に出くわしていた。
「ソフィー!!あの光に魔力を感じたか?!」
「いえ、魔力は感じなかったのであれは魔法では無いと思います…って早く逃げないと!!村中に魔王軍の兵士が…あっ!」
立ち止まって光を見ていたフォーブル達を魔王軍の兵士が捕捉する。
「おい!こっちだ!怪しい2人組が居たぞ!!」
「だから逃げないとって言ったのに〜!!」
「す、すまん!ついあの光が気になってな…」
ソフィー達は呆気なく魔王軍の兵に捕まる。
「なんだお前たちは?村人では無いようだが…ん?お前はエルフか??何故人間と一緒にいる?」
魔王軍兵士は訝しげな視線をソフィーに送る。
「ああ、それはだな…」
ソフィーは何を思ったのか、話し出したフォーブルを制止して…
「実は私、魔王様に頼まれてデスデモーナ大山脈を調査していたのよ」
「ソフィー?!何を言って…」
「しーっ!いいからっ!!…それで貴方は?見たところオークの様だけど、どこの隊かしら?」
魔王軍兵士は明らかに困惑した様子を見せ
「俺はオーム様の隊所属だが…お前、魔王様に頼まれて調査していたのか?」
首を傾げながら問いかけてくるオークに対してソフィーは
「ええ、そうよ。だから貴方はもう行っていいわよ。ああ、それとこの男は私の奴隷にしたの。何かと便利だからね」
「そ、ソフィー??」
魔王軍兵士は何かを考え込む。
「うーむ…こういう時はなんだったかな?ジーバ様が言ってたんだけどな…」
「さあ、先生。今のうちに逃げましょう!」
「う、うん…」
「先生?なんか元気無いですが…大丈夫ですか?」
「大丈夫…俺は大丈夫だから…」
「??」
魔王軍兵士のオークが思考の渦に捕らわれている間に2人は忍び足でその場から離れていこうとするが…
「そうだ!!現場では指揮官の指示に従う様に言われたんだ!…おい!お前たち止まれっ!!!」
オークが2人に近づいて行く。
「どうします?先生?最悪実力行使で…」
「それはやめておけ。魔王に目をつけられたく無い…取り敢えず捕まっておくか」
「はい…」
「オーム様の命令はこの村から1人も逃すな
だった!現場では指揮官の指示が優先だとジーバ様が言ってたからな…これで良いんだ!!」
オークは満足そうに頷くと、急に表情を変えて…
「貴様!俺を騙そうとしたな!魔王様の名を使うなんて…この事はきっちり報告するからな!!」
ソフィーは肩を落としてフォーブルを見る。
「すいません先生…」
「良いさソフィー。いざとなれば"あの事"を材料にして魔王に取り入ろう」
「ですが!あれが魔王の手に渡れば世界が…」
「おい!うるさいぞ!!もうすぐ村の教会だ!オーム様は今機嫌が悪いからな!静かにしてろっ」
こうして2人は先程発光があった村の教会へと連行されていった。




