「武闘会」
ジーバ君達が収容所で元帝国兵の反乱を抑え込んでいる頃、訓練場における魔王軍天下一番武闘会は大盛り上がりの最中であった。
「おお!やるねぇホー君!!さすが俺がスカウトしただけあるわー。それにしてもホークマンっていいよねぇ空飛べて」
「私とジーバさんのスケルトンソルジャーもいい線行ってると思わない?ほら!白虎といい勝負してるわよ!」
「竜人のドラ男君も流石だなぁ。やっぱり俺って見る目あるなぁ」
「いや…私の話も…」
「ミノタウルス君はもう強すぎて何も言う事は無いよね。あ、ミノタウルス君も俺が直々にスカウトしたんだった!!ね!シャーリー?」
「…」
利央達は和気藹々と楽しそうな様子で武闘会を見学しているが、試合の方は非常に激しい様相を呈しているようだ。
「おい鳥よ!いつまでも飛んでないで降りてきたらどうだ?」
「黙れ残念ドラゴン!!これが俺の戦い方なんだよっ!!」
「ホー君とドラ男君はバチバチだな!…ん?あいつは確か…いや、なんだっけ名前」
利央の視線の先には
「おらぁぁぁぁあ!!幹部になるのはこのオーム様だぁ!!」
棍棒を振り回すオームの姿があった。
盛り上がる会場内では他の場所でも
「はあっ!!…ふん!!」
「おお!さすがリザロ様だ!あの槍捌きは圧巻だな!」
「おい!こっちも見てみろよ!猛虎が負けそうだぞ!!」
「何?!相手は一体…」
観衆の歓声の中にいたのは…
「ブオォォォォオオオオ!!!!!!」
巨大な斧を振り回すミノタウルスの姿があった。
「ミ、ミノタウルス様か…」
「猛虎がやられるのも納得だな…」
バトルロワイヤル形式の武闘会は、既に数名に絞られていた。
「今のところ残ってるのは…ホークマンのホー君に竜人のドラ男君。それにミノタウルス君にオークの…なんとかとリザロ。それにシャーリー達のスケルトンソルジャーか」
「実験のつもりだったのだけれど…まさか白虎を倒してしまうなんてね。白虎なんて私ですら勝てないのに…」
「え?なんか言ったシャーリー??」
「…なんでもないわ」
「よし…ここら辺かな?」
利央はそう言って立ち上がる。
「何かするの??」
「いやいやシャーリー!主役がまだじゃんか!」
「主役??…あっ!!!」
利央は訓練場全域に届く程の大きな声で宣言するのだった。
「はいみんな!!ちゅーーーーーーもーーーーーーーく!!!!」
「「おお!魔王様だっ!」」
「やはり威厳のあるお声だ!!全員が一気に戦いの手を止めたぞっ」
観衆からそんな声が聞こえてくるが…
(ま、まあ拡声魔法なんだけど…)
利央は続ける。
「良くここまで残ったな!!本来ならお前らに四天王的なポジションを与えようと思ったけど…」
参加者の顔に一瞬喜悦の色が見えるものの
「みんな主役を忘れてないか???そう!この人だぁ!!!!ゴブ一郎ーーーー!!!!!!」
利央の声を皮切りにゴブ一郎が登場し、会場は大歓声に包まれる。
「ゴブ一郎様ぁー!!」
「こっち向いてぇー!!」
鳴り止まない歓声を尻目に、利央は続けて
「てことで!お前らは協力してもなんでもいいからこのゴブ一郎を倒す!!それができたら全員幹部に昇格だぜぇ!!!!」
「おお!いいのか魔王様?こっちは6人いるぞ??」
「ああ、いいよ!だってお前らじゃゴブ一郎に勝てそうに無いもん」
「な…」
「!!」
全員の顔に怒りの色が見えたのを利央は確認し…
「よーし、じゃあこっからいよいよ本番だからっ!!ゴブ一郎、、、やってやれ!!」
「了解しました。リオ様!!」
ゴブ一郎と参加者達は激突するのだった。




